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Eco-Economy-Update 2003-1

人口増加は土地不足につながる

ジャネット・ラーセン

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 農業が始まってから20世紀半ばに至るまで、世界の食料生産は主に農地の拡大によって増加してきた。穀物作付面積は1950〜81年の間に5億8700万haから史上最高の7億3200万haに増えたが、2000年までに6億5600万haに減少した。いっぽう、1950年に25億だった人口は2000年には61億に増加し、結果として1人当たりの耕地は0.23haから0.11ha(アメリカ郊外の宅地の半分)に縮小した。
 世界の穀物作付面積が向こう半世紀にそう大きく増加するとは考えにくい。近年の穀物価格の低迷で、より条件の悪い限界耕作地から手を引いたり、劣化した農地を放棄したりする農家もある。そのうえスプロール化に伴う舗装や建物の建設で数百万haの農地が失われている。
 耕作可能な土地が限られている国で人口が急増すれば、1人当たりの耕地面積はその国の自給レベル以下にまで縮小しかねない。その場合、余裕のある国は穀物(人間が直接摂取するカロリーの半分以上を供給する)を輸入で補うが、輸入できない国の人々は飢えることになる。
 人口密度の高いアジア諸国の一部は、耕地不足のために国内で消費する穀物のほとんどを輸入するしかない。1人当たりの穀物作付面積が数十年間にわたって減り続けた結果、現在マレーシアでは国民1人当たりの穀物作付面積がわずか0.03ha、日本、韓国、台湾はそれぞれ0.02haを切る。これらの4か国は生産の不足分を補うため今や自国で消費する穀物の70%以上を輸入している。これは供給が途絶えた場合に大きな打撃を受けることを意味する。
 これらアジア諸国のすぐ後にはエジプトが続く。人口7000万、1人当たりの穀物作付面積は0.04 haで、国内で消費する穀物の40%以上を輸入している。ナイル川からの取水が限界に達しているうえ人口が毎年100万人以上増えている状況では、輸入穀物の割合は今後ほぼ確実に高まるだろう。
 世界人口の年間増加数は7700万人だが、その半数はわずか6か国(インド、中国、パキスタン、ナイジェリア、バングラデシュ、インドネシア)での増加分だ。いずれの国も1人当たりの穀物作付面積が減少しつづけており、将来は穀物を輸入に大きく依存するリスクがある。ここで2つの重要な疑問が生じる。これらの国は土地不足の深刻化に伴って大量の穀物を輸入する経済的余裕があるのか?穀物市場はこれらの国の増え続ける需要に対応できるのか?
 インドでは4人に1人が栄養不良で、人口は毎年1600万人ずつ増えている。1人当たりの穀物作付面積は数十年間減り続けて今や0.1haを下回り、1950年の半分にも満たない。(http://www.earth-policy.org/のデータを参照)。所有地は次の世代に均等に相続されるため、1960年に4800万か所あった農地(平均面積2.7ha)が1990年には1億500万か所(平均面積は1960年当時のほぼ半分)に分割され、インドにおける穀物作付面積の拡大はピークに達した。インドの平均的世帯の子ども数は現在3人で、何とか暮らしていけるだけの農地を次世代に残すことは難しくなるだろう。
 パキスタンは1世帯の子ども数が5人で、人口増加のペースは(インドより)はるかに速い。国家農業委員会は1988年の時点ですでに、一部地域における土地生産性の低下は農地の細分化と限界耕作地への依存度の増大に関係するとみていた。当時1億強だった人口は現在1億5000万近くまで増加し、1人当たりの穀物作付面積は0.09haを切っている。
 中国でも、1人当たりの穀物作付面積は1950年の0.17 haから0.07 haにまで激減した。農業生産が果物・野菜など付加価値の高い作物にシフトしていることや森林保護のため農地を林地に転換していることに加え、建物および道路の建設など農業以外の利用も穀物作付面積の縮小につながっている。
 中国で1人当たりの利用可能な農地が減少するペースは家族人数が減るにつれ鈍化しているが、この国(人口(13億は1850年の世界合計に匹敵する)はなおも向こう50年間で、1億8700万人の増加が見込まれている。中国の経済力をもってすれば世界市場から穀物を輸入することも可能だが、市場が大幅な価値上昇なしに巨大な需要増に対応できる保証はない。
 サハラ以南アフリカでは耕作可能な土地が不足しており、この地域の1人当たり生産が最近数十年にわたって減少する一因となっている。たとえば、アフリカでもっとも人口の多いナイジェリアは1950年から人口が4倍に増えたのに対し、穀物作付面積は2倍増である。つまり、1人当たりの穀物作付面積は事実上半減したことになる。ナイジェリア北部では、毎年35万haの土地をのみこむサハラ砂漠から、牧畜民や農民が逃れてきたことで、すでに全国的に不足している土地に対する需要が拡大し、民族間の緊張を招いている。
 アフリカでもっとも人口密度が高いルワンダの経験は、土地不足が引き起こす潜在的に深刻な問題を浮き彫りにしている。1950〜90年にかけてルワンダの人口は210万人から680万人へと3倍に増加し、その結果1人当たりの穀物作付面積は0.03haまで落ち込んだ。90〜92年に農業環境相を務めたジェームズ・ガサナは、急速な人口増加が農地の細分化、土地劣化、森林破壊、飢餓をもたらしたとみている。こうしたストレスが民族紛争の底流となり1990年代初めに内戦が勃発、その結果約80万人が犠牲となった1994年の大量虐殺が起きた。ガサナは、暴力行為は食料供給が不十分な地域に集中していたと指摘する。
 パンアフリカン・ニュースエージェンシーは2000年に、『ルワンダ:土地不足が和平プロセスを脅かすか』の大見出しを掲げて国土調査省を論じた。現在、人口は810万人に回復し、平均的世帯の子ども数が6人となっているなかで、ルワンダにおける土地への圧力は再び高まりつつある。
 今後50年間に世界全体で増えると予測される30億人のほとんどは土地資源が少ない地域に生まれる。世界の穀物作付面積が2000年と同じなら、2050年の地球に暮らしているであろう90億人を養う農地は1人当たり0.07haを切る。これは今日土地不足にあるバングラデシュ、パキスタン、アフガニスタンなどより少ない。
 2050年までにはインドとナイジェリアの1人当たり穀物作付面積は0.06 ha(サッカー場の10分の1に満たない広さ)に縮小する。中国、パキスタン、バングラデシュ、エチオピアでは0.04〜0.05ha、エジプト、アフガニスタンでは0.02haまで減少し、イエメン、コンゴ共和国、ウガンダにいたってはわずか0.01 haとなるだろう。対照的に、人口密度の低い穀物輸出国では1人当たりの穀物作付面積がこれらの国の10倍以上になる可能性がある。たとえば1人当たりの穀物作付面積が0.21haでしかもその生産性がきわめて高いアメリカのような国からみると、その程度の小さな食料生産基盤で生活していくことは理解しがたい。
 地球上の耕作可能な土地の大部分はすでに耕されているうえ、舗装されたり建設用地として使われたりする農地も年々増えていることから、世界の穀物作付面積がこの先回復する見込みはほとんどない。また、1950〜90年は土地生産性の年間上昇率が2%だったのが90年以降は1%前後まで低下し、今後の数年間でさらに落ち込むおそれもある。1人当たりの利用可能な土地面積が減り続けるいっぽうで生産性の伸びも鈍くなっている現在の状況は、世界人口の増加を抑制するのが急務であることを明確に示している。

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