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 トップ > ブックス > 地球白書12−13 特集 持続可能で心豊かな社会経済を目指して > 第8章

地球白書12−13
 特集 持続可能で心豊かな社会経済を目指して

第8章 持続可能性のガバナンスに向けた、新たな国際機関の構造<概要>

 1972年に創設された国連環境計画(UNEP)には、地球環境の調査とその結果に基づく修復と保全、政策的選択肢の提供、環境に関する認識の普及と活動の推進、国連組織内の環境活動の調整、各国の能力の開発等の使命が課されていた。当時、環境問題へのより良い成果を得るにあたって、UNEPは他の国連システムの強みを活用できる面から、敏速性や適時性、適応性に富んだ効率の優れた機関と評価されていた。

 創設されて40余年、この間に、環境的状況及び政治的状況のいずれにおいても、様相は一層複雑さを増したのだが、基本的な構造上の疑問は手付かずで取り残されてきた。それは、「持続可能性に向けての、国際的組織の最適な構造とは、いかなるものか」という疑問である。
 さらに地政学的背景や環境的課題、そしてグローバルな集団決定を下す緊急性に重大な変化があったにもかかわらず、UNEP創設にあたっての基本的な構想・機能・形態に関しては、特段の変革もなく今日に至っている。

 UNEPの立案者たちは、国連システムにおける数多くの機関を、連携した環境行動にどのようにして向かわせるかについて、格別の見識を示してきた。UNEPをどのようにして強化するか、あるいは補助機関から専門機関へと移行させるかについて、加盟国が熟慮するにあたっては、UNEPが既に持っている力量、過去に経験した成功例と課題事項、そして全ての障害や制約の根本原因を理解する事が重要である。
 委託された権限を、UNEPが一層、強力に行使できるようにする、つまり成果を上げられるようにするためには、単に新しい名称(例えば、世界環境機関や国際環境機関等)を与えても、それは全体として不十分なものでしかないであろう。この組織の内的な、あるいは外的な看過できない弱点を修正してゆく事が、より効果的で長期永続的な結果につながるのであろう。

著者:Maria Ivanova is assistant professor of Global Governance at theMcCormack Graduate School of Policy and Global Studies at the University of Massachusetts Boston.

 

 

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