レスター・ブラウン
エコ・エコノミー時代の地球を語る
レスター・ブラウン
エコ・エコノミー時代の地球を語る
レスター・ブラウン編著
監訳
福岡克也
訳
北濃秋子
日本語版編集協力
環境文化創造研究所
社団法人家の光協会刊
2500円+税
ISBN4-259-54638-4
編著者
レスター・ブラウン
1934年、ニュージーランド州生まれ。ラトガーズ大学、ハーバード大学で能楽・行政学を修める。農務省にて国際農業開発局長を務める。74年、地球環境問題に取り組むワールドウォッチ研究所を創設。84年には、『地球白書』、92年には『地球環境データブック』を同研究所の年次刊行物として、88年には『ワールドウォッチ』を隔月刊地球環境総合誌として創刊。2001年5月、アースポリシー研究所を創設して所長に就任。そこでの第一作として『エコ・エコノミ−』を発表。なお、94年には旭硝子財団よりブループラネット賞を受賞。
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レスター・ブラウンから日本の読者の皆様へのメッセージ
エコ・エコノミーをめざして
アースポリシー研究所所長 レスター・ブラウン
今日のグローバル経済が生態系にかける負担はますます増大しています。その結果は、森林の減少、砂漠の拡大、土壌の消失、漁獲量の減少、気温の上昇、氷河の融解、海面の上昇、サンゴ礁の死滅、地下水位の低下、生物多様性の喪失などとして現れています。古代文明の衰退の歴史を見れば、こうした自然システムの劣化が経済活動、とりわけ食糧生産に悪影響を及ぼし、その衰退をもたらしたことがわかります。
こうした歴史を繰り返さぬために、グローバル経済を生態系と調和するものに再構築しなければなりません。再構築のためには、そのヴィジョンが必要です。それがエコ・エコノミーです。夢のようなことではなく、世界各国にその実例を見ることができます。デンマークやドイツやアメリカのウィンドファーム(東京都の風力発電装置もできましたので、私は見に行きました。皆さんも見学できるでしょう)、オランダの自転車専用道路網、そして日本の多数の家の屋根に設置された太陽電池。――こうしたことを総合的に展開できれば、エコ・エコノミーへ大きく前進できます。
さらに大きな前進をうるために、もっとも有効な変革は環境税の導入(所得税の減税と同時に)です。市場システムを生かして、環境に負荷のある経済活動を抑制できます。
今日、私たちは大きな岐路に立っています。持続可能な新たなる経済、つまりエコ・エコノミーを選ぶか、「いままで通り」の経済、つまり環境的に持続不能で必然的に衰退する経済を選ぶかです。ここで見落としてならないのは、中間とか中道といった楽観的な選択はありえないことです。私たちの選択が、地球上のすべての生命の明日を決定します。
ぜひ皆さんも『エコ・エコノミー』『エコ・エコノミー時代の地球を語る』を読まれて、主体的にこの変革の担い手になって下さい。
目次
はじめに
第T部 生態学的な赤字がもたらす経済的コスト
第1章 中国を侵食する砂漠
第2章 楽観的な食料見通しの再点検
第3章 破滅を導く気候変動を回避する
第U部 見逃せない世界の動向
第V部 エコ・エコノミー最新情報
第1章 エネルギーと気候
第2章 人口と保健衛生
第3章 食料生産と土地と水資源
第4章 漁業、林業における生物多様性の喪失
第5章 エコ・エコノミーに向けて
原 注
監訳者あとがき
レスター・ブラウンとアースポリシー研究所
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