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Eco-Economy-Update 2002-5

グリーン電力購入の飛躍的増大

レスター・R・ブラウン

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 2001年6月、シカゴ市と48の市役所機関は、地元の公益事業会社であるComEd社と、使用電力のうち10%を再生可能な資源から発電した電力で購入する契約をかわした。今後5年間で、この比率を20%まで引き上げることも決まっている。この契約は、アメリカにおけるこの種の電力購入としては最も大きなものである。しかし、シカゴはグリーン電力を購入している多くの都市、事業者、個人の一例にすぎない。現在、8つの州の公益企業や他の多くの先進工業国が、同様の電力購入を提供している(こちらの地図参照)。
 1999年10月に、イギリスのリーズ・メトロポリタン大学は、大学で使用するエネルギーの少なくとも30%をグリーンエネルギーから購入することを開始した。この6ヵ月後に、エジンバラ大学は、使用エネルギーの40パーセントをグリーンエネルギーから得る合意書に署名した。イギリスでは、再生可能なエネルギー資源は、2001年4月に制定された気候変動税から免除されるので、この様な電力の切り替えは実質的にコストがかからず、経費を節減できる可能性もある。
 オランダには775,000人以上のグリーン電力の顧客がいるが、これは人口の5パーセントに相当する。顧客の数は、ちょうど1年で3倍に増加したが、この様に急増したのは、グリーン電力に対するエネルギー税控除、グリーン電力に関する規制緩和、有効なマーケティング・キャンペーンの効果である。オランダでは、需要が供給を凌ぐ状況であり、グリーン電力の30パーセント以上が、現在、輸入されている。
 ドイツには、約280,000人のグリーン電力の顧客がいる。多くのドイツの大企業はグリーン電力を購入しており、こういった状況が、化石燃料の使用を超えてグリーン電力を使うという需要創造を促している。ドレスナー銀行、ホメオパシー(類似療法)の医薬品大手のヴェレダ社、レラッハ地方の23の幼稚園は、100%グリーン電力でまかなっている。
 ドイツでは、1999年3月に、包括的な環境税制改革法が施行された。この法律では、所得税を減らし、炭酸ガス放出に結びつくエネルギー源への税金を上げ、再生可能な資源への課税が免除された。2000年2月に、議会は再生可能エネルギー法を可決した。この法律には、グリーン電力発電の超過分が有料で電力供給網に戻される内容が含まれている。この様な場合、電力メータの指針が戻り、顧客の電気料金が減るという仕組みである。これらの政策は、グリーン電力を経済的なものにし、グリーン電力プログラムを最終的に成功裡に確立する為に欠かせないものである。
 オーストラリアにおけるグリーン電力の販売は、60,000の住居向けと2,500の商業向けに等しく二分される。オーストラリアで供給されているグリーン電力のほとんどは、バイオマスと水力発電から得られており、風力あるいは太陽光を利用したものは8%に過ぎない。しかしながら、風力資源の開発が進んできており、風力発電のシェアが急速に伸びている。
 アメリカ、コロラド州では、風力発電に関する草の根の運動が行われ、市民が風力発電の利点を理解し、風力発電による電力購入へ動き始めた。その結果、20,000の住居と多くの商業施設でグリーン電力が購入されている。商業施設には、IBM、ヒューレット・パッカード、パタゴニアがあり、さらにデンバー市、フォート・コリンズ市、アスペン市が含まれる。知事公舎でもグリーン電力を購入している。コロラド大学では、2000年春、学生が風力発電を購入するために学期につき1ドルの授業料を値上げすることを圧倒的多数で採決した。この料金値上げにより、年間50,000ドルが生み出されている。この、50,000ドルは、1台の風力タービンによる電力を購入するのに、あるいは200万キロワット時の電力購入に十分な額である。
 多数のアメリカの会社と商業施設がこの動きに参加している。トヨタやKinko'sの様な有名企業に加え、比較的知られていない企業も、それらが持つ環境に対する価値観に基づきグリーン電力購入の意思決定を行っている。例えば、Fetzer Vineyardsは、500万キロワット時の再生可能なエネルギーによる電力を、Hopland(カリフォルニア州)での有機ワインの生産の為に購入し始めた。
 1996年に、セイラム市(オレゴン州)は都市で使われる全ての電力を再生可能な資源からまかなうこととした。これは都市としてはアメリカで最初の事例である。既に、83%の電力が水力発電からのものになっており、化石燃料と原子力による残りの17%がボンヌビル電力事業団(BPA)から購入される風力による電力に置き換えられた。2000年に、オークランド市(カリフォルニア市)は、都市機関のために必要な全ての電力を、9メガワットのグリーン電力とする契約をした。サンタモニカ市(カリフォルニア州)も、市の施設ではグリーン電力のみを使っている。
 政府機関もまた、グリーン電力購入の契約をしている。アメリカ環境保護庁(EPA)は、国内各地にある施設の内の5つで、100%のグリーン電力を購入している。そうすることによって、EPAは現在、消費電気全体の9パーセントをグリーン電力から得ている。2000年に、エネルギー長官のビル・リチャードソンは米エネルギー省(DOE)に対し、2005年までに全電力の3%を水力以外の再生可能な資源による電力として購入し、2010年までにこれを7.5パーセントに引き上げるよう指示した。
 グリーン電力は、市民や企業に対して、環境問題への関心に従って行動し、再生可能なエネルギーを支えている公共政策への支持を示す機会を与えることになる。例えばコロラド州では、グリーン電力への需要が風力発電所への投資を促進している。そして、そのことがコロラドにおける電力資源として風力を急速に伸ばすことにつながっている。
 しかし、十分に規制緩和がなされた市場においても、グリーン電力購入オプションのみでは、世界が持続可能なエネルギー経済へ移行するのに必要な大きな変化が起きないことは明白である。環境問題への関心に基づく個人と企業の選択では、公共政策の役割を置き換えることはできない。エネルギー効率とグリーン電力計画に調和した形で効力を発する、税制改革および再生可能なエネルギーのポートフォリオ標準こそ、環境に配慮した持続可能なエネルギー経済を推し進める上で最も効果があるであろう。
 アメリカでは、ボランティアプログラムである資源問題解決センター(CRS)によってグリーン製品として認められる為には、グリーン電力を利用した製品は製造上必要なエネルギーの半分以上を再生可能なエネルギーによらねばならない。この様に、多くの場合、消費されるエネルギーの内、ほぼ半分は化石燃料と原子力でまかなうことが可能である。CRSは、様々な利害関係者に受け入れられる必要性を重視して、さらに、最初の基準が多くの企業にとって達成するのに高過ぎない様、慎重にこの50%という基準を定めた。こういった懸念に基づく配慮は重要であるが、理想的には、グリーン製品は風力、太陽光、地熱を利用して製造されるべきである。それは、これらのエネルギーが気候変動、大気汚染または酸性雨の原因とならないからである。化石燃料と原子力は、そのようなグリーン製品市場から締め出されるだろう。
 イリノイ州では、新しいグリーン電力基準が環境保護団体と消費者グループによって公開されたが、これはアメリカで最も環境に配慮したものとなっている。この基準に適合する為には、イリノイにおけるグリーン電力が新しい再生可能な資源によるものでなければならない。加えて、少なくとも2/3は風力と太陽光発電によるエネルギーを含まねばならず、さらに州のために大気浄化に関して貢献しなければならない。仮にアメリカ中で同様の基準が適用されれば、かなりの利益を生むことができる。
 消費者と産業界におけるグリーン電力の選択が、需要を生んでいる。しかしながら、現在の状況にも欠陥がある。もし、このような基準において環境にやさしい再生可能な資源の比率が相当引き上げられなければ、顧客は少しばかりクリーンな電力に割増料金を払うことになるかもしれない。気候変動に対処するには、世界的なエネルギー経済が根本的に再構築される必要がある。グリーン電力購入はこれを達成する上でひとつの手段であり、私達が正しい方向へ進む道しるべともなり得るものである。

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