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ビル・クリントン絶賛、レスター・ブラウン最新刊「PLAN B 3.0」人類文明を救うために発売開始

1984年創刊、世界で読まれている地球環境問題のロングセラー本『地球白書』、最新版発売!

Eco-Economy-Update 2002-9

環境にも肥満防止にも自転車が役立つ

レスター・R. ブラウン、ジャネット・ラーセン

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 2000年の世界の自転車生産量は1億100万台に達した。これは車の生産量、4100万台の2倍以上の数字だ。自転車の販売台数の急成長は、自転車が数億の人々にとって価格的に手の届く移動手段であり、健康増進につながり、交通渋滞を緩和し、大気を汚染することなく、また、気候変動をもたらす二酸化炭素を排出することもないからである。
 半世紀前、車の生産台数はまもなく自転車の生産台数を追い越すという予測が一般的であった。実際、第2次世界大戦後急速に増加した車の生産は、1965年の時点で自転車の生産を今にも追い越すかという態勢に入っていた。しかし、車が自転車の生産台数を上回ることはなかった。環境に対する懸念が募り、これが車の生産台数の増大を抑制し、一方では自転車の生産に弾みをつけることになった。1969年から第1回アースデイのあった1970年にかけて、自転車の生産台数は2500万台から3600万台へと大きく伸びた。
 第1回アースデイ後まもない1970年台の2度のオイルショックは、石油依存型の移動手段がはらむリスクを浮かび上がらせた。車の生産台数は1973年の約3000万台から1983年にかけて横ばいという状況が続き、一方で自転車は5200万台から7400万台へと飛躍的に成長した。
 自転車の最大の魅力は低コストにある。車の価格が自転車の100倍以上することが珍しくない現状で、自転車は車に手が届かない数億の人々にモビリティを提供する。1990年代、車に比べて安価な自転車を購入した人々は9億6千万人。車は3億7千万人が購入した。
 自転車はまた舗装を必要とする土地面積を縮小させる。車1台分の路上スペースに自転車であれば6台が納まる。駐車の場合は自転車はさらに優位となり、車1台のスペースに20台の自転車が駐輪できる。
 世界で車の利用台数が増加し、人々が大挙して都市に流入するようになるにつれ、交通渋滞がさらに悪化し、自動車が必然的に都市にもたらす問題が目立つようになった。今日、ロンドンを走る車の平均速度は1世紀前の馬車と変わりない。バンコクの平均的なドライバーは渋滞のため労働日数にして1年の44日間どこにも行くことなく車の中に座っているという計算だ。ある台数を過ぎると、車が多いことはモビリティの低下を意味する。自転車の魅力のひとつに、年間300万人の人々の生命を脅かす大気汚染を起こさないことが挙げられる。
 ここ数十年、北欧の汚染が進んだ国々は交通渋滞の緩和と大気汚染の改善のために、自転車に着目してきた。世界で最も裕福な都市のひとつ、ストックホルムでは近年自動車の利用が減少し、鉄道やバスと歩道・自転車道との連絡が進んでいる。スウェーデンの都市部では全移動の約10パーセントが自転車によるものであり、これは公共の交通機関とほぼ同等の割合だ。移動の40パーセントは歩行によるもので、車での移動は36パーセントに過ぎない。
 オランダでは全移動のおよそ5割が自転車によるという都市もある。オランダとドイツでは自転車専用道路と自転車用車線が縦横に巡り(オランダでは約1万9000キロメートル、ドイツでは3万1000キロメートルに及び、地方と都市部を結んでいる。このようなネットワークは自転車に一般車両とは隔離された専用道路を確保し、移動の安全性を高め、自動車やトラックとの接触事故を少なくする。
 コペンハーゲンでは人口の3分の1が自転車で通勤している。2005年までにコペンハーゲンのシティバイク・プログラムは同市内に無料自転車を3000台用意する。コペンハーゲンでは、都市プランナーが現在でも高い自動車の駐車料金を今後15年間にわたって毎年3パーセント引き上げ、燃料税金も引き上げ、さらに車両登録費の引き上げ、また鉄道を核とする開発を計画しているため、自転車利用はより拡大を続けるだろう。
 アメリカの多くの都市では自動車が提供できないモビリティを自転車が提供している。都市部の警察の5分の4以上で自転車を利用する部隊が採用されている。自転車に乗った警察官は通常パトカーのチームよりも早く犯罪現場に到着し、1日の逮捕件数の50パーセント以上を占めている。厳しい財政状況にある都市の管理当局にとって、
 自転車の低コストと自転車を利用する警官の高い検挙率は非常に成功した組み合わせである。
 自転車のメッセンジャーサービスは大都市では、よく見られる光景となった。インターネットでビジネスを行う企業にとっては迅速な配達は、そのままより多くの顧客を意味する。したがって、自転車メッセンジャーの利用が莫大な可能性を生み出すニューヨークのような都市では、自転車メッセンジャー企業約300社が毎年7億ドルのビジネスで競い合っているとされる。
 土地不足もまた世界を、特に人口密度が高く世界の人口の半分が集中するアジアで、自転車の利用を促している。人口密度が高く、経済的にも豊かな日本では自転車が戦略的な役割を果たしている。東京では鉄道による通勤が90パーセントを占めており、30パーセントは最寄りの鉄道駅まで自転車を利用している。
 1994年に中国政府が自動車を中心とした交通システムを開発すると発表すると、この政策が成功しない理由を数点指摘した白書を作成した著名な科学者グループによって、直ちに異議申し立てがなされた。第一の理由は自動車が必要とする一般道路や高速道路、駐車場を建設し、人民を養うための十分な土地が中国には無いことであった。彼らは鉄道と自転車を中心とする交通システムを代案として示した。
 北京や上海などの中国の都市では車を優先して自転車の利用を規制しているが、国全体としては自転車の所有率は現在も上昇している。中国の自動車所有台数は数百万と推定されているが、自転車の場合は億単位である。
 自転車はまた物資輸送にも利用されている。アフリカの農村部では女性が自転車で農産物を市場に運び、市場拡大によって農業生産高が上昇した。ガーナでは、自転車の利用でエイズ予防教育者は徒歩で移動する場合の1.5倍以上の人々に接することができる。
 数十年にわたって、アメリカでは連邦政府の予算はほぼ高速道路建設関連に当てられてきたため、交通システム・プランニングにおいて自転車はほとんど考慮されなかった。しかし、1991年に議会で交通システムにおける自転車の重要性を認め、各州に自転車のコーディネーターを置くことを要求した画期的な法案を通過させたことで、アメリカの自転車事情は変化することになった。1992年から1997年にかけて、10億ドル以上の連邦予算が自転車のインフラ整備に投じられた。ニュージャージーでは約1300キロメートルに及ぶ自転車専用道路が州内各地を縦横に結んでいる。
 連邦政府のこの新たな取組みは、アメリカにおける自転車の販売台数が1991年の1500万台から2000年の2100万台へと伸びる一助となった。クリントン大統領が1998年にTransportation Equity Act for the 21st Century(21世紀交通衡平法)に署名して、交通プランニングに自転車を一層取り入れるための素地がつくられた。
 先進国ではエクササイズという点で自転車の人気が上昇している。アメリカ、ロシア、ドイツ、イギリスでは成人の半数以上が標準体重を超えており、肥満症が世界の主要な公衆衛生問題のひとつになっている。アメリカでは肥満症に関連した死亡件数は年間30万に上り、喫煙による42万件という数字に急速に近づきつつある。
 世界の交通システムにおける自転車の役割は拡大している。低コストのモビリティを提供するだけでなく、都市部では車よりも高い移動性を提供することが多い。モビリティとエクササイズを提供し、空気を汚染したり,地球の気候に影響を与えることがなく、また土地の有効利用につながることから、自転車は将来の交通機関として浮上している。

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