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1984年創刊、世界で読まれている地球環境問題のロングセラー本『地球白書』、最新版発売!

Eco-Economy-Update 2002-4

予測を上回るスピードで地球上の氷が融解

レスター・R・ブラウン

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 いくつかの新たな研究報告によれば、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2001年初めに発表した画期的な報告書での予測よりも速いスピードで、地球上の氷が融解している。1990年代の氷の融解データを考慮していないIPCCチームは、今世紀の海面上昇予測値――現在の予測値は0.09メートルから0.88メートル――を引き上げることを免れないだろう。
 コロラド大学の北極高山研究所の2人の研究者は、アラスカ西岸およびカナダ北部の巨大氷河の融解が加速していることを指摘している。かつてのデータは、これらの地域の氷河融解による海面上昇は年間0.14ミリメートルであることを示していた。しかし、1990年代の新しいデータによれば、より急速な融解により海面上昇は今や年間0.32ミリメートルと2倍以上の速さになっている。
 このコロラド大の研究は、アメリカ地質調査所(USGS)の研究で補足される。氷河で覆われた11のアラスカの山脈全てにおいて氷河が縮小しているという。かつてのUSGSの研究では、アメリカのグレーシャー国立公園における氷河の数が、1850年の150から今日の50以下にまで激減していることが報告されている。また、残りの氷河も30年以内に消失するとUSGSは予測している。
 氷河に覆われた面積の変化を測定するのに衛星画像を利用しているUSGSの別の研究チームは、南米のアンデスやスイスのアルプス、フランスおよびスペインのピレネーを含むいくつかの山岳地域において加速的に氷河が融解していると報告している。
 氷河はアンデス全域において、より速いスピードで縮小している。オハイオ州立大学のロニー・トンプソン教授によれば、ペルー・アンデスのケルカヤ氷冠の西側に位置するQuri Kalis氷河では、1998年から2000年にかけての年間縮小速度が1995年から1998年の3倍であった。また、同教授は2010年から2020年の間に、この大きなケルカヤ氷冠は完全に消失するだろうと予測している。
 南極、グリーンランドについで世界第3位の淡水貯蔵量をもつヒマラヤの巨大な氷雪塊も後退している。ヒマラヤの氷河についてのデータは広く手に入るものではないが、これまでの研究は加速的な後退を示している。例えば、1990年代のデータによれば、インドヒマラヤのドクリアニ・バマク氷河は1998年だけで20メートルも後退している。これは、それまでの5年間の後退スピードを上回っている。
 トンプソン教授は、キリマンジャロについても研究し、1989年から2000年の間にキリマンジャロの氷量は33%減少したことを報告している。彼の予測によれば、この15年のうちに完全に消失するおそれがある。
 北極と南極の両方で気候変動の影響が見られる。南極は、アメリカに匹敵する面積をもつ大陸で覆われている。場所によっては2400メートルの厚さをもつ南極の氷床は、世界の淡水の90%以上を貯留している。
 この広大な氷床が比較的安定している一方で、氷棚――氷床の一部で、周辺の海にせり出している部分――は急速に消失している。英米の研究チームによる1999年の報告では、南極半島の氷棚が両側とも完全に後退してしまっている。氷棚が崩落したために、1950年から1997年までに氷床の面積が7000平方キロメートルも減少した。さらには、わずか1年以内に新たに3000平方キロメートルが失われた。デラウェア州ほどの面積をもつ氷山が分離し、この海域を航行する船舶への脅威となっている。研究者達は、南極半島の氷の融解が加速している原因は、この地域の気温が1940年以来、2.5℃も上昇したことにあると考えている。
 巨大な大陸で覆われている南極とは異なり、北極は北極海で覆われている。北極海の氷は急速に融解している。この35年で、氷は42%も薄くなった――その平均氷厚は3.1メートルから1.8メートルへと減少した。また、1978年からその面積は6%縮小している。合わせると、氷厚の減少と面積の縮小によって、海氷の総量は半分に減少した。ノルウェーのある研究チームによれば、今世紀半ばまでに、北極海において夏期には完全に氷が消失するようになると予測される。
 この氷の融解が予測通りに起こると、昔の探検家の夢である北西路――ヨーロッパからアジアへの近道――が実現する。不幸にも、彼らにとっては夢であったことが、我々にとっては悪夢である。
 仮に北極海において夏期に氷が消失するとしても、氷はすでに水中にあるため、海面の変動には影響しない。しかし、この地域の熱収支を変える可能性がある。日光が氷や雪に当たるとその大半は反射されて宇宙空間へ戻っていくが、大地や開氷域の海面に当たるとそのエネルギーの多くは吸収されて熱に変換され、気温上昇へとつながる。これが、コンピューターモデリングの専門家たちがポジティブフィードバックと呼ぶもので、あるトレンドがそれ自体を助長するような状態を生み出す状況のことを指す。
 リチャード・ケールは『サイエンス』誌で、夏によって「太陽エネルギーの80%を宇宙空間へと反射して送り出す真っ白な反射機から、入射する日光の80%を吸収する熱収集機へと北極海が変わるかもしれない」と述べている。2000年8月の砕氷船による北極海の開氷域の発見は、融解のプロセスがそれ自身を助長させているという証拠となるものである。
 北極海における夏の温暖化についての予測が重要な意味をもつのは、世界第2位の巨大な氷床をもつグリーンランドが、おおむね北極圏内に位置するからである。2000年の『サイエンス』誌の記事によれば、NASAのアメリカ人研究者チームは、広大なグリーンランド氷床が溶け始めていることを報告している。グリーンランドでは、北部の高地では氷がやや増加しているが、南部や南東部の低地ではそれ以上の氷を失っている。220万平方キロメートルのこの巨大な島は、純量ベースで毎年510億立方メートルの氷を失い、海面を年間0.13ミリメートル上昇させているとNASAの研究チームが報告している。
 同チームはまた、1993年以降に南端と東端の氷床が1メートル以上も薄くなっていることから、グリーンランドにおいて氷が加速的に融解していると報告している。グリーンランドの全ての氷が融解したとすると、海面は7メートル上昇するが、かなり気温上昇のペースが速い場合の予測でも、完全に融解するのに何百年も要するだろう。
 この10年に特に顕著に見られる氷の加速的な融解は、1980年以降の加速的な気温上昇と一致している。IPCCの予測によれば、地球の平均気温が今世紀中に1.4〜5.8℃上昇するが、これが現実化すると氷の融解は勢いを増すであろう。
 私達は、地球の気候を変動させる能力をもった初めての世代である。したがって、地球の気候を変動させる能力をもつことが、そうする権利を与えるかどうかという倫理的問題に取り組むのも、私達が初めてなのである。

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地球白書 2009-10特集地球温暖化抑制 /地球白書英語版State of the World 2009: Into a Warming World / レスターブラウン プランB4.0

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