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News Release

「地下水汚染の見えざる危機」

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 ワールドウォッチ研究所から新たな研究を報告する。農薬と窒素肥料、工業的に使用される化学物質、および重金属などの有害な溶液が、世界各地で地下水を汚染しつつあり、しかもその被害は淡水資源に恵まれない地域で最悪になることが珍しくない。「地下水汚染は修復が不可能ともいえ、生命にとって基本的な資源の一つである『水』を未来の世代から奪うことになるだろう」と『深刻な問題:地下水汚染の見えざる脅威』の著者パヤル・サンパット[Payal Sampat]は述べている。「今後50年のあいだに、この地球上で、人口がさらに30億人増加し、より多くの飲料用水、農業用水、および工業用水が必要になると予測される。にもかかわらず、私たちはもっとも安価で、もっとも利用しやすい水源を汚染している。ほとんどの地下水はまだ汚染されていないが、今すぐ行動しない限り、私たちが必要とするときには清浄な地下水はなくなっているだろう。」

 地下水は世界の大規模な穀倉地帯のいくつかを潤している。インドの灌漑面積の半分以上、アメリカの灌漑面積の43%が地下水を水源としている。すでに、灌漑用水は世界の水使用量の約3分の2を占めている。河川や湖にダムが造られ、干上がり、汚染されていくにしたがって、あるいは今後50年のあいだに食糧需要が増大するにしたがって、農業者たちは灌漑用水の水源をますます地下水に依存するようになるだろう。

 地下水は河川や湿地に水を供給するという、生態学的に重要な役割も果たしている。地下水が供給する水はミシシッピー川や、ニジェール川、長江、その他多くの大河川の流量の大部分を占めている。もし、地下水がなければ、そのうちのいくつかは1年中干上がるだろう。

 地下水の汚染はすでに広がっている。たとえば、  *1990年代後半、インドの汚染対策中央評議会が22の主要な工業地域の地下水を調査した結果、全て飲用に適さないことがわかった。

*1988年にカリフォルニア州のサンホワキン・バレーで井戸の水質調査が行われ、その3分の1から農薬DBCP[訳注:ジブロモクロロプロパンとしてかつては、土壌燻燕剤として使われていた。アメリカ本土、日本では使用禁止となっている。睾丸、肝・腎臓障害を引き起こす可能性もある]が飲料水の許容値の上限の10倍の濃度で検出された。これらの井戸は使用が禁止されてから10年以上も経過した。

*米国環境保護庁(EPA)の推定によると、およそ10万ケ所のガソリン貯蔵タンクから化学物質が地下水に漏れ出している。カリフォルニア州サンタモニカでは、ガソリン添加剤のMTBEが危険な濃度で検出されたために、市の水道の半分を供給していた井戸が閉鎖された。

*中国北部の北京、天津、河北省、および山東省では、1995年に調査した地点の半分以上で、地下水の硝酸塩濃度が健康のための基準値を超えていた。

 「地下水汚染の最も困難な点は、一度汚染された地下水の浄化は本質的に難しいことである」とサンパットは述べている。地下水の循環にあっては、有害化学物質を洗い流したり、薄めるにはあまりにも流動が遅すぎる。河川に流れ込んだ水は平均してわずか16日しか地表水として水路に存在しないのに、地下帯水層に流入した水は平均1400年も滞水する。たとえば、今日のロンドン市民は、氷河期が終わる頃に降った雨水を飲んでいることになる。

 いったん汚染された地下水を浄化することは難しいので、緊急に汚染を防ぐことが注目されている。地下水に大きく依存しているアメリカ中西部では、水道水からアトラジン というたった一種類の除草剤を除去するために、年間4億ドルを費やしている。連邦調査評議会によれば、アメリカでは今後30年のあいだに、汚染された地下水を初期浄化するための費用が、約30万ケ所で、1兆ドルに達する可能性がある。

 「ばらばらで、あたかも蛇口をいじくるような対策では全く解決にならない」とサンパットは述べる。「この貴重な淡水資源を保護するために、私たちは食糧生産・工業生産・廃棄物処理の方法を根本的に変更する必要がある」

 EPAの報告書は、大規模な企業農業の農場・機械・農法を見直し、耕地の表面を流れ出る水を減らすように提案している。これらの水は地下水汚染の原因となる。EPAは、こうした企業農業による汚染を減らすことで、最新の水処理施設の増設に必要トなる150億ドル以上の予算を、削減できるかもしれないと推測している。インドネシアからケニアまで、農業者たちは生産量を増やしながら化学物質の使用量を減らす方法を学んでいる。1998年から中国雲南省では、全ての農業者が、多品種のコメの種子を蒔くことによって、コメの生産量を倍増しながらも、種子消毒・散布など殺菌剤の使用をやめた。また、ドイツの水道事業は、農業者たちに有機農法に転換するための費用を支払っている。その方が、供給水から化学物質を除去するより安上がりだからである。

 企業も有害物質の排出に関して、より大きな責任がある。アメリカでは、もっとも危険性の高い有害液体廃棄物の60%(年間340億リットルの溶剤、重金属、および放射性物質)が数千ケ所の「投入処分用井戸」から、深層の地下水に投入されている。EPAはこれらの廃液を最も深い飲料水の水源よりも下に投入するように指導しているが、フロリダ州、テキサス州、オハイオ州、およびオクラホマ州では廃液の一部が飲料水の水源に入り込んでいる。

 製造業者は、原料や化学物質を再利用すことによって、地下水汚染を減らすことができる。再利用することによって、廃棄物埋立処分地からの汚染物質の漏出が減るからである。今日、複数の企業が協力して「共生型産業団地」を形成している。そこでは、ある企業にとって不要な廃棄物が別の企業の資源になる。このような廃棄物の交換によって、デンマークのカロントボル工業地帯では、廃棄物埋立処分地や廃水処理場への廃液の負荷を年間130万トン以上削減している。

 製造業者が有害性物質の少ない生産システムに転換することも可能である。スウェーデンでは、2000年末までに塩素系溶剤の使用を完全にやめる。すでに一部の企業は、水を主体とする溶剤に転換することによって、経費削減にもなっていることを報告している。その溶剤は柑橘系の果実や、トウモロコシ、大豆、乳酸などから生化学的に抽出したものである。

 サンパットは有害化学物質の削減と無害物質への転換を奨励することを政府に求めている。税制政策はその一つの方法である。たとえば、オランダでは、1976年から1990年代にかけて汚染税を99%まで引き上げることによって、河川や運河に排出される水銀やヒ素などの重金属の削減を促進した。(2000.12.9 発表)

 


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