ジュニア地球白書
※「こども地球白書」から名称変更しました。
[全国学校図書館協議会選定図書・日本図書館協会選定図書]
※ルビ入りで読みやすくなっています。
ワールドウォッチ研究所が発行する「地球白書」(原題:State of the World)をわかりやすくまとめなおしたのが「こども地球白書」です。
総合学習の小学生から環境問題初心者の方まで、幅広く読んで頂いています。今年度は「日本環境教育学会」の有志が執筆、より環境教育の場でご利用頂けるようになりました。
学校の先生が書き直しているので、わかりやすく、読みやすくなっています。多くの学校現場ではもちろん、新入社員向けや環境部門配属者向けの研修でも使えるよう編集しました。
他にも、NGO、企業等の実践例を収録。
※日本環境教育学会webサイト
目 次
いまの地球環境を知る権利
第1章 環境の世紀にふさわしい社会経済
20世紀型経済システムは行きづまっている
持続可能な経済が現れるきざし
1 時代遅れの経済の設計図
人間のつくった「人工資本」よりも、「自然資源」が大切な時代へ
市場まかせでは、公平さは十分に確保できない
2 ふくらみ続ける人類文明の借金
無視できなくなった気候変動の悪影響
生態系という富が急激に減少している
豊かさの陰に取り残された貧困
3 経済学の考え方を改める
経済の大きさを調整する
「量の拡大」から質を重視した「真の発展」への転換
環境を考えに入れた価格
自然のサービスの価値
「予防」という考え方を取り入れる
見直される共同管理
女性の役割を正しく認め、支援すること
4 改革によって、世界を大きく変える
期待される政府のリーダーシップ
第2章 「真の進歩」をめざす社会経済
1 進歩はどうやって計ればよいのか
差別と格差をなくすことも進歩のひとつ
経済の進歩が環境を破壊しないように調整する
2 「もの」の生産と消費で計測することの問題点
国内総生産では生活の質を見ることができない
国内総生産では持続可能性の目安にならない
国内総生産では格差の実態が分からない
3 国内総生産の代わりになる指標
幸福の実現を計算に取り入れた「真の進歩」指標
ジニ係数で所得の分配の公平性を見る
エコロジカル・フットプリントで環境への負担を確認する
企業の活動を判断する指標
4 新たな指標を推進するためには
政府ができること
企業に情報開示を求める
進歩を計るには独創的な指標が必要
第3章 エコな生産方法へ転換する社会経済
生産方法の根本的な改革が迫られている
1 環境効率を高める
「ファクター4」から「ファクター20」へ
環境効率の導入で企業の業績を上げる
他の企業と協力して問題を解決する
新しいビジネスモデルを創る
2 「ゆりかご」から「ゆりかご」へ―製品寿命を延ばす
エネルギー使用量を減らし、労働力によって付加価値を生む
労働生産性を高めても、それだけではウェルビーイングは改善されない
3 自然の姿をまねる「バイオミミクリー」
紙と魚の廃棄物から創られた農業用マルチフィルム
アワビの殻からヒントを得て、新素材を創る
4 環境と社会に配慮する企業が、高く評価される時代
いまこそ持続可能な未来を築く絶好の機会
第4章 生活の豊かさを見直す社会経済
1 豊かな人も、貧しい人も、より良い生活を望んでいる
人間が環境に与える影響を減らす方法
なぜ人間は消費を好むのか
2 豊かな暮らしと環境は、どうしたら両立できるのでしょうか
収入の増加は、生活の満足度と結び付かない
先進国では幸福だと思う人の数が減っている
消費を減らして、幸せに暮らす「ダウンシフティング」
地位と生存のための戦い
短期的な発想から長期的な発想へ
競争から協調へ
3 政府が果たすべき役割は、とても大きい
脱・消費社会の実現をめざして
第5章 「肉と魚と環境」を理解する社会経済
肉と魚の消費のあり方を考える
1 生産方法を望ましい方向に変える
新技術がもたらした破壊的な漁業
近代的な畜産や漁業の落とし穴
2 自然と共生できる生産方法へ帰ろう
人手をかける畜産方式は「よく育つ」
世界の漁業生産量の約40%が養殖魚
魚の養殖方法を見直す
3 補助金システムを変える
アメリカ・欧州連合・日本が、海の恵みの大半を手にしている
漁業への補助金を海洋保護区の設定に使う
4 倫理にかなった「安全でおいしい」食品
「健康」と「環境」の流行に乗ろうとする企業
5 食物連鎖の下位への転換
環境と健康のために、食物連鎖の下位のものを選ぶ
在来種の遺伝的多様性の消失
環境にも健康にもよい「食を築くこと」は、「食を知ること」から始まる
第6章 温暖化防止に取り組む社会経済
自然界の吸収量を上回る排出量
1 温暖化問題に影を落とす発展途上国の急激な経済成長
先進国だけでは、地球温暖化を防止できない
2 2050年までに炭素の排出量を50%減らす
炭素排出量を減らす三つの方策
化石燃料に含まれる炭素の回収と貯留
試されている、さまざまなプロジェクト
3 新技術やライフスタイルの転換によるエネルギー使用量の削減
急がれるエネルギーの利用効率改善
4 カーボンフリー・エネルギー技術への転換
太陽エネルギーの利用が本命
再生可能エネルギーの可能性
5 低炭素社会経済への転換点
政府が方針を示すことが重要
みんなの認識を一つにすることで、低炭素社会経済は実現する
第7章 排出量取引市場を活かす社会経済
排出量取引とは何か
1 市場で取引される排出量
京都議定書から生まれた排出量取引の仕組み
2 拡大している排出量取引市場
世界第1位の取引量のある欧州連合の域内排出量取引制度
第2位はオーストラリアの取引所
第3位はシカゴ気候取引所
立ち上がる、さまざまな取引市場
排出量取引市場がかかえる問題点
3 クリーン開発メカニズムの問題点
プロジェクトの大半を占めるのは中国とインドあまりに少ないラテンアメリカとアフリカ
4 企業が行う自主参加型の排出量取引市場
個人がカーボン・オフセットを買う動き
「カーボン・ニュートラルを証明できるのか」という疑問
5 排出量取引市場の今後
排出量取引市場が政府を動かす
第8章 水資源を大切に使う社会経済
世界のおよそ40%の人が水不足状態にある
激しくなる「水をめぐる争い」
1 水資源と経済の関係
ハンバーガー一個に水一万リットル?
急がれる安全な飲料水の確保
生態系の維持にも水は必要
水は国境を越えて流れていく
バーチャル・ウォーターという架空の水を取引する
水の政策が社会に大きな影響を与えている
2 水の本当の価値について考える
「水に価格を付ける」のは、よいことか
3 「これまで通り」を大きく変える
いろいろな場で実践される水管理の新しい方法
水管理と経済は互いに影響する
4 危機の時こそ、希望を持って行動する
より望ましい水管理を実現するために、「新たな取り組み」を始めよう
第9章 生物多様性を生息地ごと守る社会経済
絶滅危惧種のアブを救った法律
1 生物は生息地ごと、守らなければならない
自然の絶滅率の100倍の多さで絶滅している
これまで生物多様性の価格はゼロだった
市場を使って生息地に価格を付ける
2 別の生息地を創って、環境破壊をオフセットする
生物多様性を貯えておき、販売する方法
「破壊された湿地」と「オフセットされた湿地」は同じ価値なのか
3 絶滅危惧種を「やっかいもの」から資産に変える
土地の所有者に報償を与えて生息地を守る
生物種クレジットの取引が始まった
市場の仕組みを利用して生物多様性を保全する
第10章 コモンズの復活に取り組む社会経済
「コモンズの悲劇」について
ウィキペディアにみる人間の本性
1 人間は経済原則だけで生きているのではない
コモンズを利用できる人はコモンセンスを持っている
「ルールのない利用」がもたらす悲劇
2 失われたコモンズを復活させようとする動き
市場というコモンスペースを楽しむ人々
小さなコミュニティが機能している実例
トラスト制度というコモンズ管理の新たな方法
第11章 コミュニティを尊重する社会経済
コミュニティが変わると世界は変わる
1 コミュニティを活用して持続可能な社会を創る
エコビレッジと共生型集合住宅
地域ぐるみでの取り組み
2 コミュニティの絆を育む
資源を共有することで、豊かな生活を実現する
家庭でも職場でもない「第三の場所」
急激に減った「たまり場」
3 地産地消をめざして
キューバが教えてくれる「石油づけ農業」からの脱却
4 持続可能なコミュニティへの融資
地域通貨の利用と社会的企業の活用
5 コミュニティが社会を動かす
「賢明な成長」を支える方策
コミュニティの力を育てて、活かそう
第12章 貧しさが発展のバネになる社会経済
ニジェールの砂漠に緑が戻った
大切なのは、「変えたい」と望む貧しい人々自身の意志
1 地域の実情に基づいて取り組む
資金と力のある人々が得をするような「仕組み」が壁に
2 無限にある人的資源を活用する
柔軟な運動で発展するインドの女性自営者組合
小さな成功を積み重ねることで、自信と力をつける
女性が生活改善運動の先頭に立つ
3 成功例を広げていくために必要なこと
活動資金の配分をコミュニティ自らが選ぶ
地域に根ざした取り組みが大切
4 国際援助の方法を見直す
援助する側も、される側も変わるべき
いちばんの底辺に暮らす10億人を支援する
第13章 持続可能性に投資が向かう社会経済
社会を変えていくには「資金」の使い方が重要になる
1 持続可能な投資とは何だろう
投資家の目が「持続可能性に取り組む企業」に向きはじめた
2 急速に増える社会的責任投資
企業を緩やかに監視する「株主行動」
環境を意識しはじめた「プロジェクト・ファイナンス」
増える「ベンチャー・キャピタル」のクリーンなエネルギーへの投資
貧困解消に役立つ「マイクロ・クレジット」
3 持続可能性への投資がかかえる問題
バイオ燃料は持続可能性の実現のために役立っているのか
経済が環境を破壊しないルールづくり
第14章 人類文明の未来と世界貿易機関
比較優位説について
1 世界貿易の歴史
第一次世界大戦からブロック経済化への流れ
ガットの誕生と設立の理念
2 世界貿易機関がかかえる問題
貿易と環境の衝突「マグロ・イルカ紛争」
小さくならない先進国と発展途上国との格差
発展途上国でも、先進国でも広がる国内格差
焦点の一つとなっている農業・食料問題
3 民主主義国家と世界貿易機関
国家とグローバリゼーション
世界貿易機関は人類文明の未来に大きくかかわっている
4 自由競争という資本主義の原則を修正する
人類文明の未来に貢献する「自由競争と平等とのバランス」
用語解説 |