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地球白書12−13 特集 持続可能で心豊かな社会経済を目指して
第4章 持続可能な交通輸送システムの実現に向けた取組<概要>
国際エネルギー機関は、人口・経済動向の予測に基づき、2050年までに世界の自動車保有台数は250〜375%増、同時期の交通輸送活動も75〜100%増と予測。途上国での交通事故死亡数は、2020年までに80%増と見込まれている。また、途上国では精製度の低い燃料や燃費の悪い自動車から多くの汚染物質が排出され、大気汚染物質の80%を占め、毎年130万人もの若年死の原因となっている。運輸部門の二酸化炭素排出量は、途上国を中心に、2050年までに300%増が予測されている。
高速道路や幹線道路の拡幅等、自動車インフラに集中的に資金を投じても、貧困層への恩恵は無にも等しい。公共交通輸送システムが利用できても、必ずしも安全とはいえず、運賃も高く、バスの専用車線がなく、自家用車と混在して走行するため、遅れも目立つ。自家用車は、最も非効率な道路の利用形態であるが、公道の大部分を専有している。最大50〜70名乗車できるバス1台と、自家用車3台(平均的合計乗車人員数6名)は、ほぼ同じスペースを必要とするが、バスの専用車線や優先車線を設けている都市は少ない。
クルマ社会は、貧困層にとっては、とりわけ危険なものである。世界全体で、交通事故による死亡者は年間120万人以上、負傷者は同5000万人に及ぶ。途上国の道路は、世界全体の半分に満たないが、交通事故死亡数の90%以上を占める。交通事故死は、世界の死亡原因の第9位だが、2030年までに、エイズ、肺がん、糖尿病、暴力による死亡数を上回り、第5位になる見通しである。交通事故死のうち、自転車利用者や歩行者等の脆弱な道路利用者の占める割合は、低所得諸国では70%、中所得諸国では90%、高所得諸国でさえ、少なくとも35%に達する。
気候変動に関する政府間パネルの2007年の報告書によると、気温上昇を2.0〜2.5℃に抑制するためには、温室効果ガス排出量を2050年までに2000年比で50〜85%削減しなければならない。運輸部門は、世界のエネルギー起源の排出量の27%相当の100億トンに迫る急増部門で、さらに増加の一途をたどっている。
著者:Michael Replogle is the global policy director and founder of the Institute for Transportation and Development Policy (ITDP). Colin Hughes is a policy analyst at the Institute.
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