トッププライバシーリーガルサイトマップRSSアイコン My Yahoo!に追加エキサイトリーダーに登録
WorldWatch-Japan

WWJ地球環境メールマガジンEpsilon
メールアドレス
 

Yahoo!検索

  • ウェブ全体検索
  • サイト内検索

トップ | レポート | WWマガジン | ブックス | メールマガジン | リンク | 各種ご案内

 トップ > レポート一覧  > Eco-Economy-Update 2003-4

amazon.co.jpで注文する。 →書店で注文する。

ビル・クリントン絶賛、レスター・ブラウン最新刊「PLAN B 3.0」人類文明を救うために発売開始

1984年創刊、世界で読まれている地球環境問題のロングセラー本『地球白書』、最新版発売!

Eco-Economy-Update 2003-4

風力が世界で最も重要な
エネルギー資源になり始めた

レスター・R・ブラウン

メールマガジン登録はこちらから

* * *

メールマガジン登録はこちらから

 1991年にアメリカエネルギー省が作成した全米風力資源目録は、世間を驚かせた。なぜなら最も風に恵まれた3州――ノースダコタ、カンザス、テキサス――だけで、全米で必要とされる電気をまかなうのに十分な風力エネルギーがあるとされたからだ。スタンフォード大学の技術者チームによる新たな調査では、風力エネルギーの可能性は91年当時の評価より実質的にずっと大きいと報告されている。
 1991年以降、風力タービンの設計が向上して、以前より弱い風でもタービンが動くようになり、風のエネルギーをより多く、より有効に活用できるようになった。すなわち利用可能な風力資源が劇的に拡大したのである。これに加えて最近では沖合(オフショア)の風についても、その可能性が有望と評価されており、風力資源は膨大であることが明白になってきた。風力は全米で必要とされる総電力需要に対応できるだけでなく、全米で必要とされるエネルギー全量を生み出すこともできる。
 欧州風力エネルギー協会とグリーンピースは、地球規模の風力資源に関する共同評価調査「風力発電12%シナリオ(Wind Force 12)」のなかで、世界の潜在的な風力発電能力は――利用可能地域を陸地部分のわずか10%と仮定して――予測される2020年の世界の電力需要量の2倍だと推論している。人口が希薄で風に恵まれた地域なら、土地面積の大部分を風力発電に利用できるだろう。北アメリカのグレートプレーンズ、中国北西部、東シベリア、アルゼンチンのパタゴニア地方などである。さらに沖合にも大きな可能性があるので、これを加えれば風力だけで世界の電力需要だけでなく、おそらくエネルギーの全ニーズさえ満たせるだろう。
(データはwww.earth-policy.org を参照)
 この10年間、風力は世界で最も成長著しいエネルギー資源だった。1995年に480万キロワットだった発電容量は、2002年には3110万キロワットになっており、なんと6倍増だった。現在、全世界で風力タービンが供給している電力は、4000万のヨーロッパ人の住宅に必要な電力すべてをまかなうのに十分である。
 風力の人気が高い理由は、豊富にあること、安価であること、無尽蔵であること、広範囲で利用可能なこと、気候にやさしくクリーンなこと、などである。これらの特性に関しては、他のどのエネルギーもかなわない。風力発電費用は1980年代はじめには1キロワット時当たり38セントだったが、今日では主要な風力発電地帯で約4セントにまで下がっている。最近アメリカとイギリスの間で取り交わされた長期供給契約のなかには、1キロワット時3セントで提供するものもある。「風力発電12%シナリオ」では、風力発電の1キロワット時当たり平均費用は2010年までに2.6セントに下がり、2020年までに2.1セントに下がるだろうと予測されている。アメリカのエネルギー・コンサルタントであるハリー・ブラウンは、風力タービンが自動車のように組立てラインで大量生産されるようになれば、風力発電費用は1キロワット時当たり1〜2セントに下がるだろうと述べている。
 すでに安価な風力発電ではあるが、その費用はさらに下がり続けている。石油と違って風の価格を設定するOPECはない。また天然ガスの価格は非常に不安定で数か月で2倍になることもあるが、これとは対照的に風の価格は低下している。
 風力のもう一つの大きな魅力は、様々な場所で利用可能なことである。たとえばアメリカでは28州に、電力事業に対応できる大規模の集合型風力発電施設があって、地元の送配電網に電気を送り込んでいる。世界の石油はごく一握りの国に支配されているが、風力エネルギーはほぼすべての国で利用可能である。
 電力供給量のなかで風力発電が占める割合が世界で最も大きいのはデンマークで、その割合は20%である。発電容量だけで見れば、ドイツが世界一で1200万キロワットである。同国は2010年の発電容量目標を1250万キロワットと設定していたが、2003年末までにそれを上回るだろう。ドイツにとっては風力発電容量を一気に拡大することが、2020年までに炭素排出量を40%削減するという目標を達成するための対応策の中心になる。
 風力を重要なエネルギー源と位置付ける国が増えているから、世界的な急成長は続くと予測される。初期のトップランナーであるデンマーク、ドイツ、スペイン、アメリカに加えて、イギリス、フランス、ブラジル、中国を含む多くの国々が意欲的な計画を立てている。
 人口が密集するヨーロッパでは、発展を期待される沖合の風の利用も始まっている。現在デンマークでは、二基目のオフショア風力発電所が建設されている。その発電容量は16万キロワットである。ドイツは約1200万キロワットのオフショア発電を検討中である。
 風力発電はいまや、力強く急成長を続ける発展性のある産業である。風から安価な電気ができれば、経済的に水を電気分解して水素をつくることができる。水素は燃料電池に最適の燃料である。燃料電池は非常に効率がよく、運輸あるいは建物に電力や冷暖房を供給するなど、将来は広く利用されるだろう。水素を利用すれば風力エネルギーを貯蔵することができる。またパイプラインを利用したり、あるいは液化して船に積んで効率的に輸送することもできる。
 この数年間、風力産業は毎年倍々に拡大してきたが、技術的ノウハウと製造経験があるので、必要とあれば比較的容易に規模を拡大することができるだろう。たとえば熱波のよって収穫量が減って食糧価格が上昇し、一般国民が石炭や石油の代わりに風力や水素を使って炭素排出量を早急に削減しなければならないと認識するようになれば、それを実行することは可能だろう。またすみやかに水素燃料自動車に取り替える必要が生じれば、内燃式のガソリンエンジンを安価なキットで改造して、これを達成できるだろう。  エネルギーに投資する者にとっては、風力と、風力エネルギーから発電した安価な電力で生産した水素に、将来の発展はかかっている。太陽電池は年間30%以上の伸びを示しており、いまだに電力の恩恵に浴していない17億人に、電力を供給するようになるだろう。彼らの大半は発展途上国の村落に暮らしている。それでも太陽電池は、現代の経済を動かすのに必要な莫大な量のエネルギーを供給するにはコストの問題が残っている。
 世界の石炭燃焼がピークだったのは1996年で、それ以降2%減少している。石炭産業は衰退しており、魅力的な投資対象ではない。石油も特に将来有望というわけではない。なぜなら世界の生産量が、現在の水準を大幅に上回って拡大する可能性はなさそうだからだ。天然ガスは化石燃料のなかでは最もクリーンで気候を混乱させる可能性が最も低いので、今後数十年は生産が拡大し続けるだろう。それによって発達するインフラは、偶然にも水素にも適合するものである。原子力発電は間もなくピークを迎える。それ以後は老朽化した多くの発電所が閉鎖されるようになって、その数が現在建設中のわずかな原子力発電所の数を上回るのである。
 エネルギーの未来は風力にある。世界のエネルギー経済は、世界が石油に頼っていくようになった20世紀の間に徐々にグローバル化していった。21世紀には風力や風力によって作られる水素、太陽電池に目が向けられるようになるから、エネルギー経済はグローバル化とは、逆によりローカルなものになるのは確かである。風力と、風力が生み出す水素は、グローバル経済のエネルギー分野だけでなく、グローバル経済そのものを特徴づけるだろう。

【地球環境問題の書籍をオンラインで購入(ad)】

 


翻訳提供/禁無断転載
WorldWatch-Japan.org


広告について

RSSで、あなたのホームページやブログに地球環境問題レポートを載せませんか?

My Yahoo!に追加エキサイトリーダーに登録はてなRSSに追加Subscribe with livedoor Reader

ページトップへ
Mail
Copyright (C) 2000-2010WorldWatch Japan, All rights reserved.  <禁無断転載

地球白書 2009-10特集地球温暖化抑制 /地球白書英語版State of the World 2009: Into a Warming World / レスターブラウン プランB4.0

ワールドウォッチジャパンクラブ会員募集中 / 地球環境問題メールマガジン(メルマガ)配信中 / 地球環境総合誌(雑誌) / 地球環境問題RSS配信中 /
中国・世界の地球環境問題レポート/ニュース / 環境教育 / 地球白書.jp / 地球環境問題の書籍、関連本

EarthPolicyInstitute WorldWatchInstitute