地球白書とは?
地球白書2008-09の特集 | 地球白書とは? | 著者・監修者紹介 | 目次 | 購入する
『地球白書』は、1984年から米国ワールドウォッチ研究所が年次刊行物として発刊しています。様々な言語に訳され、世界で多くの研究者・政治家・政策スタッフ・企業関係者・教育関係者・学生に読まれています。
日本では1993年から翻訳されています。ワールドウォッチ研究所・著者等についてはこちらをご覧ください。
(左)「地球白書」創刊号
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著者・監修者について
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「地球白書」記者会見
※ワールドウォッチ研究所について
1974年にレスター・ブラウン氏が米国ワシントンDCに設立。人口・エネルギー・食料・地球温暖化・気候変動・安全保障・水・生態系など様々な環境問題を対象とし、雑誌"World Watch(ワールド・ウォッチ)"、年次報告書の"State of the World (地球白書)"などが多くの国々で読まれています。環境問題がさほど注目されていなかった設立当初から、独立非営利の研究機関として様々な警鐘を鳴らしてきました。
※クリストファーフレイヴィン
1955年、カリフォルニア州に生まれる。1977年にワールドウォッチ研究所へ。1990年に研究担当副所長に就任、2000年にレスター・ブラウンにつぐ第2代の所長に就任。 気候変動・エネルギー関連が専門。リオ・デ・ジャネイロ地球サミット・京都会議・ヨハネスブルク地球サミット等に参加。その他、多くの気候変動・エネルギー関連の研究プロジェクトを手掛ける。The New York Times、Technology Review、The Harvard International Review、Time Magazineにコラム等掲載。BBC、CNN、NPR、Voice of America、PBS等に出演。
※日本語版監修―エコ・フォーラム21世紀
環境監査研究会代表幹事 後藤敏彦
地球環境戦略研究機関 理事長 浜中裕徳
東京大学大学院 農学生命科学研究科 教授 林 良博
早稲田環境塾 塾長 原 剛
日本環境財団 理事長 福岡克也
京都大学大学院 地球環境学堂 教授 松下和夫
日本気候政策センター 理事長 森島昭夫
国連大学名誉副学長 安井 至
(五十音順)
事務局 織田創樹 四條舞美
※日本語版編集協力
環境文化創造研究所
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データ年鑑 |
環境問題をはじめる |
レスター・ブラウン著作 |
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目次
地球白書2008-09の特集 | 地球白書とは? | 著者・監修者紹介 | 目次 | 購入する
目 次
はじめに
環境界の一年間の主要動向
第一章 持続可能な経済を育てる
20世紀型経済システムの破綻
25億人が一日2ドル以下で暮らしている
持続可能な経済が出現する予兆
◆時代遅れの経済設計図
自然は無限で、人類の英知で支配できる!?
経済発展は、自然資源に左右されないという誤った認識
自然の許容量を超えてしまった世界経済の規模
「人工資本」よりも「自然資本」が重視される時代へ
経済成長至上主義の弊害
市場効率だけでは、公正さを確保できない
人間は経済的合理性のみで生きている訳ではない
◆膨張しつづける負債
《気候変動》
温室効果ガスの排出抑制に必要な投資は世界総生産の1%
スターン報告―いま対策を打たなければ、破滅的な未来
タフツ大学―気候変動で、世界総生産に年間8%以上の損失
《生態系の劣化》
産業革命以来、生物種の絶滅率が50〜500倍に上昇
生物多様性の喪失が、莫大な経済的損失をまねく
「市場の失敗」が環境破壊を拡大させた
《富の不公平な分配―豊かさのなかの貧困》
人類の8人に1人は慢性的飢餓状態にある
裕福な500人と貧しい4億1600万人の合計所得が同じ
2%の人々が、世界の家計資産の半分以上を所有
格差は何世代にもわたって固定化され、経済を停滞させる
◆経済学の概念的改革―七つの重要な課題
《経済規模の調整》
経済は生物圏が支えうる規模を超えられない
国際的企業が、排出削減目標を政府に求めはじめた
経済を流れる物資の量を減らす企業の取り組み
埋立処理ゼロを目指すニュージーランド
《量的拡大から質的発展への転換》
人間のウェルビーイングを改善する
マイクロ・クレジットによって脱貧困を
所得の増大と幸福感―日本人は幸せになったか?
「自転車」と「歩く」―健康のキーワード
ウェルビーイングの促進を国家目標とする
《環境を反映した価格》
価格に環境コストを反映しない「市場の失敗」
税によって環境に配慮した経済活動を誘導する
自動車渋滞税で、人と環境に優しい都市をつくる
《自然のサービス機能の価値》
人類文明を支える自然のサービス機能
農業を支える自然の力―たとえばミツバチ、天敵
無料とされてきた自然に、適正な価格を付ける
《予防原則の採用》
「転ばぬ先の杖」でリスクを軽減する
不確実性からくるリスクを評価する
疑わしいものは排除する積極的な姿勢
リスク回避の手段「義務履行の保証書」
《コモンズ(共有財)の管理方式の活用》
大気は地球万人のもの
大気や海を守ることの難しさ
第三の管理手法「集団所有権制度」
コモンズ管理システムの実際
《女性の価値評価とエンパワーメント》
根強い男女の賃金格差
女性を苦しめる土地所有と融資の問題
女性の無償労働を再評価する
◆改革による革命論
消費者の動向が持続可能な経済のカギを握る
企業の取り組みに影響を与える、消費者と株主
ベンチャー・キャピタルは経済変革を促す
政府の指導力が推進の最大のポイント
必要不可欠なのは「賢明な政府」の存在
新しい経済学「持続可能な国富論」の構築に向けて
第二章 「真の進歩」のための新たなボトムライン
もはやGDPでは「進歩」の度合いを測れない
◆経済のグローバル化と「真の進歩」:広がる格差
生活の質を反映できないGDPの欠陥
GDPでは戦費まで、生産に計上されてしまう
マクロ経済指標では、富の偏在はみえてこない
ミクロ経済指標でも、生活の実態がみえてこない
物質的な豊かさだけでは満足感は得られない
◆持続可能な開発:新たなボトムライン
持続可能な開発に共通するテーマとは
新しい指標の基本的枠組み
◆マクロ経済的な考え方
GDPに代わる概念「真の進歩指標」(GPI)
アメリカの経済活動の半分は、持続不可能な状態
GPIが突きつける「不都合な真実」―たとえば中国
政策の情報源として、GPIが利用されはじめた
地球幸福度指数(HPI)では、中央アメリカが高い評価
人間開発中位国のHPIは、低位国や高位国より高い
ブータンではGNPに代え、国民総幸福量(GNH)を採用
カーボン・フットプリントが示す、炭素排出量の削減目標
社会的公正を測る指標「IRE」と「ジニ係数」
自然資本のストックを使わずに、フローのみで暮らす
持続可能性を測る指標「エコロジカル・フットプリント」
地域の経済」の強化が、今世紀の大きな潮流となる
◆ミクロ経済的な五つの目的
ミクロレベルでも求められる持続可能性の測定方法
認証制度で「底辺への競争」を未然に防ぐ
グローバル・リポーティング・イニシアティヴ(GRI)
「廃棄物ゼロ」を目指す3M社の3Pプログラム
カーボン・オフセットへの取り組み
製品寿命を延ばすことで廃棄物を減らす
水と電力の使用量削減は経済的メリットをもたらす
仕事の満足度アップが、職場の持続可能性を高める
職場環境を指標化することで、改善への方向を見出す
現地調達の推進が、コミュニティ活性化に不可欠
適正な賃金の支払いが、すべての基本
◆新たなボトムラインを推進する
国際金融機関に義務づけられている便益費用分析(BCA)
正しい測定方法が、真に優良な企業を後押しする
政府主導で、環境がもたらす財貨とサービスの市場を開拓する
「人類を望ましい方向へ導く」指標イニシアティヴを
第三章 生産を見直し、資源効率を高める
迫られる、生産方法の抜本的な改革
「賢い選択」で、地球への負荷を軽減できる
自然資本主義の原則
資源消費量を減らしても、生活水準を下げないで済む
◆環境効率のゆるぎない基盤
環境効率を無視しては、持続可能な社会は実現できない
なじみやすい環境効率の導入
「ファクター4」から「ファクター20」へ
環境効率の定義
世界経済人会議(WBCSD)
生産能力の向上とコストの削減を同時に実現
半導体企業ST社―環境効率の導入で業績を上げる
ウォルマート―GEと発光ダイオード照明に取り組む
トヨタ自動車―ムダ、ムラ、ムリのない生産方式
ポーションパック・ケミカル―ビジネスモデルを転換
◆「ゆりかごから、ゆりかごへ」:製品寿命を延ばす
「エネルギー」を使わず、「労働力」により付加価値を生む
環境と経済が対峙する段階
持続可能な手法を組み込む
社会生態学の要素を加味する
文化生態学という概念を取り入れる
労働生産性向上では、ウェルビーイングは改善されない
人を活かすことは推奨し、資源を使用することは不利にする
「ヴィジョン」が持続可能社会を支える
◆自然の導きに従う
自然から知恵を得る「バイオミミクリー」
紙と魚の廃棄物から、農業用マルチフィルムを作る
アワビの殻からヒントを得て、バイオ複合材料を創る
トヨタ自動車のサスティナブル・プラント計画
第二の産業革命は、自然の模倣から生まれる
◆革新の新しい波に乗る
産業革命の波の軌跡
革新の波は、すぐそこまで来ている
短期的利益偏重からの脱却
トリプル・ボトムラインから統合ボトムラインへの転換
環境と社会に配慮する企業が認められる時代
いまこそ、持続可能な未来を構築する絶好の機会
第四章 持続可能なライフスタイルに転換する
「希望」こそが、発展途上国の急成長を支える力の源
発展途上国の人々も、地球温暖化の現状を理解している
発展途上国の人の方が、「問題は解決できる」と感じている
地球環境は発展途上国の願望に応えられるのか?
◆持続可能性の方程式
決定的な要因は、人口とライフスタイル
南北間の二酸化炭素排出量の差はライフスタイルから
中国の排出量は、ついにアメリカを抜いた
経済発展という排出量の増大圧力
◆「欲望の科学」―なぜ、人は消費を好むのか
「財貨」が価値をもつ理由に、経済学は答えていない
消費者行動の奥底にあるのは「アイデンティティー」
環境問題を考えながら、大きな家に住みたいという消費者心理
グローバル化する消費者社会
◆ウェルビーイングについての逆説
先進諸国ではウェルビーイングが後退しはじめた
物質主義的傾向が強い人は、幸福度が低い
失われる信頼とコミュニティ
先進国が示せない「真の幸福」
◆試みる人々―「消費を減らして、幸せに暮らす」
「質素」な生活を求める新たな潮流
質素な暮らしで、主観的ウェルビーイングを増大させる
広がる「バイ・ナッシィング・デー」と「トランジッション・タウン」
「消費を減らして、幸せに暮らす」取り組みは、まだ少数派
◆地位と生存のための戦い
セックスと消費衝動―遺伝情報を伝えるために
社会的地位が健康とウェルビーイングを左右する
「快楽の踏み車」から、降りられない人々
◆消費主義という「鉄の檻」に閉じ込められて
消費社会が奨励する個人主義と競争
「現在の欲求」と「将来の欲求」のバランスを保つ
近視眼的行動を抑制する社会的、制度的メカニズム
「付託システム」を崩壊させる経済成長至上主義
消費拡大に依存するシステムが、持続可能な社会を蝕む
◆「足る」を知って、充実した生活を送るには
変革のためのガヴァナンス
持続可能なインフラ整備にシフトする
社会的費用を市場価格に上乗せする
「政策」が人々の価値観に大きな影響を与える
ウェルビーイング指標の導入で、社会を持続可能な方向へ
子ども向け広告の規制に乗り出した北欧諸国
宗教の力を見直す
「脱・消費社会」の実現を目指して
第五章 肉と魚―もっとも環境への負荷の大きい食材
世界中で急増する食肉と魚介類の消費
中国の魚介類の消費は10倍以上に増えた
先進国の食卓―ステーキとロブスターは過去のもの!?
◆コスト削減を目指して大規模生産へ
工場式畜産の象徴となるブロイラーの登場
「漁獲技術の向上」は海洋資源への脅威
工場式畜産向けの飼料生産が酸欠海域を生み出している
◆自然に帰ろう
伝統的畜産への回帰―フィリピンとアイオワ州の事例
伝統的方法でも、経済的に見合う生産が可能
人手をかける畜産方式は「よく育つ」
ウシを草地に戻すと、怩ーっぷ掾Aつまりメタンが減る
世界の漁業生産量の40%が養殖魚
工場式養殖場の問題点―大量の資源消費と廃棄物
養殖方法の変革を望む市民の声が届きはじめた
昔からの知恵「複合養殖(混養)」を見直す
カキ養殖で沿岸生態系を修復し、雇用も創出する
メリットが多い、水田での魚の飼養
世界に広がる養殖の恩恵
◆補助金システムを変える
工場式畜産を支える飼料穀物に、多額の補助金
アメリカ・EU・日本が、世界の漁業補助金の八割を占める
魚の生息域を破壊する底引網漁は補助金頼み
発展途上国では、風土に合わない外来種の飼養に補助金が
小規模漁業は大規模漁業の五倍の雇用を生む
ニュージーランドでは補助金廃止が畜産を活発化
全面禁漁の「海洋保護区」の大きな効果
◆倫理にかなった「安全でおいしい」食品
持続可能な食品をラベルリングする動き
ユニリーバが支援する海洋管理協議会(MSC)
急成長する「環境に優しい漁法で獲られた魚」を探し出す企業
最大手食肉業者が「抗生物質を投与しない」決定をした
「健康」と「環境」のブームに乗ろうとする企業
時代の要請を受け、一本釣り漁に戻る漁師たち
◆食物連鎖の下位への転換
未来世代のためのメニューは「肉もマグロも控えめに」
肉の代替品を開発し、環境負荷を減らす
食物連鎖の下位のものを選んで、環境と健康を
スローフードの流れから生まれた「スローフィッシュ」
「カタクチイワシをグルメ食材に」―ペルーでキャンペーン
「ツナからイワシへ」―食生活を変える
在来種を絶滅から救うために「ブランド化」する
発展途上国が訴える、家畜の遺伝的多様性の保護
フカヒレスープのために、毎年一億匹のサメが殺されている
「食の構築」は、生産環境を「知る」ことから
第六章 低炭素経済を構築する
破滅的な気候変動シナリオを回避するために
◆悲惨な結末を回避する
自然の営みと全く異なる急激な大気組成の変化
「北極海の浮氷群」も「グリーンランドの氷床」も融けていく
気候変動が経済を停滞させる
半世紀で、化石燃料からの温室効果ガス排出量は5倍に
デッドラインは目の前に迫っている
目標と現実のギャップは2030年時点で3倍
年10%の勢いで増える中国の二酸化炭素排出量
目標は2050年までに二酸化炭素排出量を50%削減
目標を達成するための三つの気候戦略
石油の使用を減らすことが一番の近道
期待が高まる二酸化炭素回収・貯留(CCS)
あまりに進展が遅いCCSプログラム
規制のない石炭燃焼は即刻中止すべき
◆好都合な真実
化石燃料と競合できる省エネ技術は、すでに存在している
アメリカでさえ、三〇余年でエネルギー生産性は2倍に向上
エネルギー生産性を年1〜2%改善すれば、40年で使用量は半減
建築物のエネルギー生産性改善が、もっとも効果的
化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトは十分に可能
◆新エネルギー経済の設計
再生可能エネルギーの「間欠性」の問題は克服されつつある
脱・化石燃料化を進める電力企業の三つの戦略
デジタルグリッドを導入する
圧縮空気を利用して電力を貯蔵する
自動車を、需要ピーク時に稼動する発電機として利用する
需要の変動に迅速に対応できるマイクロ発電機
既存インフラの利用で、新エネルギーへの移行をスムーズにする
◆すでに始まっているエネルギー経済の変革
経済優位性が逆転すれば、新技術への移行は急ピッチで進む
再生可能エネルギー源開発補助金はイラク戦費の一日分
進む、再生可能エネルギーへの投資
民間の方が盛んな、クリーンエネルギー研究開発
シリコンバレーで、ポストITを牽引するクリーンエネルギー
風力発電と太陽光発電の、いっそうのコスト削減が進む
◆エネルギー市場の変革
価格設定だけでは、化石燃料の消費を減らすには限界がある
エネルギー問題は、新古典主義派経済では克服できない
政府の規制によって、効率化を推し進める
RPS(再生可能エネルギー供給割当制度)
節電利益を、省エネ機器製造・施工企業と施行主で折半する
電力業界への新規参入を促す
◆最後の転換点
政治の力で危機的状況を変えられるか―進展の事例
希望―明確なヴィジョンをもって、いま行動をする
第七章 排出量取引市場を発展させる
カーボン・クレジット―炭素排出量取引が果たす役割
排出量取引市場が世界最大の商品市場になる
◆排出量取引市場の現状
欧州連合(EU)が構築する排出量取引制度
一年で三倍に増えた排出量取引市場での取引額
◆キャップ・アンド・トレード制度
世界最大―欧州連合域内排出量取引制度(EU―ETS)
世界初―ニュー・サウスウェールズ取引所
企業と組織が自主的に設立―シカゴ気候取引所(CCX)
北米や豪州で進む、排出量取引市場創設の動き
過大な排出枠配分でクレジット価格暴落―EU―ETS
排出枠の無償配分から「棚ぼた利益」
安価な炭素クレジットで目標達成?!―先進国への懸念
第二フェーズのクレジット価格は高値基調か
オークション・システムを導入し、収益を気候変動対策に
◆動き出した京都メカニズム
急成長を続けるクリーン開発メカニズム(CDM)
CDMプロジェクトの半分を占めるのは中国
あまりに少ないラテンアメリカとアフリカへのCDM投資
CDMクレジット獲得のため、オゾン層破壊物質を製造する
「森林破壊の防止」によるCDMプロジェクト
企業とNPOが自主基準の整備に乗り出した
JIプロジェクトの多くはエネルギー・プロジェクト
プロジェクト承認に必要な「追加性」と「リーケージ」証明
小規模プロジェクトでは取引コストを吸収できない
強化されたCDMの監視体制
◆自主参加型排出量取引市場の評価
欧米の消費者が「カーボン・ニュートラル」を望みはじめた
「追加性」の証明が困難なカーボン・オフセット
カーボン・クレジットを精査し、発行者にプレッシャーを
カーボン・オフセットだけでは、排出量は減らせない
◆排出量取引市場の将来
正確な算出方法構築への動きと限界
最高水準の認証システム「ゴールド・スタンダード」
自主的オフセット市場の国際基準を確立する取り組み
京都議定書の目標は第一ステップにすぎない
焦点―「アメリカの参加」「途上国への削減目標設定」
「プログラムCDM」で、投資を魅力あるものにする
「政治を動かす」ことが、排出量取引市場の最大の役割
第八章 持続可能な経済における水資源
水を重要な環境資源として再認識する
世界人口の四割が水不足に悩まされている
水不足―物理的不足と経済的不足
激化する「水をめぐる争い」
転換を求められる水の管理方法
◆今日の経済における水資源
ハンバーガー1個を作るのに一万リットルの水が必要
安全な飲料水の確保が最優先課題
忘れられがちな生態系維持に必要な水
《国家レベルから国際レベルまで、さまざまなレベルでの水管理》
行政区画や国境と水文学的境界は、必ずしも一致しない
国際河川における流域管理イニシアティヴ
《水の管理と公平性》
水政策が経済活動の構造を決定する要因になる
水危機は公平さと権力の問題に直結する
◆持続可能な環境を実現するため、水に価値を付ける
「真の価値」より、かなり低く設定されている「水価格」
水の汚染も浪費も、経済成長として算入されてしまう
水資源不足が、持続可能性を重視する動きを加速
水を経済財と認めることで、水自体の価値に光が当たる
供給サイドの視点から、需要サイドの視点へ
◆「何ごとも従来通り」に、別れを告げる革新
《技術における革新》
期待される、農業における水生産性改善
「水に恵まれない」シンガポールは水資源管理の先進国
関心が高まる、湿地帯や氾濫原などの「自然界の水インフラ」
《管理の革新》
増える利害関係者の協議の場
消費者の要望とコスト削減意識が、民間の取り組みを促進
《市場ベースのツールの革新》
適正な水価格で、市場機能を持続可能性強化に役立てる
正常に機能している水市場は、水生産性を向上させる
国連が策定した「環境経済水勘定」
「真の貯蓄」を用いると、多くの国はマイナスの状態
バーチャルウォーター取引の功罪
WTOで協議される、給水と排水処理サービスの障壁撤廃
生態系サービスに対価を支払う四つの制度
[1]民間支払制度
[2]キャップ・アンド・トレード制度
[3]認証制度
[4]公的支払制度
◆経済政策と水政策を同調させる
水管理は、経済への影響に配慮しなくてはならない
経済政策も、水管理への影響に配慮しなくてはならない
危機にこそ、楽観主義をもって行動に移ろう
水革新の実現に向けて「変化を起こす」
第九章 生物多様性バンキングシステムを構築する
自然の価格をゼロとみる時代は終わった
市場を利用して生物多様性を守る三つのメカニズム
[1]政府による価格決定
[2]自主参加型の民間取引による価格決定
[3]複合型システムによる価格決定
◆経済成長の前に立ちはだかる「アブ」という難題
絶滅危惧種を救うために、どれだけ費用を負担すべきか
絶滅危惧種の価値は、いったい何をもって測るのか
市場で価格づけされる絶滅危惧種
絶滅危惧種オフセット
◆湿地ミティゲーション・バンキング
アメリカの水質浄化法にみる「湿地のノー・ネットロス」
「湿地クレジット」を販売する湿地バンク
湿地バンクが、湿地の価値を高め、開発を経済的に抑制する
損失を受けた湿地を回復するには、2〜3倍の補償が必要
問題は、ミティゲーション改善の監督機関が存在しないこと
保全地役権の第三者保有で、保全湿地の恒久的維持を図る
「それでも」、ミティゲーション・バンクは確実で効率もよい
◆絶滅危惧種を負債から資産に変える
「生物種クレジット」を販売するコンサベーション・バンキング
絶滅危惧種に価格を付ける?!
ミティゲーションによって、開発者と購入者の双方に利益が
絶滅危惧種の保護がビジネス・チャンスをもたらす
◆政府の保全プログラム―その利点と欠点
オフセット制度は発展途上国での導入も十分に可能
ブラジル―土地所有者に最低限の面積の森林保全を求める
中国―北京政府主導の「退耕還林」政策
メキシコ―水使用料から、流域の森林保全に給付金を拠出
コスタリカ―所有する森林を保全すると給付金を受け取れる
ビクトリア州―逆オークションで保全コストを大幅に削減
◆自主参加型生物多様性オフセット
生物多様性オフセット・プログラム(BBOP)の目的
企業が生物多様性オフセットを実施する理由と受ける恩恵
世界中に広がるBBOPとの連携
◆自然は、どれほど大きな価値をもっているのだろうか?
過去に設定されたシステムに縛られるな!
市場の力で柔軟なシステム―自然と経済の共存を目指す
第十章 コモンズのパラレルエコノミー
バリ島の「コモンズとしての水」の伝統的管理
人は―「金銭的インセンティヴのみで動くにあらず」
人は―「創造を心から楽しむ、社会的存在」
近代経済の書には欠落している「人間の本性」
自然資源保全のモデルになりうるコモンズ
◆コモンズは、「共有地の悲劇」とされたほどの悲劇をもたらすのか?
経済学者が考える「合理的行動」は、現実とかけ離れている
共有地の悲劇は、実際にはほとんど起こらない
フィリピンの水利組織、サンヘラの仕組み
スイス・トルベル村1500年以上も機能してきたコモンズ
最適頭数しか放牧しなかったアメリカの入植者
問題の本質はコモンズの「オープンアクセス」にある
コモンズへの脅威は、外部や企業からもたらされる
◆企業所有化の悲劇
アダム・スミスの想定とは全く異なる現代の企業
企業財務に負けてしまった自然資源の保全
憲法の保護を受けるアメリカの近代企業
コモンズへの、企業の侵犯を食い止める
◆コモンスペースを取り戻す
電波、遺伝子や宇宙まで、コモンズを私的財産化する流れ
エンクロージャー(囲い込み)への反発
コミュニティ・ガーデン―コモンズを支える社会構造を取り戻す
コモンスペースの復活
ファーマーズ・マーケットはコモンスペースを受け継いでいる
コモンスペースへの侵犯を防ぐ
◆コミュニティとコモンズ
メイン州のロブスター漁業を支えるコモンセンス
公平性と相互利益を基本に、コモンズの規模を拡大する
「現時点」を基準にする企業、「将来」を見据えるコモンズ
侵犯に弱い、政治がからむ「公有」というシステム
トラスト制度を、大きいコモンズに応用する
大気汚染対策としての排出量取引制度の問題点
チャーチルの問い―「コモンズから、何を私有化したのか」
土地は一種のコモンズである
公的整備がもたらした、土地の価値上昇分を税金で回収する
コモンズによる管理方法を政策に発展させる
第十一章 コミュニティを活かして持続可能な世界を目指す
行政にも影響を与える、エコビレッジのユニークな取り組み
「世界の革新」はコミュニティ・レベルでの革新から
◆持続可能性のモデルとなる
115人のメンバーで、二酸化炭素排出量を3865トン削減
コミュニティ・レベルでメタボリズムを改善
人間的な規模で、自然界を傷つけない―エコビレッジの理想
人間の絆と環境を大切にするコ・ハウジング
コミュニティ・レベルの実践―たとえばカープール
◆コミュニティの絆を育む
アメリカ社会の親友喪失シンドローム
社会的な孤独は、健康面でも悪影響を及ぼす
資源を共有することで生み出されるソーシャル・キャピタル
「大きいことより、小さいことの方がすばらしい」とする教育
家庭でも職場でもない空間―「第三の場所」は怩スまり場
地元産の食べ物を提供し、風力で発電するカフェの取り組み
◆地産地消を目指して
地域で食べ物を生産することで、環境と健康を改善する
生産者にも消費者にもメリット―ファーマーズ・マーケット
コミュニティ・ガーデン―「安全」「おいしい」「適度な運動」
「不足の時代」に―キューバの有機菜園vsアメリカの芝生
自治体やネットワークによる、「地域の経済」を取り戻す動き
貧困問題解決の手段としてのコミュニティ主導型開発
◆持続可能なコミュニティへ融資する
コミュニティ開発金融機関(CDFIs)の果たす役割
地元への経済効果が大きい「地域通貨」
事業を通して、社会的課題の解決を図る「社会的企業」
◆コミュニティが社会を動かす
コミュニティが取り組みやすい、地元の自然修復プロジェクト
エコビレッジが果たす、研修と教育の場としての機能
コミュニティが地域政策へ影響を与え、「賢明な成長」を進める
グリーン認証制度を基準に、地域開発をコントロールする
コミュニティがメンバーに加わる「エコ自治体」
適切な支援があれば、コミュニティは能力を発揮できる
コミュニティの力を引き出すカギは、国の意識改革
第十二章 人々の意志と行動力を活かす
ニジェールの砂漠に緑が戻った
状況を変えたいと望む貧しい人々こそ、改善の原動力
コミュニティ主導型開発―恒産を築き、自由を拡大する
究極の資源「人間の意欲、熱きエネルギー」を活かす
◆地域の実状に基づいて行動する
単一的な欧米主導型開発から、各国の実状に合った方式への転換
人々の自由を拡大することも、開発の大きなテーマ
「地域の知恵」を評価し、「実感しているニーズ」に応える
貧困の本質は、「富と力のある人々」が築いた既存の制度にある
◆無限にある資源
「女性を差別しないで!」―インドの女性自営者組合
明日は、今日よりも良くなる―「向上を目指す能力」
「自分の力で成功を体験する」ことが「向上を目指す能力」を育む
女性たちの力で、生活を改善し、児童婚姻の因襲も撤廃
「市民の運命」を左右するのは「市民自身」
◆あるコミュニティでの成功をスケールアップする方法
コミュニティ自らが融資先を決定できる開発計画―世界銀行
インドネシアの郡開発事業(KDP)
アフガニスタンの国家団結プログラム(NSP)
さまざまな事態に適用できる生物学的アプローチの進め方
チョモランマ国立自然保護区
◆障害を取り除くためにすべきこと
欧米の攻撃的農業保護政策は、貧しい国を市場から閉め出している
国際援助の多くは、援助国に利益が還流する「ヒモ付き」
発展途上国に求められる「援助を適確に受けるための改革」
世界が支援すべきは、「底辺の10億人」が住む諸国である
第十三章 持続可能な経済の確立に向けて投資する
ゴールドマン・サックスの報告
未来重視の姿勢は、投資と持続可能性に共通している
◆社会的責任投資
スクリーニング―投資適格企業を選別する
まだ歴史が浅いコミュニティ投資
世界全体のSRI資産はおよそ四兆ドル
「持続可能な投資」が、資本主義の欠陥を修正する
検証―「持続可能性は株価に反映されているのか」
石油企業による再生可能エネルギーへのささやかな投資
真の持続可能な投資を目指す「再生型投資」
◆株主行動
社会や環境に取り組む活動家が、株主としての権利を主張する
株主行動が、企業の経営方針に着実に影響を与えつつある
株主行動を大きく制限する証券取引委員会(SEC)
◆プロジェクト・ファイナンスと赤道原則
熱帯雨林行動ネットワークが起こしたシティへの反対運動
赤道原則の遵守状況の詳細を公開しない銀行
◆プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、ヘッジファンドが環境関連投資に注目
「買い」から「保有」へ格下げされた石炭株への投資
クリーンなエネルギーと技術の分野に集まる投資
◆世界に広がるマイクロ・ファイナンス
貧困を改善する大きな力「マイクロ・ファイナンス」
批判―本当に貧しい人は利用できるのか?
先進国から流れ込む巨大な投資
万能ではなくても、現時点では最良の方法
マイクロ・ファイナンスも「持続可能性」を導入
◆持続可能性への投資がかかえる諸問題
カーボン・オフセットやバイオ燃料への疑問
イギリス―環境情報所載義務づけを無効にした財務大臣
アメリカ―情報開示義務付法に冷淡な証券取引委員会
透明性が無ければ、企業の取り組みは進まない
企業の多くが採用するGRIガイドライン
二酸化炭素排出の情報開示をしている企業は業績が良い
「持続可能な投資」―本当の成果が問われるのはこれから
第十四章 貿易ガヴァナンスへの新たなアプローチ
◆世界貿易:助けになるか障害になるか
第二次大戦後の世界経済発展の大きな牽引力―「自由貿易」
貿易は平和に貢献する
◆多国間貿易体制の目標
一括受諾というルールによって、拘束力と強制力をもつWTO
WTOの前文―持続可能な開発により、途上国の発展を促す
貿易規約では、経済政策が環境政策より優先されてしまう
◆WTOのガヴァナンスの危機の根拠
WTOの恩恵を受ける貿易大国は、いっそうの自由化を求める
貿易政策と環境政策の対立
小さな発展途上国には参加できない、交渉の煩雑さ
「持続可能な開発への貢献」に対する説明責任
◆WTOの目標を尊重するという課題
「交渉による取引」では強者が優位に立つ
公共政策の優先順位によって、環境が重要視されない現実
◆環境をWTOで真剣に取り上げる
芽生えつつある「貿易と環境は支え合う必要がある」という認識
◆WTOの危機への対応
発展途上国への「貿易のための援助」
持続可能な開発に関する一連の評価や考査
進むべき道―持続可能な開発
◆世界の変化を受け入れる
民族国家という枠を超えたガヴァナンスのモデル―欧州連合
G-20―「多極化の世紀」のガヴァナンス
◆何が危機に瀕しているのか
「人類の公益」に貢献する貿易ガヴァナンスを目指す
原 注
索 引 |