こども地球白書
[全国学校図書館協議会選定図書・日本図書館協会選定図書]
ワールドウォッチ研究所が発行する「地球白書」(原題:State of the World)をわかりやすくまとめなおしたのが「こども地球白書」です。
総合学習の小学生から環境問題初心者の方まで、幅広く読んで頂いています。今年度は「日本環境教育学会」の有志が執筆、より環境教育の場でご利用頂けるようになりました。
学校の先生が書き直しているので、わかりやすく、読みやすくなっています。多くの学校現場ではもちろん、新入社員向けや環境部門配属者向けの研修でも使えるよう編集しました。
他にも、NGO、企業等の実践例を収録。
※ルビ入り
※日本環境教育学会webサイト
目 次
環境の世紀を生きるみなさんへ
第1章 持続可能な都市―いよいよ世界の人口の半分が都市に住む
1「都市化」は地球規模でのチャレンジ
環境を守りながら快適な都市をつくるには
2 貧しい人はチャンスを求めて、農村から都市へ流れる
豊かではない国々で急速に進む都市化
植民地時代につくられたアフリカの都市
3「都市の貧しい姿」を統計調査で正確に知るのは難しい
農村にかたよった、発展途上国援助を変えていく
4 格差と環境
三つの都市を比較してみる
世界の都市に「マクドナルド」
環境クズネッツ曲線が示す改善と悪化の傾向
5「自然」は、人間らしい生き方に欠かせない
エコロジカル・フットプリントの格差
水さえも十分に手に入れられない、世界の貧しい都市
6 インフラストラクチャーの整備
貧しい政府には、貧しい人々を守るための資金がない
7 持続可能な発展をするための都市の仕組み
エネルギー効率の良い「グリーン建築」
8 都市化する世界のゆくえ
第2章 衛生を改善する都市―水道とトイレがある生活を実現する
都市に水道とトイレを
1 衛生状態の改善の必要性
アジアとアフリカでは半数近くの人々は上下水道を利用できていない
水洗トイレが発展途上国でなぜ普及できないのか
見捨てられてしまっているスラム
2 供給の不備を調査する
状況が悪いところほど調査結果には表れてこない
実態を正確に知るためには、より詳しいデータが必要となる
3 優先度の高い順に
まずは収入の少ない人たちのために
スラムの地図づくり
4 水の適切な供給
貧困層に配慮した方法・計画に必要なこと
住民参加でよい方法を考える
「給水の方法」を安くすませるには
5 衛生施設の適切な供給
「エコ・サニテーション」
「オランギ・パイロット・プロジェクト(OPP)」の成功の理由
OPPのこれまでの取り組みに学ぶこと
6 共同体を基準とした水と衛生施設の供給
共有トイレの管理の問題点
7 民間部門の参加を促進する
本当の問題から目をそらさせるための民営化
多国籍企業から地元企業や公営企業への移行
8 水資源の管理を改善する
都市の水不足を解消するために
9 取り組み方を変える必要があるのはだれか
公的機関が果たすべき役割
これから必要なこと
地域主導型を支援する
貧困に苦しんでいる人々への供給こそが急務
第3章 農業を生かす都市―食料と環境と生きがいのために
発展途上国の都市農業をのぞいてみる
都市農業に積極的に取り組む北京
バンクーバーでは、農業が都市住民の暮らしの一部になっている
1 都市農業の歴史と現代
都市農業は、発展途上国の都市に住む子どもたちの栄養不足の解消に役立つ
見直されはじめた都市農業
2 食料砂漠を潤す都市農業
健康や食文化を壊してしまう加工食品とファストフード
バンコクでは都市近郊で農業がとても盛ん
ファーマーズマーケットに人気が集まる理由
冷戦が発展させたキューバの都市農業
都市農業は仕事と健康を生み出している
コミュニティの強化にもつながる都市農業
3 コンクリートジャングルを潤す
家畜を飼うことで有機廃棄物を減らす
都市に危険をもたらす工場式畜産
都市農業のメリット
4 田園都市計画
広がる屋上菜園―東京では条例で緑化をすすめている
農村の生活を改善して都市への流入人口を減らすことも必要
第4章 公共交通を生かす都市―歩行者と自転車を大切に
「グリーン交通」を進めるには、公共交通を便利にすることが必要
1 都市交通と土地利用
極端に多いアメリカのガソリン消費量
極端に低いアメリカの公共交通利用率
人口密度が高いと自転車や公共交通の利用が多い
マイカー依存とスプロール現象が「グリーン交通」実現の妨げになっている
2 マイカー中心の都市は渋滞があたりまえになる
健康にも悪いマイカーに依存しすぎる都市
石油はやがて減っていく
デリーでは毎年一万人が大気汚染で死んでいる
ロンドンは混雑税の導入で渋滞を解消
サンフランシスコやソウルでは自動車専用道の一部を解体している
人間中心の都市づくりに必要なこと
3 公共交通の整備された都市につくり変える
自動車から公共スペースを取り戻したパリの交通政策
世界中の都市に広がるバス高速輸送システム
4 徒歩や自転車での移動を便利にする
環境に優しい都市は公共交通と非エンジン交通を優先させる
5 都市交通と経済
マイカー優先の都市には広大な土地が必要となる
6 環境に優しい交通システムをめざす
環境に優しい交通システムをつくるために必要なこと
第5章 再生可能エネルギーを生かす都市―会社や家庭で省エネに取り組む
都市のつくり方ひとつで未来は大きく変わる
1 都市のエネルギー
現代の都市は外部からのエネルギー供給に頼りきっている
多くの都市住民が十分にエネルギーを使えない
化石燃料の使用は大きな問題をはらんでいる
2 エネルギーを節約する試み
進む建物のエコ化への取り組み
屋根の下に天井を張ると50%以上の省エネ効果がある
エアコンの廃熱で東京の夏は一℃暑くなっている
木を植えて冷房にかかるエネルギーを減らす
昔の知恵と現代の新技術を組み合わせる
3 都市のエネルギー
遠くの大型発電所より近くの分散型発電装置
中国では太陽エネルギーの利用がとても盛ん
都市の廃棄物をエネルギーに変える
風や水を使って環境に優しい都市をめざす
再生可能エネルギー利用が地域の雇用を生み出す
4 世界に先駆がけてエネルギー対策をする都市
スペインでは再生可能エネルギー利用を積極的に進めている
工業都市から環境都市へ生まれ変わりつつあるシカゴ
世界中の都市で行われている再生可能エネルギー利用
都市が主導して再生可能エネルギーを普及する
第6章 自然災害に強い都市―人の命と財産を守る都市づくり
1 都市は自然災害に弱い
自然災害の被害ががもっとも大きいのは発展途上国の都市住民
2 危険性のある環境
都市が持つ災害へのもろさ
3 気候変動が都市に与える影響
地球温暖化による海面上昇の影響を受ける都市
温暖化対策に取り組みはじめた都市もある
4 政府がするべき取り組み
防災を法律で義務づけることで被害を少なくする
5 情報を行動に変えるため
地球観測衛星の画像を災害救助に役立てる
アメリカよりもすすんでいるキューバの災害予防対策
災害を拡大させないために取り組むべきこと
意識を高めることが最大の防災対策
第7章 人間にふさわしい都市―安全で健康に暮らせる緑の空間に
1 貧しい人々に集中するさまざまな病気と事故
貧しい国の都市に住む貧しい人たちの暮らし
最悪の状況に置かれている発展途上国の都市
過密によって大きくなる健康被害
農村より悪い都市の食料事情
電気やガスが使えず、煙のなかで暮らす人々が毎年80万人死んでいる
工場近くに住む人々の命が危険にさらされている
世界では毎年交通事故で120万人が死亡ぼしている
昔からの病気と現代病が混在する都市の暮らし
都市のもう一つの危険―「暴力」
都市にせまる気候変動の脅威
5万人以上の犠牲者を出した、ヨーロッパの熱波
貧しくて病院に行くことができない
2「人間にふさわしい生活」が保障しされる都市をめざして
学校に通えず、死亡率も高い発展途上国の子どもたち
貧しい人たちの意見に耳を傾ける
ほとんどの都市で緑地が減っている
心と体に健康をもたらす都市農業
樹木は都市の空気をきれいにし、温度を下げる
緑が増えると犯罪が減る
マイカーを買えない貧しい人たちが、交通事故にあう危険がもっとも高い
健康的な生活は歩きやすい都市づくりから
第8章「地域の経済」を強くする都市―持続可能な生活をめざして
快適な都市づくりに必要なものは何か
1 利益もあれば損失もある
経済成長がもたらす利益と環境汚染
都市の貧困を解消する持続可能な開発
2 グローバル経済から地域経済へ
グローバリゼーションの影響
地元企業の良い点
地元で買い物をすることが、環境を守ることにつながる
3 協同組合で「地域の経済」を再生する
「より平等な世界」をめざす、協同組合と国連
4 地域の活動に密着した融資
グラミン銀行
地域のために貢献する信用組合
5 フェアトレード(公正・公平な貿易)をしよう
フェアトレードされる製品が増えている
6「地域の経済」の基盤
地方自治体がやるべきこと
税金のかけ方、使い方で都市開発をよい方向に導く
企業にできること
市民の参加が必要
7 地域の資源をすべて有効に利用する
「地域の経済」を開発する
持続可能な生活への取り組み
小さな取り組みの積み重ねで「地域の経済」を発展させる
人々の結束が「地域の経済」を強くする
第9章 すべての人に「公平な都市」―差別のない社会、差別のない環境
1 都市に暮らす貧しい人々
スラムの人々を苦しめる環境問題
2「公平な都市」へ向けた課題
貧しい人の声を聞かない計画づくり
都市に広がる暴力
住居の不足
ゆがんだ国際援助
役人、専門家、研究者の役割
データ不足
3 希望のきざし
インド:貧しい人々が力を合わせる
タイ:地主と住民が土地を分ける
ブラジル:住民が自分たちで予算の使い方を決める
4 取り組みを分かち合う
エジプトからフィリピンへ:リサイクルを仕事にする
ブラジルからインドネシアへ:緑あふれる、きれいな街へ
ブラジルからアメリカへ:速くて便利なバスでマイカーを減らす
「公平な都市」へ:社会を変えていくということ
5「公平な都市」に必要な条件
誠実な行政
仕事と収入
環境に優しいインフラストラクチャー
計画に基づく都市開発
「多様な文化の尊重」と「暴力の根絶」
6 これからの都市
貧しい人々に届く支援を
取り組みの効果を測るデータ
弱い立場の人々の声
世界の人々とともに、都市を暮らしやすい場所へ変えよう! |