トッププライバシーリーガルサイトマップRSSアイコン My Yahoo!に追加エキサイトリーダーに登録
WorldWatch-Japan

WWJ地球環境メールマガジンEpsilon
メールアドレス
 

Yahoo!検索

  • ウェブ全体検索
  • サイト内検索

トップ | レポート | WWマガジン | ブックス | メールマガジン | リンク | 各種ご案内

 トップ > レポート一覧  > Press Release

amazon.co.jpで注文する。 →書店で注文する。

ビル・クリントン絶賛、レスター・ブラウン最新刊「PLAN B 3.0」人類文明を救うために発売開始

1984年創刊、世界で読まれている地球環境問題のロングセラー本『地球白書』、最新版発売!

Press Release

人間活動が自然災害を増大させる

メールマガジン登録はこちらから

* * *

メールマガジン登録はこちらから

 今日、世界全体では、自然災害のために居住地を追われる人々の数は、紛争難民の数よりも多い。1990年代では、ハリケーン、洪水、火災などの自然大災害による被災者数は20億を超え、被った経済的損失の世界合計は6080億ドルを超えていて、それ以前の40年間の総合計よりも多い。しかし、自然災害が引き金になっているにしても、生態系破壊活動、危険地帯での居住人口の増加といった、自然破壊が真の原因である被災が急増している。

 森林破壊、河川工事、湿地帯の埋立、気候変動により、私たちは複雑に編まれた生態学的なセーフティネットをずたずたにしている」と、『非自然的災害』(ワールドウォッチ・ペーパー,No.158)の著者、ジャネット・エィブラモヴィッツ上席研究員は語る。「私たちが自然を余りにも激変させてしまったので、天変地異から私たちを守ってくれる自然システムの能力が大きく損なわれてしまったのです」

 急激な人口増加と人工的な環境の拡張とによって、危険地帯での居住人口と経済活動とを増やしてしまったので、被災規模拡大の要因になっている。海岸から100km以内の地帯に、世界人口の3分の1にあたる、およそ20億もの人々が居住している。世界には(人口1000万以上の)巨大都市が19あるが、そのうち13の都市が海岸地帯に立地している。異常気象の激化、海水面の上昇など、地球温暖化により予測される事態の結果は、潜在的損失の増大に他ならない。

 「非自然的災害」は場所を選ばずに発生するが、とくに貧困層は、その多くが被災の危険が大きい脆弱地帯での生活を余儀なくされ、しかも、事前に災害に備えたり、事後に復旧するために必要な物資・資金の蓄積が乏しいので、集中的に被災してしまう。1985年から99年にかけて、記録に残る災害死亡者数の96%は発展途上国の人々の犠牲によるものなのだ。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の予測によれば、気候変動の将来の影響も貧困層に集中して現れるだろう。例えば、ベトナムとバングラデジュでは、7万平方キロメートル以上もの土地が失われ、3200万もの人々が影響を受けると予想されている。だが、先進国も影響を免れるわけではない。地中海沿岸の全域が海水面上昇の甚大な影響を受けるだろうし、アメリカの大西洋岸とメキシコ湾岸地帯も同様である。

 「非自然的災害」による経済的損失額で見れば、先進諸国の方が大きくなる。例えば、1995年の阪神・淡路大震災による損失額は1000億ドル超であり、災害被害額として史上最大となった。一方、貧しい国々では被災額そのものは小さくても、国民経済に占める割合が大きくなってしまうので、影響はかえって深刻になる。98年に中央アメリカを襲ったハリケーン・ミッチの被害額は85億ドルであったが、これはホンジュラスとニカラグアとを合算した国内総生産額よりも大きく、両国にとって最悪の打撃になった。

 貧しい国々では、被災額のうち、極めて僅かな部分しか保険の対象になっていない。1985年から99年にかけてでは、災害保険支払実績のうち、先進国のシェアは92%と圧倒的であった。

 「貧しい人々にも救済の手が届くような、金融面でのセフティーネットの拡充が最優先課題である」と、エィブラモヴィッツは語る。「同時に、すべての国々で自然の生態学的セフティーネットを維持、修復することも、それに劣らず重要だ。海岸砂丘、海岸線に平行して並ぶ島、マングローブ林、沿海湿地帯は、沿岸を襲う暴風雨に対する自然の“ショック・アブソーバー”である。森林、氾濫原、湿地帯は、洪水を吸収する“スポンジ”である。自然はこのような役割を無償で担ってくれているので、私たちはこれをむやみに損なうような行為は慎んで、その有効活用を図らなければならないのです」

 例えば、中国は、森林の価値は、洪水防止と水源涵養のために保全した方が、伐採して木材として利用する価値の10倍にもになることを認識し、長江流域の森林伐採を中止した。長江の上流域では、森林の85%がすでに消失していて、その結果、1998年の洪水の規模が膨れ上がり、2億2300万の被災者を出してしまった。ベトナムは2000ヘクタールのマングローブを修復して、暴風雨への保安林整備に成功し、同時に、大いに必要とされている雇用を漁業で生み出した。アメリカでは、ミシシッピー川上流域で消失した湿地帯の半分だけでも修復していれば、93年に体験した大規模な洪水の今回の再来を防げたはずだ。そのために必要な河川周辺の土地は、農地、森林、市街地面積の3%に満たない。

 従来の災害対策の焦点は、事前の気象予報技術の改善、事後の人道的復旧援助に充てられていた。両者とも、無数の人命を救ったのは確かである。「だが、一般社会も、政治家も、長期対策を余りにも見過ごしてきました」と、エィブラモヴィッツは述べている。「災害予防への投資は、復旧費用の削減という形で数倍にもなって返ってきます。加えて、社会的、生態学的損失の圧縮効果をも考慮すれば、予防が価値ある投資であることは明白です」

 非自然的災害という考え方は、これまでに述べた対応の他にも、幾つかの予防策を提示している。地域共同体に根差した普段からの備えこそが、社会が直面する、あらゆる災害への予防、復旧の両面にとって是非とも求められている。行政は、自然環境を損なう住居や開発への助成を止めて、新たな開発、居住は危険区域を避けるようにと監督する必要がある。脆弱地での社会基盤は、災害に耐えうるように建設、または補強されなければならない。発展途上国の債務を減免すれば、必要な災害予防のための財源が生まれる。ハザード・マップ(災害予測地図)を改良すれば、早期警報と災害対策を改善し、人的、経済的損失を最低限に抑えることができる。
2001.10.18

詳細

Worldwatch Paper NO, 158, “Unnatural Disasters”by Janet Abramovits.

問合せ先 ウェブサイト

日本語版 : www.worldwatch-japan.org

英語版 : www.worldwatch.org

 


翻訳提供/禁無断転載
WorldWatch-Japan.org


広告について

RSSで、あなたのホームページやブログに地球環境問題レポートを載せませんか?

My Yahoo!に追加エキサイトリーダーに登録はてなRSSに追加Subscribe with livedoor Reader

ページトップへ
Mail
Copyright (C) 2000-2010WorldWatch Japan, All rights reserved.  <禁無断転載

地球白書 2009-10特集地球温暖化抑制 /地球白書英語版State of the World 2009: Into a Warming World / レスターブラウン プランB4.0

ワールドウォッチジャパンクラブ会員募集中 / 地球環境問題メールマガジン(メルマガ)配信中 / 地球環境総合誌(雑誌) / 地球環境問題RSS配信中 /
中国・世界の地球環境問題レポート/ニュース / 環境教育 / 地球白書.jp / 地球環境問題の書籍、関連本

EarthPolicyInstitute WorldWatchInstitute