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Eco-Economy-Update 2006-1

世界の鳥が危機にさらされている

ジャネット・ラーセン

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 世界中で、鳥類9775種のうち1212種、およそ8種に1種が絶滅に瀕している。生息環境の破壊や悪化が最大の脅威であり、これら脆弱な鳥の87%を脅かしている。

  増え続ける世界人口が、湿地、草地、森林などの地球の自然環境を変えてしまったため、鳥の数は減少している。世界の鳥の個体数は、農耕以前と比べると最大で25%も減少しており、これは主に、生息場所が農地に変えられたことによるものである。過去300年間で、農地が地球の陸地に占める割合は、6%から約3分の1にまで拡大している。

  現在、絶滅の恐れのある鳥の種の4分の3は、主な生息場所を森林に依存している。しかしながら、毎年約1300万ヘクタールの森林が破壊されている。失われた森林の約半分は、環境の変化に神経質な鳥などの生物が生息場所としている比較的自然のままの原生林である。

  ここ数年、鳥類の個体数が急激に減少しているのはアジアで、特にボルネオ島とスマトラ島である。この2島では、湿気の多い低地熱帯林が驚くべき速さで消失している。2000年までに、インドネシアの森林の約40%が消失してしまった。今や、スマトラ島の低地林に依存している鳥のうち4分の3の種が絶滅寸前である。木材伐採による森林喪失に加え、近年、バイオ燃焼として高く評価されているアブラヤシ油に対する需要の高まりにより、自然林をアブラヤシ・プランテーションへと転換する圧力が強まっている。早急に森林破壊傾向を食い止めなければ、すべての低地林が10年以内に消失してしまう可能性がある。インドネシア固有のオウムやバタンインコなど、インドネシアの鳥の118種は絶滅に瀕しており、その数は世界で最も多い。

  インドネシアに次いで多いのはブラジルで、115種が絶滅の危機に瀕している。アマゾンの熱帯雨林やサバンナに似たセラードと呼ばれる潅木地帯は、牧場や農場のために開拓され、近年では、飼料・食料・燃料用の大規模な大豆生産のために消失している。ブラジル大西洋岸の熱帯雨林は、拡大する都市や農場に押されて、90%も縮小している。断片的に残った森林には、約950種の鳥が生息しているが、そのうち55種は土着種で、絶滅の危機に瀕している。

  1500年以降、150種の鳥が完全に絶滅したと考えられている。これら絶滅種のうち約50種は、乱獲によるものである。狩猟により人類は、かつて地球上でもっとも数が多かった北アメリカのリョコウバトを絶滅させた。食料用としての狩りや、ペット取引のための捕獲などが、生息環境の喪失に次ぐ第二の脅威であり、絶滅に瀕している鳥の約3分の1の種に影響を与えている。(データ)世界のオウム388種のうち52種は乱獲の危険にさらされている。

  故意あるいは偶然による外来種の導入が、次に大きな脅威となっており、絶滅の危機に瀕している鳥の28%が影響を受けている。人々は世界のあらゆる場所を旅行するが、同様に害虫やペットも移動する。外来の害虫やペットは、土着種の野生生物を捕食し、駆逐し、生息環境を変えてしまう。ネズミやネコの外来種の導入だけでも、50種の鳥の絶滅を招いている。ハワイ諸島では、外来の捕食動物と病気が、生息地を消失させ、100以上の固有種の鳥の群れの半数以上を駆逐するという問題を引き起こしている。また、ニュージーランドでは過去200年間で、外来のフクロギツネやネズミ、その他の哺乳動物によって、天敵もなく8000万年にわたって進化してきた、かつては豊かな多様性を有していた大型鳥が深刻な影響を受けている。

  汚染は、さらなる危険を突きつけており、絶滅に瀕している12%の鳥に影響を与えている。インドでは、インドハゲワシの個体数が、過去10年足らずで95%も急速に減少しており、多くはインドハゲワシが餌としている家畜に投与された薬物による中毒死であった。西ヨーロッパの一般的な農地の鳥の個体数は、1980年から2003年にかけて57%減少し、その大部分は、農業に起因すると考えられる。化学肥料や農薬の使用による直接的な汚染に加えて、そうした化学物質が農地から流出して、渡り性の水鳥が生息環境としている湿地を汚染している。DDTやダイオキシン、ポリ塩化ビフェニル(PCB)などの難分解性有機汚染物質は、食物連鎖の中に蓄積し、鳥に奇形や生殖障害、病気を引き起こす可能性がある。

  気候変動は、鳥やその他の野生生物にとって、比較的新たな脅威である。気候変動により、世界中で2050年までに植物や動物の3分の1の種が絶滅する可能性がある。過去30年間で、地球の気温は0.6度上昇し、数種の鳥の渡りや繁殖、生息場所の範囲に変化をもたらしている。例えばオランダでは、春が早く訪れ、シジュウカラがひな鳥に与えるのに必要な青虫の出現も早まった。しかし、シジュウカラの産卵日は変わらないため、ひな鳥の孵化はエサが調達できる時期とはずれてしまっている。

  誕生から死ぬまであるいは一定期間を極地で過ごす鳥は、特に気温上昇の影響を受けやすい。温暖化が極地の脆い生態系を変えるにつれて、北極の渡り性の水鳥は、大きなダメージを受けるだろう。南半球では、世界の17種のペンギンのうち10種がすでに絶滅に瀕しているが、地球の気温は今世紀中に1.4〜5.8℃上昇すると予測されており、状態は改善されない見通しである。

  これらの大きくのしかかる脅威に加え、絶滅に瀕している鳥のうち7%の種は、偶発的な死亡の危険にさらされている。過去15年間での海鳥の個体数の急速な減少は、商業用の延縄漁業の成長と一致している。毎年、延縄漁でおよそ30万羽の海鳥が擬餌に誘われ、罠に掛かり死んでいる。漁業とのトラブルのために、アホウドリの全21種はいまや絶滅に瀕しているか、それに近い状態である。また、鳥は工業開発の犠牲にもなっており、ラテンアメリカ、カリブ海の8カ国で、絶滅の危機に瀕している鳥の半数以上が危険にさらされている。ヨーロッパ、中央アジア、アフリカでは、送電線での感電死が猛禽の大量斃死の原因である。アメリカでは何億もの鳥が窓に激突して死亡しており、これは、アメリカでの鳥類の一番の死亡原因である。

  もし、鳥がいなくなれば、鳥による経済的に価値のある恩恵も受けられなくなる。鳥は花の受粉をし、種を撒き、リス・ネズミなどのげっ歯類や病害虫、雑草の種などを取り除いている。ハゲタカ、コンドルなどの腐肉を食べる動物は、栄養素を再循環させ、死体や病原となる可能性のある腐敗しかけた動物をきれいに片付けているのである。

  さらなる鳥の個体数の減少や絶滅を防ぐことは、残存する自然地を保護し、自然生態系および変化した生態系を良い状態で維持することに大きくかかっている。絶滅危惧種は、個体数が存続能力のあるレベルに戻るかどうか、さらに徹底的な管理が必要となるであろう。これには、捕獲して繁殖させ、放鳥することや、侵略的な捕食動物を可能な範囲で積極的に駆除することが含まれるだろう。鳥の病気の拡大を防ぐには、感染した飼育鳥と野鳥との接触を制限するために、より厳重なバイオセキュリティーが必要である。また、鳥をビルや塔、タービンなどの人工的な建物からそらしたり、新たな建物は渡りの通り道から外れたところに位置させることでも、鳥の死亡を防げるであろう。

  絶滅したと長い間考えられていたハシジロキツツキが生存していたという今春の報道は、バードウォッチャーたちを興奮させたが、現実にはこのようなことは二度とないだろう。継続的に生息場所を保護しても、いったん野鳥の個体数が激減すると、回復は不可能ともいえるだろう。そして、気候と人口を安定させなければ、世界中のすべての自然公園の周りにフェンスを付けても、絶滅に瀕している種の保護には十分ではないのである。

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翻訳提供/禁無断転載
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