環境マガジン:ワールドウォッチマガジンより
イタリアのトリノで開催された2006年の冬季オリンピックでは、選手団や観客の到着に先駆けて、驚くべき偉業の数々が達成されていた。トリノオリンピック組織委員会(TOROC)は国連環境計画(UNEP)の数年にわたる支援のもと、(1)二酸化炭素排出削減、(2)水を大量に使用する人工雪製造の抑制、(3)環境にやさしいホテルの推進による大会のエコ化、という意欲的な計画に取り組んできた。
オリンピック組織委員会が森林管理、エネルギー効率改善、再生可能エネルギー事業への投資によって開催期間中の二酸化炭素排出量(推定10万トン)の相殺を図るのは初めて。TOROC環境プログラム責任者のウーゴ・プレタートは「気候変動と二酸化炭素排出量相殺は最優先事項。(中略)特にウィンタースポーツは気候変動と密接な相互関係がある」と話す。排出権は地元自治体の資金援助を受けて京都議定書に従って購入され、主に輸送や各競技会場の運営に伴う排出量との相殺に充てられた。
人工雪をつくる水の供給源として20か所の新規貯水池が必要となった際は、節水技術を開発して9か所まで減らし、被害を受けやすい高山生態系への影響も最小限に抑えた。浄水場の新設を回避するため、処理能力を超えた分の未処理汚水を山岳部から搬出する計画も立てた。チェザーナ・パリオル〔ボブスレーの競技会場〕やプラジェラート〔スキー・ジャンプの競技会場〕のように建設が避けられない場合は自然工法を取り入れ、攪乱された生息地の復元に努めた。選手宿舎とメディア関連施設は大会終了後も有効利用できる造りになっている。多くの現地ホテルがEUエコラベル〔環境指針を達成した宿泊施設の特定に役立つマーク〕を取得した。
UNEPはすでに2008年夏季大会に向けて北京オリンピック組織委員会と協定を結んでおり、大気・水質汚染や騒音公害のみならず輸送、宿泊施設、廃棄物管理に由来する環境問題および一般の環境意識向上にも取り組む方針だ。環境マガジン:ワールドウォッチマガジンより
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