新刊『レスター・ブラウン自伝 ──人類文明の存続をめざして』
本体価格 2,750円 B5判 総ページ320
「はじめに」から
自伝を書くということは、多くの問いかけをするということです。私は何者なのか? なにを成し遂げたのか? だれが、どのような状況が、人としての私の成長に影響を及ぼしたのか? どうやって、私はいまの地点にまで到ったのだろうか? なぜ、私はこの本を書いているのだろうか?
最後の問いから始めると、自伝を書くというアイデアは、20年ほど前、W・W・ノートン&カンパニー社の故イヴァ・アシュナーが、初めて提案してくれました。その後、同社のエイミー・チェリーが再びその案を持ちかけてくれたのです。私は、その申し出に躊躇していました。自伝を書くことで、世界が果たして望ましい方向に転じるのか、確信がまったく持てなかったのです。
2010年秋のある晩、旧友のシンジケート・コラムニストであるジョージー・アン・ガイヤーは、夕食の席でこう切り出しました。「あなたは自伝を書くべきです。自伝によって、人々はあなたの考えていることだけでなく、あなたが、なぜ、そのように考えるに至ったのか、もっと深く理解できるようになるでしょう」と。転機は、このときの彼女との会話でした。2012年12月、アースポリシー研究所の年次理事会で、私は自伝を書くことについて、意見を求めました。皆が快くその考えに賛成してくれ、これで決まりました。
(中略)
とにかく、私は人生の本質をとらえようと努力しました。大恐慌のまっただなかから始まり、人類史上に類を見ない変化の時代と重なった人生です。この人生によって、私は世界のさまざまな場所を訪れ、ふつうなら見ることのできないような世界と出合うことができました。地球の裏側のインドの農村で暮らし、一方で各国の首脳と食事をともにする──そんな経験をしたのです。この本を書く目的は、こうした私の体験を、読者の皆さんと分かち合うことなのです。
アースポリシー研究所 所長 レスター・ブラウン
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目 次
第1章 農務長官に注目された駆出しの農業分析官 ──レスター・ブラウン
第2章 貧しいながらも堅実な農家に育つ ──本、とくに伝記が好きで偉人をめざす
第3章 私が17歳、弟が14歳でトマト生産に没頭する ──収益でフォードの新品トラクターを購入
第4章 ラトガーズ大学で農業理学を専攻する ──農学部は人類文明の存続に貢献できる
第5章 インドの農村にて研修生活を送る ──あまりにも多い人口、あまりにも狭い農地
第6章 インドの大干ばつをアメリカ産コムギで救う ──延べ600 隻で1000万トンを緊急輸送
第7章 農務省の最年少局長を辞してシンクタンクへ移る ──ニクソン政権を忌避して研究と執筆に専念
第8章 ワールドウォッチ研究所を創設する ──世界中で翻訳された年次刊行物『地球白書』
第9章 環境情報で世界をリードするワールドウォッチ研究所 ──メディアとの協働をなにより重視
第10章 「中国は遠からず大量の穀物輸入を必要とする!」 ──私の予測をめぐる中国政府筋との論争
第11章 アースポリシー研究所を創設する ──持続可能な世界をめざして『プランB』を提案
第12章 人類文明存続のために、『プランB』を世界に浸透させる ──翻訳出版、講演ツァー、テレビ出演
第13章 回 想 ──「引退せず、心身の許すかぎり思考し、発信するのが目標です」
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