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Eco-Economy-Update 2002-15

燃料電池車、予定より早く道路に登場

バーニー・フィシュロビッツ・ロバーツ

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 2001年4月2日、燃料電池生産で世界をリードするバラード・パワー・システムズはホンダに対する燃料電池部品とサポートサービスで1、600万ドルの売上を発表した。バラードは同年9月と12月には、ホンダのケースと同様の燃料電池とサービスの提供に関してフォードと総額6、600万ドル相当の契約を2件取り交わした。
 燃料電池経済は企業間の競争激化を反映して予想されていた以上に早く進んでいる。自動車や家庭、ビジネス用のクリーンな電源の開発にみられる勢いは将来のよりクリーンなエネルギーを約束し、我々を一歩エコ・エコノミーに近づける。
 燃料電池は水素を用いて発電し、排出するのは水と熱だけだ。自動車に搭載された燃料電池はモーターを駆動するための電気を発生させる。建物に利用された燃料電池は電気と熱の両方を供給し、効率が一層高まる。
 風力タービンや太陽電池、水力発電、地熱発電などから得た電気で水を電気分解して水素燃料が得られれば、排ガスはゼロになる。燃料電池でも中には天然ガスやガソリンから水素を取り出すものがあり、その場合排ガスはゼロではない。しかし化石燃料を燃焼させるよりもはるかにクリーンだ。例えば化石燃料から抽出した水素で走る燃料電池自動車の燃費は内燃エンジン自動車の2倍だ。
 主要自動車メーカーは燃料電池自動車(FCV)を市場に送り込む直前まで来ており、中には予想よりかなり急速に展開しているメーカーもある。ダイムラー・クライスラーは日本、シンガポール、アメリカ、ヨーロッパで来年はじめにメルセデスベンツAクラスFCV計60台を一般ユーザー向けに発売すると発表。ホンダは2002年末までにロサンゼルス市に同社初のFCXモデルを販売することになっており、同社ではまた今後2〜3年でカリフォルニアと日本で30台を販売する予定だ。ホンダのモデルは4人乗りで354キロという航続距離を実現している。
 トヨタもまた年内に、水素供給インフラへのアクセスとアフターサービスへのアクセスのある顧客を対象に燃料電池ハイブリッドのスポーツ・ユーティリティー車(SUV)20台を発売する予定だ。フォードも年内にカリフォルニアでフォーカスFCV5台のテストを行い、2004年には限定販売を予定している。FCVの大幅な普及には10年以上の時間が必要かもしれないか、こうした小規模な市場参入は予定よりも早く進んでおり、見通しは明るい。
 燃料電池バスも近い将来各地で利用されるようになるだろう。バスの給油は大型車両と同様、一定の地点を中心に行われることが多いため、水素ステーションの普及に先がけて市場に導入できる。1999年から2001年にかけてシカゴとバンクーバーで実施された燃料電池バスの施行が成功を収めたことを受け、ダイムラー・クライスラーは燃料電池製造の主要メーカー、バラード・パワー・システムズと提携して、2〜3年内にヨーロッパ10都市で燃料電池バス30台を販売する。このヨーロッパ燃料電池バスプロジェクトは、内燃式輸送手段からの移行においてひとつ先の段階を示している。
 水素燃料電池車用の水素スタンドは主に研究施設に設置されている。ホンダはカリフォルニア州トーランスに水素ステーションを設置したが、同ステーションでは太陽光エネルギーを利用した電解システムで水素を生産する。サンライン・トランジットはカリフォルニア州のサウザンド・パームスで水素をはじめとする各種燃料を供給するステーションを経営する。ミュンヘンでは空港敷地内に水素ステーションがあり、水素で走る内燃式エンジン搭載BMWセダン15台の水素補給に利用されている。東京には政府の助成金で建設された水素ステーションが3ヶ所あり、日本の天然ガス会社が現在4ヶ所目を建設中だ。
 アイスランドは世界初の水素経済に向かっている。ダイムラー・クライスラーは来年レイキャビクでバス80台について燃料電池用エンジンへの改造を開始する。シェルはこれらのバス燃料供給用に、安価な水力発電を利用して水の電気分解を行う水素ステーションを建設中だ。バスの改造終了後、アイスランドの乗用車、漁船と、水素利用の対象を順次広げていく計画だ。
 燃料電池車の商業化の障害のひとつは燃料補給インフラがないことだ。鶏と卵とどちらが先かというように、自動車会社は水素の供給ネットワークが不十分なため燃料電池車の過剰生産の可能性に対して慎重な態度を示し、一方の水素燃料電池関連企業はある程度大きな燃料電池車市場がないまま必要なインフラを整備することに慎重だ。一部の自動車メーカーはアメリカの現行のガソリンスタンドの3割で水素が補給できるようにならなければ水素を基盤とした輸送部門は成り立たないと予想している。
 FCV大量生産と商業化の第二の障害、高コストを克服するため、定置用燃料電池市場の役割が期待されている。ロッキーマウンテン研究所の専門家は建物が燃料電池生産拡大とコスト引き下げに貢献する最初の市場となる可能性を指摘し、後に自動車用燃料電池の価格競争力を伸ばすことにつながるかもしれないとしている。建物と自動車の市場はいずれも大きく、どちらかで燃料電池の生産が伸び始めればもう一方もその流れに乗ることは間違いない。建物が燃料電池から大部分の電源を得るようになればオフピーク時の余剰水素は自動車の燃料として利用できるようになり、FCV商業化に欠かせないとされる水素ステーションの緊密なネットワークの必要性が下がる。
 安定した電力供給を必要とするビジネスでは建物の電源に燃料電池を採用する動きが高まっている。2002年4月、ベライズンはニューヨーク州ロングアイランドの同社電話ルーティングセンターの電源に燃料電池を採用すると発表。アメリカ郵便サービス(UPS)はアラスカ州アンカレジの郵便物処理センターで燃料電池を採用し、既存の電力グリッドの停電時にも影響の出ない電力を確保している。オマハにあるクレジットカード処理会社、ファースト・ナショナル・バンクは燃料電池を採用して必要な安定した電力供給をまかない、燃料電池から発生した熱を暖房に利用している。
 FCVに燃料供給できる水素インフラ建設のための民間投資促進については、水素および燃料電池生産に対する税控除(アメリカの風力生産に関する税控除に従って作成されたモデル)に建設的な役割が期待される。燃料電池生産に対する税控除はスケールメリットを刺激してコスト低下につながる。さらに初期採用者に対する奨励策や政府のFCV購入で投資促進に拍車をかけることが可能だ。世界最大のエネルギー消費者として、アメリカ政府は燃料電池の市場の需要を刺激する上で重要な役割を果たしうる。
 水素燃料電池を世界のエネルギー市場の最前線に位置づけるには産業間の協力が必要だ。カリフォルニア燃料電池パートナーシップはそうした努力の一例だ。1999年に創設されたこのパートナーシップは、自動車メーカー、エネルギー会社、燃料電池会社、水素会社、水素ステーション開発業者、公共交通機関会社、政府関係機関、環境コミュニティから構成されている。燃料電池に関する国民意識を高め、FCVテクノロジーの商業化に向けて市場を整備することを目標に掲げている。
 欧州委員会は水素と燃料電池開発に関心のあるヨーロッパの企業が日本とアメリカの競合に遅れを取らないようにするため、自動車およびエネルギー会社のハイレベルグループを最近設置した。このグループにはロイヤル・ダッチ・シェル、ダイムラー・クライスラー、ルノー他15社が参加しており、成長過程にある水素経済への早期参加の競争的優位が認識されていることがわかる。

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