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 トップ > プランB(PlanB)

最新版「プランB2.0」はこちらです。
レスター・ブラウン プランB

プランB(PlanB)

●コメントをいただきました  ●プランBについて(レスターから)  ●目次から

プランB表紙

著者:レスター・ブラウン(アースポリシー研究所所長)

監訳者:北城恪太郎

定価:本体2500円+税

ISBN:4-948750-16-1

発行所:(株)ワールドウォッチジャパン

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●コメントをいただきました

●プランBについて(レスターから)

●目次から

<著者>
レスター・ブラウン(れすたー・ぶらうん)
◆1934年、ニュージャージー州生まれ。ラトガーズ大学、ハーバード大学で農学、行政学を修める。農務省にて国際農業開発局長をつとめる。74年、地球環境問題に取り組むワールドウォッチ研究所を創設。84年には「地球白書」を創刊。2001年5月、アースポリシー研究所を創設して所長に就任。「エコ・エコノミー」などを発表。87年、国連環境計画賞受賞。94年、旭硝子財団よりブループラネット賞受賞。

<監訳者>
北城恪太郎(きたしろ かくたろう)
◆1944年、東京都生まれ。67年、慶應義塾大学工学部卒業。同年、日本アイ・ビー・エム株式会社入社。72年、カリフォルニア大学 大学院(バークレー校)修士課程修了。93年、代表取締役社長。99年、IBMアジア・パシフィック プレジデント兼日本アイ・ビー・エム株式会社代表取締役会長。現在、日本アイ・ビー・エム株式会社代表取締役会長。

<日本語版編集協力>

環境文化創造研究所(かんきょうぶんかそうぞうけんきゅうじょ)
◆1997年9月設立。地球環境や食の環境 についてのフォーラムの開催している。名誉顧問にレスター・ブラウン、所長に福岡克也の各氏を招いている。理事長は黒澤聰樹氏。

<翻訳協力>(順不同)
積水化学工業株式会社
株式会社損害保険ジャパン
中央青山監査法人(グループ)
株式会社中央青山PwCサステナビリティ研究所
株式会社中央青山サステナビリティ認証機構
ダイキン工業株式会社
法政大学環境センター

※アースポリシー研究所 http://www.earth-policy.org/
※ワールドウォッチ研究所 http://www.worldwatch.org/

メディア
日経新聞産業新聞 11月17日 9・11面
日本工業新聞 12月5日 8面
朝日新聞 12月8日 19面
信濃毎日新聞 12月21日 12面
毎日新聞 12月22日
日経エコロジー 2月号 P95・対談
アート・トップ 2・3月号 P48
Agora 2月号 P56
BIO−City 2月号 P84
AERA 10月4日号 表紙・インタビュー

TBS News23 筑紫キャスター対論 04年6月15日

 

シンポジウム
朝日環境フォーラム 経済と環境の調和を求めて

基調講演 レスター・ブラウン「エコ・エコノミーをめざして」

主催:朝日新聞社
後援:経済産業省、環境省、東京都、長野県、日本経済団体連合会
協賛:日本ハム、サントリー、積水化学工業、日立製作所、EPSON、NEC
協力:ワールドウォッチジャパン
この講演については
asahi.com(http://www.asahi.com/sympo/kankyo/
で御覧いただけます。

地球市民フォーラム@特別講演(朝日新聞社主催)

 コメント (順不同・五十一音順・役職名は当時)

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●豊田合成株式会社
常勤監査役 経営企画部 監査室
井上輝一様
 著者レスター・ブラウン氏は、環境問題に正面から向き合ってこられたが、本書の中でも彼の想いは率直に私達に伝わってくる。私は特に次の2点が心に残った。
 第一は、経済成長のよる繁栄が既に地球の環境再生能力を超え続けているという指摘であり、第二は、大気汚染と並んで水の汚染が「水の惑星という地球」の大問題となり、農業の将来・国益の対立等という深くて広い問題を生み出しているということである。他方で広がりつづける貧富の差の拡大を考えると、私達に改めて今何をなすべきかを問いかけている。
 この本の監修に尽力された経済同友会地域代表幹事にも心から感謝の意を表したい。

●財団法人旭硝子財団
事務局長
国井宣明様
  著者がこれまでに先駆的に指摘してきた地球環境の問題点をわかりやすく整理した上で、その対策を例示していることが素晴らしい。その対策実行に向けて世界のリーダー達をどうやって説得するのか、人類の英知が問われている気がします。

●環境監査研究会
代表幹事
後藤敏彦様
 残された時間は少ない、でもまだ可能性はある、というレスターのメッセージは正しい。でも、どう実現していくのか、絶望的になってもしょうがない。日本の大企業が気がつきだした、明るい兆候だ。それぞれの立場で自分ができることで最大限社会に影響を与えていくことに努力しようではないか。私自身は企業のCSR推進につとめることがこれからの主戦場と考えている。

●株式会社 資生堂
技術資産本部 技術部 課長 工学博士
小又昭彦様
 タダ同然で無限にあると錯覚してしまう空気と水。その汚染や不足による地球破壊を再認識させてくれる一冊です。地球の一員としてプランBに貢献する活動の必要性を強く感じます。環境問題は人間のエゴとの勝負です。

●ナチュラル・ステップ・インターナショナル
日本支部 代表
高見幸子様
  この本は、明解、かつ詳細に、私たちの文明が「漏斗の壁」に突入しようとしていることと、それがどういうことなのかを教えてくれます。そして、また、方向転換をする選択が可能であることも示し、大変、勇気付けられる本です。

●JT生命誌研究館
館長
中村桂子様
 初めから終わりまで一気に読みました。いつものことながら、データに基づいた分析と問題提起は、説得力があります。プランB。これしかないという気持ちが逆にこちらをBにさせたのでしょう。プランBについて、不足はリーダーシップはその通り。「そこでリーダーになれるのはアメリカしかない。」というところで、ひっかかります。意味はわかりますが、今はまったく逆を向いているアメリカはいつそうなるのでしょう。おっしゃるように時間がありません。

●メリルリンチ日本証券株式会社
代表取締役会長
藤澤義之様
 本書を通じ、環境問題を経済の一部分として考えるのではなく、逆に環境問題の一部分として経済を考えるという視点を学んだ。

●株式会社リコー
社会環境本部 環境コミュニケーション 推進室
環境経営報告書編集担当(編集長)
松尾敏行様
  本書は『エコ・エコノミー』以来の一貫した視点に立ち、さらに最新の状況分析を加え、実現のための具体策(=「プランB」)を理解し易い形で示したものである。多くの人々に‘熟読’を勧めたい。「国家安全保障の根本は武力ではなく、自然システムと人口の安定にある」、「土地の生産性向上から水の生産性向上へ」、「税制を改革し、市場に生態系の真実を反映させる」など、わずかな字数で真実を突く鋭さはこれまで以上といえよう。

●サントリー株式会社
環境部長
水上喜久様
 省エネ、水のリユース、雨水の利用、水源涵養森林の整備等々の活動をしています。一企業の活動の効果は小さいですが、その意義を改めて認識しました。

●富士写真フイルム株式会社
執行役員
宮坂信章様
  著者は前著で環境バブル経済への警鐘を鳴らし、本書ではサステナビリティに向けての行動指針としてプランBの採用を呼びかけ、企業に対してもエネルギーの抜本的な転換など大胆なチャレンジを求めている。大局的な叡智が問われる時代になった。

●国連テクニカルアドバイザー
吉村和就様
  レスター・ブラウンの書籍は90年代当初から読んでおり、感情に流されず具体的な事例と数値を持って、警鐘を鳴らす彼の姿勢に感銘を受けておりました。今回の『プランB』は水素エネルギー社会構築など、具体的な解決策を提示しており、環境と経済との調和を考える読者にとって、バイブル的な役割をもつ本といえよう。

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 プランB

PLAN:B

レスター・R・ブラウン

 我々は自然資源を過剰に使用することによって、経済を拡大してきた。これは持続不能なバブル経済である。人類のさまざまな需要の増大とともに、このバブルも毎年、大きくなってきた。このまま「何事も従来通り」に行っていけば、バブルははじけて世界経済は破綻する。その前に、持続可能な社会経済にするのが、今日を生きる我々のなすべき挑戦である。
 人類史において、我々は自然資産がもたらす財やサービスをいわば利子として享受してきた。しかし、今日の経済生産の一部は自然資産そのものを消費して成り立っている。森林はその再生能力を上回るペースで伐採され、草地は過放牧によって砂漠化され、地下水は過剰に汲み上げられ、河川も過剰な取水により干上っている。大くの耕地から土壌が流失して生産力が奪われている。漁業資源は乱獲されて減少著しい。地球の吸収能力を超えるペースで二酸化炭素が大気に放出され、温室効果がもたらされている。大気中の二酸化炭素濃度は上昇しており、これは気温の上昇をもたらす。21世紀の上昇幅は最後の氷期から今日までの上昇幅に相当する。
 バブル経済は目新らしいことではない。2000年、アメリカの投資家はハイテク株の暴落とNASDAQ株価指数の75%ほどの暴落を目の当たりにした。日本は1989年に不動産のバブルがはじけて株と不動産が60%下落した。これが引き金となった債務超過と不良債権とで、日本経済はかつての活力を失い、再生できていない。この2つのバブル崩壊は西側先進国および日本の国民生活に大きな影響を与えた。しかし、現在のような自然資源の過剰な使用で成立しているブル経済がはじければ、その影響は世界全体に及ぶ。現在までのところ、自然資源の過剰な使用がもたらした結末、たとえば地下水の枯渇、漁場の崩壊、森林消失といったことは、それぞれの地域での問題といえた。しかし、それらの件数と規模は地球規模での影響を与えるまでに拡大している。
 さまざまな経済活動のなかでも、自然資源の過剰な使用の反動が大きいのは農業生産である。というのも、ここ数十年の目ざましい増産に少なからぬ貢献をしてきたのが実は地下水層からの過剰揚水や河川からの過剰取水、そして過耕作だったのである。水資源のこうした過剰な使用が始まったのは、比較的近年のことである。というのも、ディーゼルエンジンやモーターを動力とするポンプが広く使われるようになったのが、ほぼ20世紀後半の50年間であるからだ。地下水層からの過剰揚水が続けられている国は多い。世界の穀物の半分近くを生産している中国、インド、アメリカもこうした状況にある。
 過剰揚水は世界の食糧安全保障にとって危険である。つまり、近年の生産規模を支えている過剰揚水はいずれ地下水を枯渇させるわけで、そうなれば食料生産はまちがいなく低下するのである。かつては、こうした現実はサウジアラビアのような、人口の少ない国にかぎられていたのだが、今日では人口大国といえる中国で見られる。その中国の穀物生産量の推移は懸念される現実を示している。1950年の9000万トンからピークの98年の3億9000万トンまで大増産を果たしたが、そこで減産に転じて2003年は3億3000万トンであった。この減産分の6000万トンはカナダの年間生産量に相当している。中国は不足分を大量の在庫を取り崩して補っているが、こうした対応ができるのも、ここ1〜2年である。それから先は大量の穀物を世界市場から輸入せざるを得ない。
 世界市場でのこうした動向はアメリカに波汲する。アメリカと中国とは地政学的に微妙な関係にある。アメリカは世界最大の穀物輸出国である。中国は13億の人口を擁する市場でもあるが、対米貿易黒字は1000億ドルに達しており十分な購買力を持っている。もし、中国が世界市場に強力な買い手として参入すると、アメリカの消費者と中国の消費者とは、アメリカの穀物をめぐって、互いに価格を引き上げながら、しのぎを削ることになる。中国に見られるような水不足は穀物貿易を通して国境を超えることになる。つまり、水不足に直面する国は穀物というかたちで水を輸入する。というのも、穀物1トンを生産するのにおおよそ水1000トンを要するとされており、その意味で穀物輸入こそもっとも効率的な水輸入といえるからである。穀物の先物取引はまさに水の先物取引である。
 今日の農民は水不足と同様にもう1つの困難な状況に直面している。それは農業が始まって以来の高温である。地表面の気温の観測記録は1880年から整備されているが、その観測史上でもっとも高温であった16年は1980以後に集中している。さらに、もっとも高い3年は1998年、2001年、2002年であり、この5年間に集中している。これは農作物に大きな影響を与えた。国際稲研究所の専門家およびアメリカ農務省が見出した高温の影響のおおよその定量化によれば、作物の生育期間中、適作地にあっては気温が1℃上昇するごとに収量は10%減少する。
 この4年間、世界の穀物生産量は消費量を下回り、繰越在庫量はこの10年間で最低レベルになったが、その大きな原因は地下水位の低下と気温の上昇にあったといえよう。もし穀物不足が続くと、価格は危険な水準まで上昇しよう。それは政府と貧しい人々をかつてなく動揺させる。改革を回避し、「何事も従来通り」とする“プランA”では全てがマヒして破綻に向かう。まぎれもなく、バブル経済を生んだ経済体質である。
 本書が提示する“プランB”は経済のバブル体質を改め、持続可能な経済にする方策を示している。たとえば地下水の枯渇を回避するのには、まず需要を減らす必要がある。それには水利用効率を高めること、出生率を下げることなどが有効である。2050年までに、およそ30億の人口増加が予測されるが、そのほとんどはすでに水不足状況にある途上国でのことで、水への需要増大をもたらす。人口の安定化ができなければ、複数の国で水の需給は混乱状態に陥るであろう。出生率の低下と人口の安定化は次のような改善を実現することに他ならない――それは、女性がリプロダクティウ゛・ヘルスケアを受けられること、家族計画サービスを受けられること、初等教育の完全実施を2015年までの目標とする国連目標の実現を計るため教育への予算を確保することである。より多くの教育を受けた女性は生きる上でのさまざまな選択の範囲が広がり、出産する子どもの数は減る。我々には人口急増に直結する貧困を根絶させうる資金も知識もある。必要なのは意思だけである。
 作物の収量を減らすような高温を回避することは、すみやかに気候を安定化させることに他ならない。“プランB”では、その為に2015年までに炭素の排出量を「半減」することを提案している。これは、最近の複数の研究が示しているように、実行可能なことである。温暖化によって世界規模で作物収量が減少すれば、石油や石炭から天然ガスや風力発電や水素へのエネルギー源のシフトが一気に求められるであろう。わかり易い例で、白熱灯から小型蛍光灯に世界規模でシフトするならば、数百の石炭火力発電所が不要になる。飲料業界が詰替のできないアルミ缶からビンへと容器シフトをすれば、エネルギー使用量は最大で90%まで削減できる。
 アメリカのドライバーが従来の内燃エンジンから、トヨタのプリウスやホンダのインサイトといったハイブリッドエンジンへシフトすれば、ガソリンの使用量は半減する。つまるところ、炭素排出量の半減は技術面での障害があるわけではなく、むしろ政治の意思としてこれを実現させる、リーダーシップが欠けているのである。人口の安定化も水利用効率の改善も気候の安定化も、その実現の早さが問題になる。炭素型経済から水素型経済へのシフトを速やかに実現する鍵は、化石燃料の価格に気候変動がもたらすコストを内在化させることである。そのコストは温暖化がもたらす作物の減収、暴風雨の破壊力の増大、海面上昇などである。いまの市場には、そうした社会的コストと生態的コストが反映されていない。いま必要なのは生態学的真実を示す市場である。
 アメリカの疾病管理予防センターは1箱の喫煙の社会的コストを7.18ドルとしている。これにはタバコ関連の疾病の医療費、そうした疾病による労働力の損失などが含まれる。さて、同様に積算するなら、ガソリンの社会的コストはタバコ1箱と比べて高くなるのであろうか、安くなるのであろうか。残念なことに、2001年9月11日の同時多発テロ以降、世界の政治的リーダーとメディアの関心はテロリズムに集中してしまった。その後は、もっぱらイラク侵略に移った。テロリズムはたしかに憂慮すべきことがらである。しかし、オサマ・ビン・ラデンと彼の一派は道筋こそ意図した通りにはならなかったが、結果として、未来に大きなダメージを与えることに成功した。つまり、多くの人々の関心を環境からそらせたからである。環境問題は時機を失すれば、未来を大へんに暗いものにする。
 経済をバブル体質から持続可能な体質へ改める鍵の1つは、「安全保障」の見直しである。従来は軍事力こそ最大の脅威とされていたが、地下水位の低下・気温の上昇といった環境的脅威への対応こそが、安全保障としての重要性を増している。こうした脅威の見直しとは、政治の優先順位の見直しに他ならない。たとえば、軍事へ投入されている資金や資源を人口の安定化・気候の安定化にシフトすべきである。アメリカは政府予算を国防関連に重点的に注入して、世界最強の軍事力を維持しようとしているが、それこそが新たなる最大の脅威である。
 3430億ドルというアメリカの国防予算は、他のいかなる国より圧倒的に多い。アメリカの同盟国の合計が2050億ドル、ロシアが600億ドル、中国が420億ドル、ブッシュ大統領が「敵意に満ちた国」と称した3か国(イラン、イラク、北朝鮮)の合計が120億ドルであった。アメリカの退役将校であるユージン・キャロルはアメリカの今日の姿勢を次のように鋭く批評している。「冷戦の45年間、アメリカはソ連と軍備競争をしてきた。いまはどうだろう。敵も自分たちと同水準になるとの恐れから、アメリカがアメリカと軍備競争をしている」
 世界は破壊を回避するために「何事も従来通り」という“プランA”から、早急に“プランB”にシフトすべきである。早急とは、少なくとも1940年代前半にアメリカが平時経済から軍時経済へシフトしたような総動員体勢でなければ実現しない。このシフトは経済構造全体を1年ほどの間に改革したのだが、何よりも目覚ましかったのは自動車産業のシフトである。当時、アメリカの自動車産業界は年間300万台を市場に送り出し、世界最大の工業生産力を誇っていた。それが、このシフトでは乗用車の生産を中止して、タンクや武装兵員輸送車や航空機エンジンの生産に特化したのである。
 今日、世界の相互関係はきわめて密接になっている。自然資源を過剰に利用していた人類文明初期の考古学的遺跡から学ぶべきことは多い。技術は進歩を遂げ、富も充分に蓄積され、この二つを生かせば、世界を今日より安定した、かつ安全なものに改めることができる。未来世代の可能性を損なうことなく、満足のできる生活を送ることができる。
 「何事も従来通り」の経済活動で、破綻まで膨張を続けるバブル経済に身をまかせることもできる。しかし、人口を安定化し、貧困を根絶し、気候を安定化させる、そうした“プランB”を選択することもできる。後世の歴史家はそのことを評価するのである。いや、評価はさておき、選択を決断するのは我々自身なのである。

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 目次

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はじめに

第T部 ブループラネットの破滅への予兆とその回避

第1章 環境バブル経済を調整する
生態系への「ツケ」は支払期限が迫っている 
食料生産を不安にさせる二つの要因―温暖化と水不足
急成長を続けてきた中国の生態系のメルトダウン 
「世界のパンかご」アメリカに支えられてきた食料安全保障
破滅を回避する新たな選択―「プランB」

第U部 破滅への予兆を分析する

第2章 世界に広がる水不足
汲み上げすぎで、ますます低下している地下水位 
過剰な取水でやせ細る河川の流れ 
水不足の時代―農業用水を吸い上げる都市 
国境を越える「ヴァーチャル・ウォーター」―1トンの穀として1000トンの水を輸入する 
持続不可能な食料生産が支えている「増産幻想」

第3章 「母なる土壌」の流失と1人あたり農地の縮小
風と水によって大地から奪われていく「母なる土壌」
世界のキャッチフレーズすぎない?「砂漠化防止」
途上国で増加する自動車に農地が奪われる 
食肉増産のための飼料として畑地を占めていく大豆 
水不足や転用のために、 実質的に拡大できない世界の農地 
「拡大できない農地」と「増大する世界人口」との結末 

第4章 近年の急激な気温上昇がもたらしている異変
観測史上、もっともホットな近年 
農作物の収量にまで影響しはじめた温度上昇 
地球の貯水池である「天空」への攪乱作用 
氷山や南極の氷が溶けて海面が上昇 
温暖化でより頻繁に、より強大になる暴風雨 
結果的には、気候変動を促進するような補助金政策 

第5章 「明」と「暗」に分断された世界
「平気寿命が短くなってしまった」
「HIV・エイズの感染率が、あまりに高い国々の社会経済的惨状」
「貧困と飢えを改善できない」
「貧困がおもな原因となる病気の予防と治療ができない」
「依然として識字率が低くて社会経済が発展しない」

第6章 「プランA」―従来の経済活動を継続する場合
環境の劣化が加速される 
飢えと社会不安が拡大する 
環境難民が増大する 
人口増加が政治的紛争を激化する 
「プランA」の結末―さまざまな問題に対応できずに破滅を迎える 


第V部 破滅を回避する選択「プランB」の取り組み

第7章 水資源の利用効率を1.5倍に高める
過小評価されている「水の価格」を見直す 
灌漑用水の利用効率を高める 
雨水に頼る農業を安定させる 
生活用水や工業用水の利用効率を改善する 
世界の緊急課題として「水問題」に取り組む 

第8章 土地の生産性を高める
需要な増加、供給は頭打ち 
作物を多様化して農地を遊ばせない 
タンパク質の生産効率を高める 
収穫後の茎や葉を飼料に生かす 
土壌や農地を保全する 
病んだブループラネットを修復する 

第9章 炭素排出量を半分に減らす
エネルギーの利用効率を高める 
風力をエネルギー資源として活用する 
太陽光をエネルギー資源として活用する 
地熱をエネルギー資源として活用する 
水素型エネルギー経済を構築する 
炭素排出量を削減する 

第10章 社会的課題に果敢に取り組む
先進国の100億ドルで世界人口を安定させる 
地球規模で、すべての子どもに基礎教育を 
エイズの予防を強化する 
地球上のすべての人々の健康を増進する 
貧しい子どもたちのために、学校給食を実施する 
危機にうちのめされるのか、危機を脱出するのか 

第W部 ターニングポイント

第11章 「プランB」に世界規模で取り組む
エコ・エコノミーのトップランナーに追いつく
「プランB」にまずアメリカが、そして世界が取り組む 
環境的コストを反映する市場を構築する 
所得税から環境税へシフトする 
環境負荷の観点から、補助金を見直す 
地球上の誰もが希望を見出せる世界に 

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