地球白書とは?
地球白書2009-10の特集 | 地球白書とは? | 著者・監修者紹介 | 目次 | 購入する
『地球白書』は、1984年から米国ワールドウォッチ研究所が年次刊行物として発刊しています。様々な言語に訳され、世界で多くの研究者・政治家・政策スタッフ・企業関係者・教育関係者・学生に読まれています。
日本では1993年から翻訳されています。ワールドウォッチ研究所・著者等についてはこちらをご覧ください。
(左)「地球白書」創刊号
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著者・監修者について
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「地球白書」記者会見
※ワールドウォッチ研究所について
1974年にレスター・ブラウン氏が米国ワシントンDCに設立。人口・エネルギー・食料・地球温暖化・気候変動・安全保障・水・生態系など様々な環境問題を対象とし、雑誌"World Watch(ワールド・ウォッチ)"、年次報告書の"State of the World (地球白書)"などが多くの国々で読まれています。環境問題がさほど注目されていなかった設立当初から、独立非営利の研究機関として様々な警鐘を鳴らしてきました。
※クリストファーフレイヴィン
1955年、カリフォルニア州に生まれる。1977年にワールドウォッチ研究所へ。1990年に研究担当副所長に就任、2000年にレスター・ブラウンにつぐ第2代の所長に就任。 気候変動・エネルギー関連が専門。リオ・デ・ジャネイロ地球サミット・京都会議・ヨハネスブルク地球サミット等に参加。その他、多くの気候変動・エネルギー関連の研究プロジェクトを手掛ける。The New York Times、Technology Review、The Harvard International Review、Time Magazineにコラム等掲載。BBC、CNN、NPR、Voice of America、PBS等に出演。
※日本語版監修―エコ・フォーラム21世紀
環境監査研究会代表幹事 後藤敏彦
国連大学副学長 武内和彦
地球環境戦略研究機関 理事長 浜中裕徳
東京大学大学院 農学生命科学研究科 教授 林 良博
早稲田環境塾 塾長 原 剛
日本環境財団 理事長 福岡克也
京都大学大学院 地球環境学堂 教授 松下和夫
日本気候政策センター 理事長 森島昭夫
国連大学名誉副学長 安井 至
(五十音順)
事務局 織田創樹 四條舞美
※日本語版編集協力
環境文化創造研究所
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データ年鑑 |
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目次
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目 次
はじめに(IPCC議長 パチャウリ)
本書について
環境界の一年間の主要動向
第一章 人類文明の存続に「不都合な真実:温暖化」
「人類世」への突入―人間が引き起こした、さまざまな不可逆的な変化
動き出してしまった、気候変動という巨大な船
◆アメリカに振り回された「温暖化防止の失われた20年」
ようやく終焉した気温上昇の犯人追及
アメリカを迷走に追い込んだ化石燃料業界の反撃
南北対立を生んだアメリカの京都議定書からの離脱
◆求められる「容易ならざる大幅削減」
2006年 中国の二酸化炭素排出量はアメリカを抜いて第一位に
深刻さを増す、熱帯林破壊による「放出」と海の「吸収力の低下」
気候変動の確証が得られた時には、すでに「修復不能」な状態
最初に被害に直面するのは「もっとも貧しい人々」
「危険な」レベルの気候変動を防止するために
◆高まりつつある政治的意志
州レベルで広がるアメリカの気候対策
発展途上国も気候対策に乗り出した
急速な転換を鈍らせる「気候交渉の不透明さ」
◆気候安定化のための、10の主要な課題
《長期的視野に立った思考》
将来世代の命運への責任を果たす自覚
《イノベーション》
開発、普及、既存技術の活用
《人 口》
人口問題を克服できなければ、根本的解決は難しい
《ライフスタイルの改革》
「豊かさの質」を見つめ直す
《土地の修復》
土壌と植生を再生し、二酸化炭素吸収源を保全・修復する
《強力な機構》
目指すのはグローバル・ガヴァナンス
《債務としての公平性》
公平性を担保―誰が負担し、痛みを受けるのか
《経済的安定》
景気に左右されない経済的メカニズムを構築する
《政治的安定》
気候変動への対処は政治的安定をもたらす
《改革への力の結集》
気候問題への取り組みは「とてつもなく、すばらしい機会」を生み出す
気候変動をもたらしている世界経済システムの変革を目指す
第二章 温暖化を「安全な」レベルに抑制する
排出量を80%削減しても、温暖化の被害は排除できない
破滅的な未来を回避するための「着地点」を探す
◆予測される気候変動と海面上昇
2100年には海面が一メートル上昇する可能性も判明
世界中で48℃を超える猛暑が頻発する
◆とくに影響を受ける生態系、部門、地域
海氷の消失でホッキョクグマに野生絶滅の危惧
脅かされる水のセキュリティー
温暖化による悪影響は発展途上国ほど深刻
◆ティッピング・ポイント(閾値)
◆どの程度の温暖化ならば「安全」なのだろうか?
人類文明が耐えられる温暖化の上限を模索する
2℃以内に温暖化を抑えるという世界的な共通認識の広がり
新たな見解―2℃ではリスクが高すぎる!?
現在の温室効果ガス濃度でも、すでに「危険な」レベルに達している
1.5℃〜2℃の温暖化は回避すべき
速やかに削減することが、最良にして不可避の選択
◆温暖化を「安全な」レベルに抑制していける排出量の経路
燃焼を突然止めると、気温が急上昇する仕組み
二酸化炭素の大気中の寿命は「300年であるが、25%は永久に残る」
シンプルな気候―炭素循環モデルMAGICC
オゾン層破壊物質の段階的な廃止は、気候に良い影響を与える
どんなに厳しい排出削減を行っても、短期的には温暖化を止められない
23世紀までに温暖化を1・5℃以内に抑える「現実的なシナリオ」
二酸化炭素排出量を急減させる方策
大気中から二酸化炭素を回収し、地中に貯留するBECS技術
森林や農地だけでは貯留は不十分
二酸化炭素換算濃度を400ppmに抑えるシナリオ
2050年までに排出量を削減に転じる
メタンと一酸化ニ窒素― あまり注目されていない強力な温暖化ガス
年間90億トンの二酸化炭素を200年以上貯留しなくてはならない
半世紀以内に二酸化炭素の抽出を始める
「削減が遅れること」は最悪の結果をもたらす
ポイントは排出枠の国別の割り振り
先進国に課せられるハードル「2020年までに25.40%削減」
削減幅が大きく異なる発展途上諸国
◆2020年より前に排出量のピークから「減少」に転じる
求められているのは「速やかな政策の転換」
第三章 農林業を環境保全型に転換して「地球を冷やす」
気候変動とフード・セキュリティーの密接な関係
◆気候変動対策には、農業と土地利用の分野での取り組みが必要
温室効果ガスの三割は、土地利用の変化によって排出されている
気候変動に合わせて農業も変化せざるを得ない
降雨の変化により、放牧に関わる20億近くの人々が影響を受ける
気候がよくなる地域も、変化に対応するために多大のコストを要する
◆「気候に優しく」かつ「気候変動へのレジリアンスの強い」農業と土地利用を目指す
さまざまな効果をもたらす五つの戦略的取り組み
◆土壌に貯留される炭素を増やす
《有機的な方法で土壌を豊かにする》
有機農法によって、より多くの炭素を土壌に貯留する
窒素肥料を減らしても生産力は維持できる
《耕起を最小限にとどめる》
不耕起栽培がもたらす多くの利点
不耕起によって代替エネルギー開発の時間を稼ぐ
《土壌に炭を混ぜる》
炭を加えた土壌は生産力が向上する
◆炭素を豊富に貯留する農法を目指す
《多年生穀物を植える》
温室効果ガスを減らすには、一年生より多年生を植える方がよい
多年生作物の品種改良には時間がかかる
《アグロフォレストリー(森林農業)で間作を行う》
アグロフォレストリーが生み出す豊かな農業
《食料、飼料、燃料を樹木作物で供給する》
多年生作物の開発状況と注意点
バイオ燃料の生産はランドスケープに十分配慮しなくてはならない
◆気候保全型畜産を促進する
畜産は温室効果ガス排出の大きな部分を占めている
《集約的な輪換放牧を行う》
放牧と閉鎖型畜舎に代わる第三の畜産「輪換放牧」
《メタンの排出を削減するために、飼料サプリメントを使う》
《バイオガス・ダイジェスターでエネルギーを生産する》
多くのメリットをもたらすバイオガス・ダイジェスターの導入
◆森林や草地に貯留されている炭素の放出を防ぐ
《森林伐採を減らす》
森林の価値を上げることによって、伐採を抑制する
製品認証の活用で森林を保全する
土地保有権の保障が持続可能な管理を促進する
《森林や草地の野放しの焼き払いを減らす》
《保全地域を炭素の吸収源として管理する》
公的保全とコミュティによる保全
◆劣化した地域に植生を再生する
《劣化した流域と放牧地に植生を再生する》
緑を守ることが水を守ることにつながる
広がる「再緑化」運動
《生物回廊における森林と草地を再生する》
再生活動が結びつける生産者と自然保護団体
◆気候保全型の農業と土地利用のための市場対策
効果が期待される温室効果ガス・フットプリントの表示
ドール社はカーボン・オフセットをコスタリカから購入
グリーン認証製品の広がりと参加企業の増加
◆公共政策で変化を後押しする
補助金が「環境に優しい農業」へ配分されはじめた
途上国の農業を支援し、環境に配慮した方向へ導く
「気候に優しい」食料システムの実現に向けて
◆気候保全型土地利用のために行動する
温暖化に対応した土地利用システムの創出
農林業を持続可能なシステムに転換させる
第四章 再生可能エネルギーへの確固たる変換
急騰する石油価格と気候変動への影響
再生可能エネルギーへの移行戦略
発展途上国でも急展開している再生可能エネルギー利用
◆すべての建築物を発電所に
省エネの第一歩は建築物の効率化から
エネルギー効率が上がると使用量が増えてしまう「リバウンド効果」
イギリスが打ち出した「ゼロ炭素ビル」政策
驚くべき省エネ効果をもたらす「パッシヴ・ソーラー」技術
分散型発電の方が結果的に効率がよくなる
インターネット的な様相を見せる「ハイブリッド」ネットワーク
障害は技術よりも法規制
◆再生可能エネルギーによるスマートな大規模中央発電所
白熱電球を灯すには320倍ものエネルギーが必要とされる
サハラ砂漠の4%でソーラー発電をすれば、世界の総電力需要を供給できる
再生可能エネルギーは世界の電力の五分の一近くを供給している
再生可能エネルギーへの懸念は全て克服可能
ネックの一つは送電網の整備
再生可能エネルギー資源はベースロード電力の電力源としても有望
進むグリッドの安定化策と蓄電技術の向上
最大のメリットは「再生可能エネルギー資源は無料」という事実
需要サイドからのアプローチ―需要を減らしピークシフトする
スマートな「ハイブリッド・グリッドシステム」
多くの研究機関が、将来は再生可能エネルギーが主役になることを予測
全ての電力源を再生可能エネルギー化する
◆再生可能エネルギーによる冷暖房システム
熱需要の多くを供給することが可能な「太陽熱システム」
化石燃料からバイオマスへ転換する動き
アメリカは世界最大のヒートポンプ市場
日本とヨーロッパに普及する住宅用コジェネレーション・システム
ようやく取り入れられはじめた地域冷房システム
求められる蓄熱技術の発展
再生可能エネルギーを増やすには市民の意識改革が必要
主要経済国の多くでは、熱源に占める再生可能エネルギーの割合を急増させる
◆省エネというエネルギー生産
「無駄=廃熱・廃棄物・糞尿」を資源に変える
廃熱利用で費用節減と二酸化炭素排出を削減
廃熱のサウジアラビア「中国」
生活排水からバイオガスを生成
廃油からジェット燃料が生産できる
藻類の利用で効率的にバイオ燃料を生産する
発光ダイオード(LED)で電力使用量を半減させる
◆再生可能エネルギーの規模を拡大する
小規模の方が大規模より効率的―モジュラー方式の利点
再生可能エネルギー導入でも躍進する中国とインド
必要な要素は「資源」と「可能性」、そして何よりも「政治的意思」
再生可能エネルギーシステムの新設に要したエネルギーの回収は早い
◆社会経済を変革する
再生可能エネルギー後進国であったドイツが、なぜトップランナーになったのか
再生可能エネルギー社会の未来予想図
2030年までに、風力がアメリカの電力需要の20%を供給
アメリカの二酸化炭素排出の四割削減は十分に可能
再生可能エネルギーへの移行を加速する
炭素課税導入のモデルケース、デンマーク
建築物にはエネルギー効率評価を実施
情報技術(IT)を活用して積極的に需要管理を
ドイツの大転換の原動力となった固定価格買取制度
再生可能エネルギーの研究開発に公的資金を注入する
いまだに続く化石燃料への補助
発展途上国の開発には再生可能エネルギーの導入が不可欠
私たちの考え方ひとつで、世界は劇的に変わることができる
第五章 生態系と世界の人々の暮しを守る対応策
途上国に大きく偏っている気候変動による被害
社会経済と自然のレジリアンスは高度な相互依存関係にある
◆「脆弱性」、「適応」、「レジリアンス」
脆弱性の性質や状況によって異なる適応戦略
レジリアンスの定義
レジリアンスを構成するさまざまな要素
レジリアンスの育成に必要なもの
◆「社会経済のレジリアンス」と「生態系のレジリアンス」とを連携させる
生態系のレジリアンスは人間の行為に左右される
レジリアンスは現状維持ではなく、よい状況へ向かうプロセスである
社会経済と生態系のつながりは、多くの要素によって変動する
生態系のレジリアンスと社会経済のレジリアンスへの全体論的アプローチ
社会経済のレジリアンスは生態系のレジリアンスの必要条件
◆農村の生計に、いっそうのレジリアンスをもたせる
被害を受けやすいのは、発展途上国の農村部で零細農業に従事する人々
バングラデシュの農民にみる気候変動の影響
農民の力を引き出す―地元に根ざした独自の適応策の採用
レジリアンスに貢献するコミュニティ主導型開発
効果をあげるには適切な支援が必要
マリの事例―気象情報を農民へ提供することで気候変動に対応する
◆レジリアンスに富んだ都市地域の構築
都市のレジリアンスの構築が必要な理由
より緊急性が高いのは中小都市
インフラのレジリアンスを築く
国家や地方自治体が積極的に関与しなくてはならない
優れた都市開発は結果的に気候変動へのレジリアンスを高める
◆レジリアンスへの資金供給
国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)による
発展途上国への資金提供
政府開発援助(ODA)はあくまでUNFCCCを補完する役目
UNFCCCのメカニズムとODAを最適に組み合わせる
マルチドナー信託基金によって、資金の流れを一本に絞る
保険制度の普及を阻む「高額な農業保険料」
注目される既存の地域組織の能力強化
◆「緩和」と「適応」とを結び付ける
発展途上国も緩和計画に関与させることが必要
緩和と適応の結びつきの強化
世界規模の緩和策への、最貧国の参画を促進する
◆レジリアンス強化に向けた前進
「人間の創意を支える実践的な活動」こそが、目覚しい効果をもたらす
第六章 敵国のない「世界気候戦争」における協闘体制
気候問題は「敵国の存在しない世界戦争」
温室効果ガスは国境を越え、「不公平な」影響をもたらす
京都議定書―全ての国が同意できる方法を模索した結果
◆必要なコスト
先進国から発展途上国への資金移転
オゾン層破壊物質と代替フロン物質の影響
排出量増加がもっとも大きいのは中国
先進国は発展途上国の削減努力に経済的支援を
気候変動を転換させるのに必要な投資額は世界総生産の二%
◆全地球人に参加の「権利」があり、また参加が「必要」である
高まるオバマ大統領への期待
破壊的な気候変動を回避できるチャンスは閉じられようとしている
世界の人々全てが関わる「権利」と「必要」がある
◆失われた時間―ブッシュ大統領の無策
モントリオール議定書が残した教訓
京都議定書への道のり
「取り敢えず」支持された京都メカニズム
法的拘束力があるが罰則が明確でない京都議定書
合意される「先進国がまず取り組むべき」というルール
京都議定書の最大の成果は「炭素市場の躍進」
◆現 況
世界的に拡大する炭素市場
京都議定書の第一約束期間後の枠組みづくり
「全地球人が取り組まなくてはならない」という合意
バリ行動計画で明示されたもの
注目されるセクター別キャップ・アンド・トレード
具体化される「森林減少と土地劣化の削減に対する資金の供与」
◆新たな方向へ
排出削減は国際条約に基づき、各国の国内法で制定される
発展途上国を参加させる方法
先進国の「有志」に頼るだけでは不十分
コペンハーゲン会議で提示される新たな課題
ビジネスの壁が立ちふさがる技術移転
先進国から発展途上国の「適応」への資金供与
◆真の合意形成を
温室効果ガスの種類とそのモニターの必要性
先進国と発展途上国に分けることは時代遅れ
スターンが仮定する一人当たり約二トン
歴史的責任分担論の正当性と困難さ
一人当たりの純排出量をゼロにすることが最終目標
◆公平性と排出の終焉
公平性を実現するための「責任指標」と「能力指標」
豊かな国々の義務―排出量の急減と資金供与
電力セクターの削減を加速する固定価格買取制度
世界銀行やNGOに期待する炭素潜在価格の設定
世界が足並みをそろえる準備が必要
「キャップ・アンド・トレード」と「炭素税」と「規制」を組み合わせる
ポスト京都議定書の考え方
化石燃料からの脱却は途上国にもメリットをもたらす
いますぐ行動を起こす―温暖化による壊滅的な被害は食い止められる
温暖化対策:論壇と取り組み事例
1 二酸化炭素以外の温室効果ガスのリスク
地球温暖化係数が極めて高いフルオロカーボン類
自然冷媒でフルオロカーボン類を代替できる
多国籍企業に、自然冷媒を導入する動き
取り組みが始まったフルオロカーボン類の排出規制
京都議定書は最善の枠組み
2 温室効果の大きいブラックカーボンの排出削減
ブラックカーボンの発生源と気候変動への影響
硫酸塩排出削減の影響
ディーゼル車に高性能フィルタを装着する
法規制の強化が必要
3 ジェンダーの視点からの気候変動対策
気候変動は女性のウェルビーイングに大きく影響する
気候変動対策に果たす、女性の役割と貢献は大きい
ジェンダーを視点に組み込んだ気候政策
ジェンダーと気候に関する世界同盟
4 安全保障への脅威としての気候変動
気候変動は人々の生活を根底から揺るがす
気候変動は脆弱な国家のガヴァナンスを根底から揺るがす
環境悪化は紛争発生のリスクを増幅させている
気候変動は世界の安全保障に影を落とす
5 気候変動が生物多様性に与える影響
ホッキョクグマの生息地が溶けて消失
アマゾンの降雨システムの崩壊
海洋酸性化が海の生物を脅かす
生態系と生物多様性は気候変動に極めて脆弱
6 モルディブ:「生き残る人権」をかけて温暖化防止の前面に
脆弱な生態系に依存している小島嶼国
気候変動はミレニアム発展目標の達成を台無しにする
京都議定書を勢いづけたのは小島嶼国連合(AOSIS)
人権に基づく気候変動へのアプローチ
7 気候変動における都市の役割
温室効果ガスの排出責任を負うのは、生産側か消費側か
都市部の公共交通を整備する
都市部の貧困層のリスクを軽減する
8 健康を脅かす気候変動
「熱波」と「多雨」と「強大化する暴風雨」がもたらす疾病のリスク
公衆衛生の改善には国際機関が貢献をする
9 インド:政府よりも積極的な産業界のビジネス感覚
環境配慮への、政策の転換を迫られるインド
インドの基本姿勢は「経済成長こそ最大の気候変動適応策」
期待と失望をはらんだ「国家行動計画」
インドは変われるか?―産業界主導で進む変革
動き出す地方自治体と市民団体
インドこそ気候変動と闘うリーダーに
10 中国:風力とソーラー・エネルギー産業で世界のリーダーへ
石炭依存と都市住民の急増で排出激増
輸出激増が、もうひとつの排出激増要因
エネルギー集約産業の省エネを推進
地方自治体や産業界への浸透を図る
クリーンエネルギー産業を経済発展の核に育成する
100万人雇用に近づくグリーン・ジョブ
11 貿易と気候変動、そして持続可能性
貿易は途上国への炭素漏出の大きな要因
輸入品の炭素排出に国境課税措置
協調によって、環境と貿易を調和させる
12 フィジー:地域コミュニティ主導型管理海域で実践される適応策
全員参加型のガヴァナンスモデル「地域コミュニティ主導型管理海域」
伝統的知識と近代的ツールの一体化
住民自身が情報を活用し、決定を行う仕組み
13 スーダン:干ばつと気候変動へのレジリアンスを構築する
生き残るための農地拡大が、リスクを高める
環境への取り組みが、コミュニティのレジリアンスを高める
放牧地の劣化予防と再生
生活改善を取り組みの柱に据える
地域コミュニティが自主的に立ち上げた適応策
自然資源を管理できる「知識と能力」を強化する
14 ジオ・エンジニアリングで地球を薄暗くする
地球を冷やす、もうひとつの方法―人為的な日陰をつくる
たとえば、成層圏に硫酸エアロゾル粒子を散布する
クライメト・エンジニアリングを推進しようとする人々の見解
クライメト・エンジニアリングに反対する人々の見解
もたらされるのは「改善」か、「いっそうの悪化」か
15 炭素の回収と貯留
二酸化炭素を回収する方法
炭素回収・貯留(CCS)をめぐる多くの懸念材料
つなぎの技術としても、つきない懸念
この先10年では、大規模な導入は難しいという結論
16 市場を利用して気候変動に対応する
炭素税の導入による排出削減効果
キャップ・アンド・トレードにおける排出枠配分
不確実性を低減するハイブリッド制度
炭素税とキャップ・アンド・トレードの相違点
国家レベルはキャップ・アンド・トレードが、地方レベルでは炭素税が有効
17 発展途上国への技術移転とそのための資金供与で、気候変動に対応する
「排出削減と収益増大と雇用創出」をもたらす先端技術
移転を阻害する大きな論点「知的所有権」
資金供与のための基金拠出は国連分担金をモデルに
適正な供与額は、目標と具体的な取り組みから勘案される
全ての発展途上国が国別目標を示すことが重要
必要なのは「まず始める、そして強化する」という姿勢
18 動くバッテリー・電気自動車が開く、再生可能エネルギーの時代
再生可能エネルギーは電気自動車の電力需要を十分に満たせる
不況下の機械製造業でウインドタービンを大増産する
「電気自動車と再生可能エネルギー」は最良の組み合わせ
プラグイン・ハイブリッド車でも排出量は大幅に削減
早期ブレークスルーのカギは「政策と電池とスマートグリッド」
電気自動車は輸送システム再構築の第一歩
19 低炭素社会のグリーン・ジョブ
増える再生可能エネルギー部門の雇用
公共交通ルネッサンスで雇用創出を
リサイクル経済で省エネと雇用創出を
農林業は環境保全型に転換して雇用創出を
グリーン・ジョブ創出のカギを握るのは、官民の大規模な先行投資
「働く人に優しい」グリーン・ジョブに
20 機運高まる「クライメト・ジャスティス(気候の公正性を確保する)運動」
気候変動と人権侵害は密接な関係にある
基本理念は「気候の公正化」と「非排他、全員参加」と「人権」
「無視されてきた人々」の声を、環境政策に反映させる
21 価値観の転換で、「危険な」レベルの気候変動を阻止しよう
「超多忙」と「大量消費」と「利益最優先」で、見失われる価値
自己と向かい合い、内在的価値を重視する
「目覚める」のか、それとも「自己防御の泥沼に、はまっていく」のか
「経済的豊かさ」から、「心の豊かさ」を求める時代へ
22 「いまからでも決して遅くない、行動を起こそう」
付録 気候変動関連の主要概念と用語解説
◆気候変動の原因
世界の温室効果ガス排出量
セクター別の温室効果ガス排出源
◆気候変動の測定
炭素循環
炭素、二酸化炭素、二酸化炭素換算値
主要温室効果ガスの地球温暖化係数
二酸化炭素の排出量上位10か国の総排出量と
一人当たり排出量(2005)
二酸化炭素の排出量上位10か国の
世界総排出量に占める比率(1950―2005)
大気中の二酸化炭素濃度(1744―2007)
◆温室効果ガスの蓄積がもたらす影響
世界の平均地表温度(1880―2007)
記録上もっとも暖かかった10年(1880―2007)
気候の不可逆的変化の要因
不安定な気候がもたらすと予想される、さまざまな影響
気候変動の悪影響を回避する
コペンハーゲン会議への外交的道筋
追加情報
用語解説(50音順)
安定化 温室効果ガス 温室効果ガス開発権 回復力 緩和 気候変動に関する政府間パネル(IPCC) 技術移転 キャップ・アンド・トレー ド 吸収源 強制力
共同実施(JI)京都議定書 クリーン開発メカニズム(CDM) 経路黒色炭素 国連気候変動枠組み条約(UNFCCC) 人為的排出 森林の減少・劣化に由来する排出の削減 脆弱性 大気中濃度
炭素回収・貯留 炭素税 地球温暖化係数 地表温度 追加性 締約国会議 適応 土地利用、土地利用変化および林業 二酸化炭素
二酸化炭素換算値 二酸化炭素集約度および一人当たり二酸化炭素排出量排出権取引 排出削減単位 ピーク年 一人当たり二酸化炭素排出量 100万分率(ppm) 付属書国 ブラック・カーボン
平均海面位 ベースライン 放射強制力 モデル、予測および経路 予測 レジリアンスまたは回復力
原 注
索 引
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