こども地球白書
[全国学校図書館協議会選定図書・日本図書館協会選定図書]
ワールドウォッチ研究所が発行する「地球白書」(原題:State of the World)をわかりやすくまとめなおしたのが「こども地球白書」です。
総合学習の小学生から環境問題初心者の方まで、幅広く読んで頂いています。今年度は「日本環境教育学会」の有志が執筆、より環境教育の場でご利用頂けるようになりました。
学校の先生が書き直しているので、わかりやすく、読みやすくなっています。そのため、多くの学校現場ではもちろん、新入社員向けや環境部門配属者向けの研修でも使われています。
他にも、NGO、企業等の実践例やわかりやすい環境用語解説集を収録。
※日本環境教育学会webサイト
目 次
環境の世紀を生きるみなさんへ
第1章 中国とインド―世界に大きな影響をあたえる新たな大国
1 世界の大国になりつつある中国とインド
働く人々の賃金が安いので、「世界の工場」ともいわれる
世界に通用する大学教育と、そこへ進学できない貧しい人々
川も空気も汚染がひどい
2 エネルギーの未来を選択する
インドでは、まだ電線も引かれていない家庭が多い
今後は、世界の石油市場からエネルギーを輸入する
風や太陽のエネルギーにも注目している
3 世界の穀物市場への影響力
穀物の消費量が増えて、生産が追いつかない
地下水が、くみ上げ過ぎでかれていく
水と土地をめぐる農業と都市・工業との競争
4 生態系にかかる大き過ぎる負担
エコロジカル・フットプリント
アメリカはヨーロッパや日本の二倍
中国とインドでも増え続ける
もう一つの地球が必要になる
5 経済を発展させる新たな方法をさぐる
同じやり方では無理があるという判断
中国では、マイカーよりもバスや自転車に乗る
インドでは、雨水を貯めて使う
6 世界の検討課題を再考する
アメリカ・中国・インドという三つの大国がやるべきこと、そして国際社会がやるべきこと
第2章 工場式畜産―わたしたちが食べる肉について考えてみよう
1 増え続ける食肉生産
収入が増えると、より多くの肉を食べるようになる
2 現代の食肉生産を支える工場式畜産
アメリカの牛肉の八一%は四つの会社が生産
3 工場式畜産における労働者と家畜の状態
厳しい労働環境
動物の本能を封じこめる畜舎
4 工場式畜産と環境問題
動物のエサと人間の食料の問題
大量の水を必要とする
大量のエネルギー消費
排泄物による環境汚染
5 工場式畜産がもたらす、さまざまな病気
感染力を増している鳥インフルエンザ
工場式畜産のエサでひろまったBSE
薬の効かない感染症
6 よりよい畜産をめざして
家畜が本来の動物として行動できる畜産
家畜を大切に扱うための基準
抗生物質の使用を減らす動き
7 本当に豊かな食生活とは
第3章 川と湖―生態系を守ることが水を守る
1 破壊されていく水環境
暮らしを支えるために、川や地下水を利用し過ぎる
水量が減って、住民が生活できなくなる
ダムを造ると生態系が乱れる
川に運ばれる栄養が多くなり過ぎると被害が出る
気候変動によって水不足になる
2 川が健康なら飲み水も安全
自然保護区を水源にしている都市はたくさんある
外来種の木を切って生態系を保護し、水の供給量を確保する
関心を高めて、流域を保護する資金を集める
水源や流域の保護には、国や自治体の働きが重要
3 安全な食料の安定的な供給は健康な生態系から
灌漑用水を効率的に使う
稲作でも節水できる
雨水をじょうずに利用する
氾濫原の価値を見直す
4 山林やマングローブ林は災害から人を守る
生態系の破壊が被害を大きくする
人間の活動が自然災害を悪化させる
デルタ地帯や氾濫原を修復して洪水を防ぐ
5 古くて役に立たない水政策を見直す
国民と生態系のための水政策
長期的な発展のために水利用を制限する
節水につながる水の価格設定
淡水の生態系の健康状態を監視する
第4章 バイオ燃料―石油に替わる再生可能エネルギーを開発する
バイオ燃料―石油に替わる新たな燃料
環境保全への期待
1 バイオ燃料への高まる期待
エタノール
バイオディーゼル
航空機や船
生産の拡大
原料の多様化
2 バイオ燃料生産に求められる環境的な配慮
3 バイオ燃料の経済
発展途上国のメリット
生産の拡大と貿易
農業関連の大きな企業が取り組む
4 バイオ燃料の将来
さまざまな産業の参入
セキュリティーに有利なバイオ燃料
持続可能な発展のためのバイオ燃料
第5章 ナノテクノロジー―夢の技術の開発は市民に認められてから
たくさんのお金をかけながら、急成長するナノテク産業
ナノテクは良いところばかりではない
ナノテクについて、解決しなければならない問題とは
1 ナノテクノロジーとは
ナノスケールの世界では、物質の性質が大きく変わる
ナノテクを使用した商品
ナノデバイスが生み出す新たな世界
研究段階にあるナノセンサー利用技術
2 ナノ粒子には大きな危険が隠れているかもしれない
小さいせいで、毒性物質になるかもしれない人工ナノ粒子
悪い影響がある具体的な例
専門家は「ナノ粒子を、環境に出さないようにしよう」と言っている
ナノテクへの対応策はあまりとられていない
3 発展途上国への影響
ナノテクがエネルギー・環境問題を解決する
ナノテクのせいで困ってしまう国や人々
4 大きな利益をもたらすナノテクの独り占め
ナノテクの特許には問題もある
5 ナノバイオテクノロジーは生命の営みに新しい意味をもたらす
バイオマシンの驚くべき働き
ナノテクノロジー災害の危険が高まっている
6 議論と規制の必要性
ふつうの人々が新しい技術をコントロールするために
科学技術をふつうの人々が監視する仕組みをつくり出す
第6章 水銀―地球規模の汚染を防ぐために
1 身近に使われていて危険な水銀
2 世界の水銀汚染
カーナーク
広がる汚染
自然の中で濃縮される水銀
先進国と発展途上国
3 世界の水銀放出量
4 世界の水銀使用量
電池
工業
金採取
5 世界の水銀市場
6 環境への負荷を減らすために
大量の貿易をしている地域で、削減に取り組むと効果的
いくつかの対策を同時に進める
削減技術は実行が可能
水銀はどこからくるか
石炭から出る水銀を減らす
7 水銀対策における国際協調
三つのグループ
政治的なリーダーシップ
第7章 災害―不幸なでき事を平和を築くきっかけにする
たびかさなる天災が語ること
バングラデシュという国は災害がきっかけで生まれた
災害から立ち直るときの希望と課題
1 「自然災害」と「人間が大きくした自然災害」
自然災害は増えている
豊かな自然が人々を守ってくれる
地球の気候が変わると世界が混乱する
2 自然災害と人々の争いとのつながり
アメリカとイランはハリケーン「カトリーナ」の後も仲直りしなかった
ソマリアが教えていること
災害を平和のためのきっかけに変えるには
3 暗い雲と希望の光
貧困と不公平が被害を大きくする
災害は社会のゆがみを浮き彫りにする
さまざまな人々に気を配りながら平和を求める
外国の人々の支援が平和へのきっかけに
環境を守らないと自然災害が起きやすくなる
4 アチェ―平和への第一歩
アチェの歴史といま
アチェでの争いのきっかけ
平和への話し合いが進んでいる
平和への道のり
5 こじれるスリランカ
民族の問題をこじれさせる人々
仲直りの取り組みは、うまくいかなかった
争いの火種が再び燃え上がりつつある
6 平和への道のりを歩むために
さまざまな組織が協力しないといけない
インドネシアは、環境を守りながら、立ち直ることにした
環境保護を、争いを防ぐために役立てる
自然災害の危険を減らす取り組み
不幸な災害を、平和のためのきっかけに変えるために
第8章 世界貿易機関―貿易と持続可能な発展を調和させるために改革を
1 貿易自由化と環境問題
自動車とコーヒー
自由貿易と環境悪化
2 世界貿易機関(WTO)とドーハ・ラウンド
GATT(ガット)とWTO(ダブリュティーオー)
貿易と環境の対立
シアトルでのNGOの抗議とドーハ・ラウンド
3 貿易と環境の衝突―未解決の問題―
貿易自由化が環境の悪化を招く
環境対策と自由貿易の衝突
環境の世紀に逆行するWTO
4 自由貿易と環境保護とが支え合えるように
自由貿易は環境保護のためにもよいか
補助金の削減とその他の環境対策
先進国に多い農業補助金
豊かな自然を持つ最貧国マダガスカルの例
5 WTOの枠外での貿易と環境
発展途上国どうしの協定
貿易自由化と資源の崩壊
フェアトレードの可能性
第9章 中国―環境NGOを中心に市民社会を育てる
1 中国の環境政策
環境重視の五か年計画と「和諧社会」
環境影響評価を義務づける
2 環境NGOの特色
始まりと発展の道のり
大学系NGOに認められた自由
インターネットの影響力
3 政府とNGOの関係
官製NGOの機能と役割
海外からの支援・育成
最初の公聴会の教訓
4 NGOが切りひらく未来
企業の協力への期待
訓練プログラムの充実がカギ
NGOが拡大した市民参加
第10章 企業―21世紀に求められる新しい社会的使命
1 責任ある企業になるということ
2 責任ある企業としての取り組み
3 責任ある企業の活動がかかえる問題
4 企業とそのステークホルダーの役割
5 企業の公平な競争
6 責任ある企業が向かう道
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