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Eco-Economy-Update 2002-14

不妊手術は世界で最も一般的な避妊方法
-四分の一の出生が未だ計画外-

ジャネット・ラーセン

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 女性の不妊手術は世界で最も一般的な避妊方法である。国連の世界的な規模の、夫婦のリプロダクティブ・ヘルスに関する調査によると、出生抑制の五分の一は女性の不妊手術(卵管結紮)によることがわかった。ブラジル、インド、中国では既婚女性の三分の一以上は、不妊手術をしているという。
 男性の不妊手術(精管切除)は、女性の不妊手術よりも安全かつ簡単で安価であるにも関わらず、あまり普及しておらず全夫婦の4%が実施しているにすぎない。ニュージーランド、イギリス、オランダ、ブータンを含むほんの数カ国で、男性の不妊手術が女性の不妊手術を上回っている。
 世界の10億組の夫婦のうち、6億5000万組が家族計画を行っている。残り3億5000万組の夫婦は家族計画サービスを受けることができないか、家族計画をしたいと思っていない――世界の年間増加人口8000万人の極めて多くはこうした夫婦の出産の結果である。また、こうした夫婦では中絶を多くすることになり、より高い妊産婦死亡の危険にさらされている。
 近代的な避妊方法をとっている世界中の夫婦で、女性の不妊手術(36%)の次に普及しているのが、子宮内避妊器具IUD(27%)で、次いでピル(14%)となっている。さらに6%が他の近代的な女性の避妊方法をとっている。
 近代的避妊方法では、ほんの17%しか男性が関わっていない。男性の不妊手術を行っている夫婦の7%に加えて、9%の夫婦がコンドームを使っているだけである。しかし、こうした男性側の避妊手術は、先進国において38%の夫婦が行っているのに対し、世界の途上国では12%にすぎない。伝統的な出生抑制としては性交中絶がおそらく最も古い方法であろう。この方法は世界中の3200万組の夫婦で行われており、ユーゴスラビア、ブルガリア、ルーマニアなどの東欧諸国では、最も普及している方法である。
 ニュージーランドは精管切除の割合が世界で最も高い国として知られており、既婚男性のうち五分の一が精管切除をしている。この方法はピルよりもやや普及率が低くなっている。世界で8番目に人口が多い国のバングラデシュの家族計画調査団は、ニュージーランドの精管切除の高い普及率から、どのようにしたら高人口密度の自国において、その方法を推進することができるかを調べている。
 日本の男性は他の国よりも、家族計画に対する責任を持っている。ピルの入手が最近ようやく可能になったのを見ても明らかである。2000年には日本ではコンドームの使用は近代的避妊方法の78%に上っている。これは1994年の86%から減少している。理由は、近年、夫婦がピルの使用に切り替えつつあるからだ。ピルの使用は1999年、日本政府により認められている。
 日本ではコンドームの使用がいくらか減ってきているが、一方で他国では特にHIVのような性感染症に対する予防として、コンドームの使用が増加している。アメリカの全ての避妊を行っている人は、例えばピルの使用が31%(1988)から27%(1995)に減少した一方で、コンドームの使用は同期間中に15%から20%へと増加している。同じような傾向が、カナダ、フランス、オーストラリアで見られる。
 アメリカの既婚者で近代的避妊を行っている人のうち38%は男性側の避妊で、コンドームあるいは精管切除に分かれる。一方で女性側の避妊をとる夫婦は34%であり、男性の避妊の場合とは違い、一つの方法によっている。つまり22%がピルを使用している。そして1%未満がIUDを使っている――これは世界の最低の水準である。
 中国やインドは世界の二大人口大国で、女性の避妊が圧倒的である。中国では既婚女性のうち44%がIUDによる近代的避妊をとっているが、40%が不妊手術を選んでいる。インドでは、女性の不妊手術が圧倒的で、避妊方法の五分の四を占める。
 政府の奨励策、女性の高い識字率、低い幼児死亡率が中国における夫婦の近代的避妊方法の使用に寄与し、その割合は83%に上り世界最高である。結果、人口増加は年間1%未満まで減少した。これはほぼアメリカと同じ水準である。中国の女性は平均して二人未満の子供を持つ。対照的に、インドの夫婦の半数以下が何らかの方法で出生抑制をしているに過ぎない。低い識字率、高い幼児死亡率、信頼できる避妊方法を受けられない等の理由により、年間の人口増加率は1.7%である。平均してインドの女性は3人以上の子供を出産する。
 人口置き換え水準(およそ一組の夫婦に2人の子供)への出生率低下は、人口安定化の段階への移行を意味する――これは多くの人口政策の究極的な目標である。これは生殖年齢の女性のうち、少なくとも70%が何らかの家族計画を行った時に達成されるものである。しかし残念なことに世界の女性の半分以上は、通常の出生抑制の普及率がきわめて低い国に住んでいる。こうした女性の多くは、安定したリプロダクティブ・ヘルスサービスを受けられない状況にある。あるいは自分の夫、拡大家族〔直系血族、婚姻血族も含む大家族〕やコミュニティから家族計画の実施に対するサポートを受けられないのである。
 家族計画の普及率が低い状況はなべて途上国に見られるが、また国によっても状況は大きく異なる。途上国で女性による避妊具の使用は劇的に増加した――24%(1970)から60%(1990年代後半、ただし中国を除くと49%)――といっても、それは先進国の68%に遅れをとっている。(earth-policy.orgの図を参照)
 アフリカ諸国の避妊は最低水準にあり、リプロダクティブ・ヘルスのための資金は不足している。およそ30のアフリカ諸国では、夫婦の避妊は20%未満である。コンゴ民主共和国、エリトリア、ルワンダ、アンゴラ、ソマリアをはじめとする10数ヶ国では、家族計画を実施している夫婦は5%未満である。そこでのコンドーム使用を可能にさせることは、出生抑制と猛威を振るうHIVへの予防となる。
 家族計画へ要望がありながらその手段が現実に提供されなかったことの部分的な結果として言えるのは、世界の1億3300万の出生の四分の一は計画外の出生であるということである。家族計画のニーズが満たされていない時は、女性の健康が損なわれる。最後の選択肢として中絶を選ぶ女性もいるが、それは単に彼女たちが新たな子供に十分な食料を与えることができないという理由からである。
 1994年、人口と開発に関する国際会議がカイロで開催され、20年間の人口とリプロダクティブ・ヘルスに関するプログラムへの資金目標を掲げた。しかし供与国――ほとんどは先進国――の目標値の三分の二が不足している。この資金不足は以下のように、他に見られない高い社会的代償を伴う。つまり国連人口基金(UNFPFA)の推定に従えば、避妊のための資金100万ドルの不足は、36万件の望まれない妊娠、15万件の中絶、800件の妊産婦死亡、1万1000件の乳児死亡、1万4000万件の5歳未満の幼児死亡をもたらす。これらは全て予防可能なものである。アメリカが国務省の勧告を無視し、約束していたUNFPAへの3400万ドルを撤回したために他の供与国や個人は、女性が生命に関するサービスを受けられないことがないように、その差額分を何とかして埋め合わせるために必死になっている。世界で最も大きな割合を占める若い世代が生殖年齢に入る時代である今、家族計画のための資金を削減するような時期ではない。

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