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Eco-Economy-Update 2004-1

六番目の大量絶滅 現状報告

ジャネット・ラーセン

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 およそ4億4千万年前に、海洋生物のうち約85%の種が絶滅した。これは地球で最初の大量絶滅として知られている。3億6700万年ほど前には、多くの魚類、海洋無脊椎動物の70%が絶滅した。そして約2億4500万年前に、動物界のほぼ全体とも言える、すべての動物の95%が地上から姿を消した。このときが史上最大の大量絶滅と考えられている。
 大量絶滅は2億800万年ほど前にも再び発生した。被害を受けたのは主に海洋生物だったが、陸上生物の一部も絶滅した。そして6500万年前には、恐竜を含むすべての種の四分の三が絶滅した。
 こうした大量絶滅の理由として、火山の爆発、地球への隕石の衝突、気候の変化などが考えられている。大量絶滅が生じた後、生物種が再び多様化するまでに、毎回1千万年以上もかかっている。だが、いったん絶滅した種は決してよみがえらない。
 我々は今、過去五回に匹敵するほどの大量絶滅を迎えようとしている、というのが生物学者たちの共通した見解である。この予測される六番目の大量絶滅は、主に単一種の活動によって引き起こされるという点で、過去と異なっている。人類は初めて大量絶滅を目の当たりにすることになる。しかも、絶滅にまったく関係のない傍観者というわけにはいかないのだ。
 今日地球上に生息する種の数は定かではないが、科学者の推定は最高1千万種である。だが、微生物から大型ほ乳類に至るまで、数千という種が毎年姿を消している。我々に存在を知られることなく絶滅する種もある。
 現在の絶滅率平均は、過去6千万年間の平均より一千倍から一万倍も高い。地質学史の大半を通じて、新種は現存種が絶滅するより早い速度で進化し、したがって地球の生物多様性は増加し続けていた。現在、これが逆転している。
 植物については、地上に存在する種のごく一部を詳しく調べただけであるが、そのうちの半分もが絶滅の危機に瀕している。植物が最も急激に姿を消しているのは中南米、中央および西アフリカ、東南アジアという、種の多様性を誇る熱帯林のある地域である。
 動物では、今日5500種近くが絶滅の恐れがあるとされている。IUCN(国際自然保護連合)が2003年に行った世界の植物相、動物相のレッドリスト調査によると、ほ乳類の4種に1種、鳥類の8種に1種が今後数十年以内に絶滅する恐れがある。(IUCNの絶滅危惧種レッドリスト・データベースはwww.redlist.orgにアクセスしていただきたい)
 絶滅の恐れのあるほ乳類1130種のうち、最も危険にさらされている。184種については個体数やその生息地が急激に減少しており、十年以内に絶滅する恐れがある。現存数は数百から、多くて数千である。鳥類では、1194種のうち182種が絶滅の危機に瀕している。
 世界のほ乳類と鳥類の大半については、その実態がかなり解明されているが、その他の動物相については比較的知られていない。状況が把握されているのは魚類のうちの5%、は虫類の6%、両生類の7%のみで、このうち少なくとも魚類750種、は虫類290種、両生類150種が絶滅の危機にある。原因不明のまま両生類がまったく姿を消してしまう、漁師の網に魚が一匹もかからないことが増えた、などといった気がかりな現象を考えると、生存の危険にさらされている種はこれより多いと思われる。昆虫、軟体動物、甲殻類を含む無脊椎動物に関しては、ほとんど知られていない。だが、我々が知っている限りでは、無脊椎動物の生存も安泰とはほど遠い状況である。
 1万1千年ほど前に農業が出現したとき、全世界に住む人類は6百万人だった。そのときから人口は千倍にも膨れあがり、今も増え続けている。人口増加は他の多くの生物種の犠牲の上に成り立っているのだ。
 地球上の生物にとって最大の脅威は生息環境の劣化と破壊で、絶滅に瀕している種の9割がこの影響を被っている。人類は地上の氷に覆われていない陸地の半分近くを変質させた結果、残された自然に重大な影響を与えている。我々は大草原や森林を切り開いて農業用地に変え、河川をせき止め、湿地帯を干拓してきた。地面を舗装し、都市や道路を築いてきた。
 世界の森林は毎年1600万ヘクタールずつ縮小している。失われた森林の大半が、生物多様性の高い熱帯雨林に属している。多様な生物が生息する湿原は、過去20世紀の間に半減した。その他の淡水および陸上の生態系は汚染により悪化している。以前に植生のあった地帯は砂漠化が進み、家畜の過放牧がさらに拍車をかけているケースも見られる。
 世界のほ乳類173種の最近の調査によると、個体群分布総面積は過去数十年の間に半減している。これは、繁殖地とエサ場が失われたことを示すものだ。全体的に見て、ほ乳類の個体群(特定の場所における単一種の集団数)の2%〜5%が、生息地を失って姿を消したと考えられている。
 狩猟や漁獲や収穫などを通じた人間の直接的な収奪は、絶滅危惧リストに載っている鳥類、ほ乳類の三分の一以上を絶滅へと追いやっている。また、生物多様性を脅かすその他の要因の一つに、外来種の問題が挙げられる。外来種は人間によりもたらされることが多く、在来種を駆逐してしまう可能性がある。
 約1100種の動植物について最近行われた調査によると、気候変動により、2050年までにその15%〜37%が絶滅する可能性がある。だが、自然システムは複雑であるため、実際にはこの予測を上回るのではないかと思われる。主要種の絶滅は、食物網に連鎖的な影響をもたらしかねない。一つの種が生命網から姿を消しただけで、その他多くの種が影響を受けることもあり得るのだ。
 健康的な生態系は、我々の生命を多くの面で支えてくれる。その最も基本的な効用は、我々が呼吸する空気を提供し、飲み水を濾過してくれることである。また、我々に食物、薬、身を守る場所をも提供してくれる。生態系が生物の多様性を失うと抵抗力をも失い、気候変動や外来種の侵入その他のかく乱要因に、影響を受けやすくなってしまう。
 1992年の生物多様性条約は、各国が生物の多様性を保護し、持続可能な開発を促進する枠組を打ち出している。168か国がこの条約に調印したが、アメリカが含まれていない点に注目すべきである。2004年2月にクアラルンプールで開催された第7回締約国会議では、2010年までに生物多様性の喪失を大幅に食い止めるという目標が定められた。だが、この条約には実施のためのメカニズムも強制力もないため、目標達成は難しいだろう。
 「生息地の破壊を防ぐ」「土地利用の変化による影響を軽減する」「植物や野生動物への収奪を減らす」「気候変動の速度を抑える」――このような方策は、我々が依存している生命維持システムの弱体化を食い止める一助となり得る。ヒトという単一種が大量絶滅を招くというのは、おそらく地球史上初めてであろう。だが、その単一種が大量絶滅を阻止するよう働きかけるというのもまた、史上初の出来事なのである。

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(Web編集注:日本国内のデータについては環境省自然環境局生物多様性センターをご覧ください。http://www.biodic.go.jp/J-IBIS.html

 


翻訳提供/禁無断転載
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