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News Release

狂牛病の現況

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今日の家畜伝染病の背景としてのグローバリゼーション、経済状況、そして不適切な畜産システムに関する、ワールドウォッチ研究所の研究員ブライアン・ハルウェイルとDani Nierenbergからのコメント。

 ヨーロッパにおける狂牛病と口蹄疫の蔓延は、アメリカを含めいかなる国も、家畜を通して感染する病気の脅威から免れないことを証明している。にもかかわらず、アメリカの業界と政府当局は、15年前のイギリスと同様の態度をとり続けている。当時、イギリス政府はBSE(ウシ海綿状脳症)、いわゆる狂牛病の発生を伝える報道を常に軽視していたのだ。

 財貨・サービス貿易のグローバル化、家畜の越境移動、頻繁な大陸間航空交通は、狂牛病や口蹄疫、その他のあらゆる既存または未知の家畜病から隔離された国などまったくないことを意味する。最近完成したコロンビアからアメリカにいたるパンアメリカン・ハイウェーは、南アメリカですでに問題化している口蹄疫がいずれ北アメリカに侵入することを事実上保証するものだ。口蹄疫ウイルスを靴に付着させたひとりのイギリス人が、ロンドンで飛行機に乗り、数時間後にはテキサス州のウシ牧場に到着するかもしれない。

 イギリスで初めて狂牛病と人間のクロイツフェルト・ヤコブ病(海綿状脳症)が発見されたのは1986年だが、それからもずっとイギリス産牛肉は世界中に輸出されてきた。まだ詳しく解明されていないこの致命的な病気の病原体が潜んでいる可能性のあるイギリス産飼料製品も、同様に広く輸出されてきた。すでにフランス、イタリア、スイス、ドイツ、ポルトガル、アイルランド、スペインなど計12か国で、狂牛病感染ウシが発見されている。国連食糧農業機関(FAO)は、多くの国は何の備えもしていないようだが、すべての国は自国が危険にさらされていると認識すべきだ、と宣言した。アメリカ食品医薬品局の最近の調査では、アメリカ国内の食肉解体場および飼料加工工場のなんと4分の1までが狂牛病予防のための定められた処置をとっていなかった。

 しかし、口蹄疫と狂牛病の急速な蔓延について気を揉んでいるだけでは、問題を解決することはおろか、正しく理解することもできない。この問題を理解するには、狂牛病と口蹄疫が互いに密接に関連する病気であることを認識する必要がある。生物学ではなく経済環境上の理由が、これらの病気の蔓延を説明する。

 現代の畜産業は、単に病気の発生の可能性を秘めているどころか、その大量発生を促進するような仕組みになっている。生産者は遺伝学的に均質な、膨大な数の家畜を不衛生な畜舎に詰め込み、微生物にとって非常に増殖しやすい温床をつくり出す。家畜の排泄物や食肉解体場の廃棄物を飼料として再利用する。血液、糞尿、その他の病原体が存在する場所で驚異的なスピードで食肉加工を行う。食料の長距離輸送が汚染の機会を際限なく生み出す。

 皮肉なことは、家畜の健康よりも経済的利益を優先するように設計されたこのような食料生産モデルが、長期的には経済的に何の意味もなさないということである。狂牛病だけでもすでにイギリスに10億ドル以上の損失をもたらし、欧州連合(EU)の財政に560万ドルを支出させている。口蹄疫のコストも同様に莫大な額にのぼるだろう。

 そして、これらの病気の広がりは、社会が受ける全体的コストの膨大さをうかがわせる。集中肥育場が生み出す途方もない量の排泄物は、大気と水を汚染し、生態系を撹乱し、農村住民の健康に悪影響を与える。肥育場における抗生物質の過剰使用は、サルモネラ菌、大腸菌、カンピロバクターなどの病原菌における新たな耐性の出現という形で結局人間にしっぺ返しをする。最近の研究によると、アメリカでは家畜が国民のほぼ10倍の抗生物質を摂取している。

 家畜の集中肥育はいまも、世界中に広がり続けている。これはもっとも急速な成長を見せている家畜生産方式であり、世界の食肉生産のほぼ半分を占めている。1990年にはこの割合は全食肉生産の3分の1だった。集中肥育場は北アメリカとヨーロッパに集中しているが、いまやブラジル、フィリピン、中国、インドをはじめ、食肉と畜産物の需要が急増している発展途上諸国の都市近郊に続々と出現している。

 もちろん、これとは異なる食肉生産方法もあり、それは飼育場を、流れ作業式の工場ではなく生命システムとして管理するものである。ヨーロッパのどの国でも、有機農場で狂牛病が発生した例をまったく見ないというのは決して偶然ではない。これらの農場では、食肉解体場からの廃棄物を飼料にすることはなく、家畜に屋外に出る機会を与え、一般的に家畜の良好な健康を重視する。適切な畜産システムによって病気の予防に成功しているスウェーデンなど一部の国々では、畜産業者は広く消費者の信頼を得て、国内市場でのシェアを盛り返している。しかも、健康な家畜は口蹄疫に対する最善の防衛策になるだろう。

 ドイツでは、食品に対する国民の強い不安が、農業政策の抜本的な転換を引き起こした。狂牛病発生の最初の報告を受けて、同国の首相は、農業大臣を環境保護主義者と交代させ、農業政策と農業生産方法は環境保全および公衆衛生の諸目標と整合しなくてはならないと断言した。グループとしての欧州連合も、家畜検疫や食肉への電磁波照射のような場当たり的な解決策にとどまらない同様の組織的な改革を検討している。

 いまのところ拒否反応を示しているアメリカの政治家たちも、ただちに同様の改革に乗り出すべきである。国家レベルの改革が必要であるが、結局、これはグローバルな課題である。貿易はグローバルであり、疫病もグローバルである。したがって、人間の健康を守るための行動もグローバルに展開されなくてはならない。

 


翻訳提供/禁無断転載
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