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フード・セキュリティー 
−誰が世界を養うのか−

フード・セキュリティ
フード・セキュリティー
−誰が世界を養うのか−


レスター・ブラウン著

監訳:福岡克也
翻訳協力:日本環境財団
日本語版編集協力:
環境文化創造研究所

ワールドウォッチジャパン刊

ISBN:4948754226
2625円(税込み)

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姉妹本
プランBへ

レスター・ブラウン著

監訳:寺島実郎
日本語版編集協力:
環境文化創造研究所
ワールドウォッチジャパン刊

ISBN:4948754242
2625円(税込み)

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著者

レスター・ブラウン レスター・ブラウン(Lester R. Brown)
1934年、ニュージャージー州生まれ。
ラトガーズ大学、ハーバード大学で農学・行政学を修める。
農務省にて国際農業開発局長を務める。
1974年、地球環境問題に取り組むワールドウォッチ研究所を創設。
1984年、『地球白書』を同研究所の年次刊行物として発行。
1989年には『ワールドウォッチ』を隔月刊地球環境総合誌として創刊。
1992年には『地球環境データブック』を同研究所の年次刊行物として発行。
2001年5月、アースポリシー研究所を創設して所長に就任。 2003年12月「プランB」発刊。
2005年1月「フード・セキュリティー」発刊。2006年1月、プランBのupdateとして「プランB2.0」発刊。
NHK等の「未来への航海」に出演など、テレビ出演も多岐にわたる。また、1994年には旭硝子財団よりブループラネット賞を受賞している。<レスター・ブラウンProfile

メディア(2004-06)
日経新聞産業新聞/日本工業新聞/朝日新聞/信濃毎日新聞
毎日新聞/日経エコロジー/アート・トップ/Agora/BIO−City
AERA/フジサンケイ ビジネスアイ/産経新聞/日経ビジネス/地球環境/リバティ

TBS News23 筑紫キャスター対論 04年6月15日
NHK等「未来への航海」
TBS「NEWS23」
CNN「Lou Dobbs Tonight」
NPR「Science Friday」等出演

感想を頂きました

 『フード・セキュリティー』を前にして、「食の安全性」「食料自給率の低下」「飽食と廃棄食品の増大」などを思い浮かべた。しかし、この本を読み進むにつれ、レスターのとらえている食糧問題の壮大さと、ことの重大さに改めて驚愕した。「食糧問題は水の枯渇・地球温暖化による収穫量の減少などの環境問題」であり、「食糧生産におけるグローバル化が、最貧国における児童労働や現地の自然破壊などの社会問題」を引き起こし、「穀物をはじめとする食料価格の上昇は、富める国による独占を加速させ、最貧国の経済にダメージを与える国際的な経済問題」であることを学んだ。まさに21世紀に問われているCSRの問題そのものであり、最大の政治問題であることが良く理解できた。
 1950年に25億であった人口が2000年には60億人を超えてしまった。我々は急激な人口増加を品種改良、耕地の拡大、農業生産効率の向上によって対応してきた。しかし近年、耕作に伴う過剰揚水による水不足の深刻化、地球温暖化による生産量の減少、中国をはじめとする急速に経済発展を遂げている国での穀物から肉類への食の転換(直接穀物を消費するよりも数倍から10倍程度の穀物が必要)により、穀物の地球規模での需給関係に赤信号がともり始めた。
 グローバル化が容赦なく進む今日、需給逼迫の影響は一国にとどまらず、価格の上昇は終局的には最貧国の食糧購買力を弱め、深刻な「飢え」をもたらす可能性が大きい。
 途上国の人々の自動車へのあこがれは強く、道路や駐車場といったクルマ社会のインフラ整備のために貴重な農地がアスファルトの下に葬られていく。
 食糧増産の観点から世界の希望となっているブラジルで拡大されている農地も、それが持続可能な生産力を保持していけるものか、強く懸念されている。無論、生物多様性には大きなダメージをもたらすであろう。
 これらの諸問題を『フード・セキュリティー』では、まるでジグソーパズルを解くかのごとく豊富な資料とデータによって解き明かしていく。この本を読み終えて食糧問題が近い将来、大きな環境・CSRの問題として認識されることを悟るとともに、個人としては、社会に対して謙虚に生きること、「地産地消」「旬産旬消」など質素な生活を旨とすることを改めて心に誓った。感謝の念をもって本を閉じたのである。

(岡本享ニ・日本IBM(株)環境経営室長)

 今後の地球環境問題の成否は、中国約14億人の人民がいかなる行動を取るかによって、大きく左右されると言っても過言ではありません。中国が食糧の輸入大国に転じれば、人類の生存に関わる大変な事態が生じることを著者のレスター・ブラウン博士は科学的見地から指摘し、きわめて現実的な解決策を提示されています。
 私どもオイスカも、中国国内で農業分野の人材育成や内モンゴルの沙漠緑化を通じて、持続的な農業生産の実現を目指しています。21世紀が抱える地球環境問題の解決に取り組むあらゆる人たちにとって、本書は希望ある未来を指し示す「福音の書」であると思います。

(中野良子 オイスカ・インターナショナル総裁 )

 本書にて、レスター・ブラウンが指摘した「ジャパン・シンドローム」、これほど的確に20世紀型工業文明の負の側面を表した言葉をしらない。
 世界の穀物備蓄率は20%を切り低下し続け4〜5年以内に10%を割ってしまう恐れも大である。大不作が起これば、日本が頼っている米国は輸出禁止に踏み切ることは前例がある(1973年、ニクソン大統領による大豆禁輸措置)。食料自給率40%の日本人必読の書、かつ、革命的な政策変更を迫るものである。

(後藤 敏彦・環境監査研究会 代表幹事/ GRI 理事)

 いつもながら、レスター・ブラウンの骨太の力作である。
 私たちの日常生活の場面では、いたるところ食糧は過剰に在る。だから膨大な残飯が毎食、多量に排出される。
  しかし、非日常の世界に目を転じれば、おおよそ13億の人々が1日1ドル以下で暮らしており、11億の人々が栄養不足にある。一方、10億を超える人々が肥満状態にある。この事実に気付いておく必要がある。
 9・11以来、グローバル・セキュリティーが論じられるが、それにはフード・セキュリティーが不可欠である。
 世界が実はフード・インセキュリティーにあることを、本書はあますところなく描く。さて、それではフード・セキュリティーを確保するには、どのような選択をすべきか。彼が示す処方箋の是非は読者の判断にかかるが、地球市民としてこの問題を考えておく倫理的責任はあるだろう。
(林 良博・東京大学大学院農学生命科学研究科 教授)

 レスター・ブラウン氏が本書で予測、警告していることは、これまでもそうであったようにやがて現実となるでしょう。私は、環境科学の世界の末席を汚す者として、氏の説に異論を唱える科学的根拠を持ち得ません。
 環境問題は人間の在り方の問題です。今、ここで、私たちが在り方を変えない限り、やがて来る悲惨な未来を逃れることはできないでょう。しかし、本書には具体的解決策が示されています。この本は、パンドラの箱を開けてしまった人類にとって、最後に残った希望なのです。
(村田 佳壽子・社団法人環境科学会 理事)

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目次

はじめに

第1章 「地球の限界」へ突き進んだ「膨張の半世紀」
激減した世界の穀物在庫は危機的水準に 
経済成長の思わぬブーメラン効果 
歴史的水不足、歴史的高温 
ジャパン・シンドローム 
中国も、ジャパン・シンドロームで穀物輸入大国に 
グローバル・フード・セキュリティーの課題 

第2章 地球号の定員は七〇億人か
地球の現実とかけ離れていく人口予測 
人口増加がもたらす社会的緊張、そして紛争 
人口増加が激しい途上国の「人口疲れ」
「人口ボーナス」というチャンス 
タイとイランの成功物語、そして世界の選択は? 
貧困の撲滅こそが人口の安定化への道 

第3章 途上国のホットコール、「もっと肉を!」
経済成長がもたらす食肉需要 
中国で大増産の豚肉、鳥肉、コイ 
あまりの乱獲、そしてあまりの過放牧 
食肉の大増産を支える大豆 
ユニークなタンパク質生産モデル 

第4章 地球の食糧生産力を診断する
世界の穀物増産に貢献した日本の品種改良 
増産を支えた肥料と灌漑の効果も横ばいに 
増産をもたらす画期的技術は開発されるのだろうか 
将来の選択肢―農村コミュニティの力を生かす 

第5章 砂漠化と駐車場が農地を脅かす
雨で、風で表土が失われ、食糧生産力が失われる 
アフリカで中国で、砂漠が拡大する 
道路や駐車場へ転用される耕地 
棚田や不耕起栽培で表土を保全する 
耕地を守るための交通政策を 

第6章  いよいよ深刻になる「水不足の世紀」
食糧生産への影響が出始めている、地下水位の低下 
世界の大河川で始まっている「断流」
都市と農業が水を奪い合う 
水不足が国境を越える 
世界で、水の生産性を高める総力戦を 

第7章 地球温暖化は食糧生産にダメージ
上昇する気温が収量を低下させていく 
「温暖化は農業に望ましい」という希望的観測 
フード・セキュリティーのため、地球温暖化防止を 
エネルギー担当省もフード・セキュリティーに貢献する 

第8章 中国が世界の穀物を買い占める日
穀物作付面積を縮小させる近代化と砂漠化 
水産養殖でタンパク資源を 
北京の深井戸は一〇〇〇メートルの地底へ 
不足分は国際市場から調達する 
新しい食糧戦略ビジョン 

第9章 ブラジル農業への期待と環境不安
アンチョビーの大不漁をきっかけに、大豆の大増産へ 
アメリカと並ぶ飼料供給大国になれるか 
輸送コストを肉輸出で吸収 
人口増と所得増で、国内需要が増えている 
生産拡大をためらわす、リスクとコスト 

第10章 グローバル・セキュリティーをめざして
大きな期待はできない、世界の農業生産力 
「不足の時代」の政治が始まる 
地球の自然資源を安定させる 
フード・セキュリティーはグローバル・セキュリティーに不可欠 

   

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地球白書 2009-10特集地球温暖化抑制 /地球白書英語版State of the World 2009: Into a Warming World / レスターブラウン プランB4.0

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