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ビル・クリントン絶賛、レスター・ブラウン最新刊「PLAN B 3.0」人類文明を救うために発売開始

1984年創刊、世界で読まれている地球環境問題のロングセラー本『地球白書』、最新版発売!

WorldWatch News

地熱発電に大きな期待を寄せているレスター・ブラウン

(レスター・ブラウン『プランB 4.0』第5章から) 




 

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地熱発電に大きな期待を寄せているレスター・ブラウン
 ●その2の1

(レスター・ブラウン『プランB 4.0』第5章から)

☆地熱をエネルギー資源として活用する

 深さ10キロメートルまでの地殻の熱が、世界の油田と天然ガス田で発見された全エネルギーの5万倍ものエネルギーを蓄えているという驚くべきデータを知る人は少ない。豊富であるにもかかわらず、世界全体の地熱発電容量はわずか1050万キロワットである。

 石油・天然ガス・石炭の各業界は、気候変動と大気汚染のコストを含まない安価な燃料を提供してきた。これら業界の優位性もあって、地熱への開発投資は、相対的に少額だった。この10年間、地熱エネルギーは年間3%の成長にとどまっている。

  地熱による世界の現在の発電容量の半分はアメリカとフィリピンが占めており、メキシコ、インドネシア、イタリア、日本が残りの大部分を占める。合計すると約24か国が、地熱による発電を行っている。全発電量に占める地熱発電の割合は、アイスランドが27%、フィリピンが26%、エルサルバドルが23%である。

 電力供給、住宅暖房、産業加工用の熱供給など、地熱エネルギーの可能性は計り知れない。「環太平洋火山帯」に沿った国々には、非常に豊富な地熱資源が存在する。チリ、ペルー、コロンビア、メキシコ、アメリカ、カナダ、ロシア、中国、日本、フィリピン、インドネシア、オーストラリアなどである。また、ケニアとエチオピアなど、アフリカの「グレートリフト」〔東アフリカから中東に走る火山地帯〕に沿った国々と、東地中海沿岸諸国にも、豊富な地熱資源が存在する。

 地熱発電のほかでは、熱出力で推定1億キロワット分の地熱エネルギーが、住宅と温室の暖房と、産業の熱加工に、電力へ変換されず直接的に使用されている。たとえば日本の温泉、アイスランドの住宅の暖房、ロシアの温室などで使用されているエネルギーである。

 2006年、マサチューセッツ工科大学(MIT)が集めた13人の科学者とエンジニアの学際的チームは、アメリカの地熱発電の可能性を評価した。同チームの推定によると、石油・天然ガスの企業が採掘や回収量を増やすために使う技術も含め、最新技術を用いて地熱システムを増強すれば、大規模に地熱エネルギーを開発することが可能である。この技術では、熱い岩の層を掘り下げ、岩を砕き、割れた岩の間に水を入れる。次に蒸気タービンを動かすために、過熱水を抽出する。MITのチームは、この技術によって、アメリカは、地熱エネルギーで、同国のエネルギー需要の2000倍のエネルギーを得ることができると述べている。

  この技術は、まだコストが高いが、地熱を電気に変換するために、ほとんどどこでも利用できる。オーストラリアは、現在、この技術を使った試験施設の開発のリーダー的存在で、ドイツとフランスがこれに続いている。アメリカ向けに、この可能性を最大限に実現させるために、MITのチームは、政府が今後数年間で、地熱の研究開発に、10億ドル投資する必要があると推定している。これは、石炭火力発電所1基分の費用に相当する。

 この胸が躍るような新技術が広く採用される前に、投資家たちは、既存技術の先を進んでいる。長年、アメリカの地熱エネルギーは、サンフランシスコ北部のガイザー計画にほぼ限定されていた。これは、85万キロワットの発電容量の、世界最大の地熱発電複合施設である。現在、アメリカの地熱発電容量は、300万キロワットを超えており、「地熱ルネッサンス」を経験している。12州で開発中の約126の発電所によって、アメリカの地熱発電容量は3倍近くに増えると期待されている。カリフォルニア、ネバダ、オレゴン、アイダホ、ユタが中心となって、この分野には多くの新しい企業も参入していることから、アメリカの大規模な地熱開発の準備が整っている。

 地熱エネルギーが豊富なインドネシアは、2008年に、690万キロワットの地熱発電容量を開発する計画を発表して、大きな注目を浴びた。フィリピンは、地熱発電で、現在は世界第2位だが、多くの新しいプロジェクトを計画している。

 タンザニア、ケニア、ウガンダ、エリトリア、エチオピア、ジブチなどのアフリカ大地溝帯の国々では、ケニアが早いリーダーである。ケニアの現在の地熱発電容量は、10万キロワット超で、1015年までに120万キロワットまで増やす計画をしている。ケニアのすべての発電源を合わせた総発電容量は、現在、120万キロワットなので、発電容量は2倍になる。


地熱発電に大きな期待を寄せているレスター・ブラウン
 ●その2の2

(レスター・ブラウン『プランB 4.0』第5章から)

☆先駆的な日本

 地熱発電では先駆者の日本には、地熱発電所が18基あり、総発電容量は53万5000キロワットである。20年近く、活発な動きがなかったのだが、数千の温泉で昔から豊富な地熱で知られている日本は、再び、地熱発電所の建設を始めている。
 
 ヨーロッパでは、ドイツが4基の小型地熱発電所を稼動中で、約180基がパイプラインと接続されている。ドイツ地熱協会のヴェルナー・ブスマン会長 は、「地熱は、ドイツの電力需要の600倍のエネルギーを供給できる」と述べている。地球環境ファシリティのモニーク・バルビューCEO兼議長 は、電力を得るために地熱エネルギーを開発する国の数は、2000年末の約20か国から、2010年には50近くまで増えると予測している。

 地熱発電所以外に、地熱(地表源)のヒートポンプが、冷暖房に広く使われている。ヒートポンプは、地表近くの温度が著しく安定していることをうまく利用して、大気の気温が低い冬には加熱源として、気温が高い夏には冷却源として利用する。この技術の大きな魅力は、冷暖房の両方を提供できることで、必要な電力も、従来のシステムより25〜50%少ないことだ。たとえば、ドイツでは、住宅と商業用ビルで、13万個のヒートポンプが稼動している。この数は、着実に増加しており、年間2万5000個以上のヒートポンプが新しく設置されている。

 地熱エネルギーの直接利用で、先頭に立っているのはアイスランドとフランスである。

 アイスランドでは、国内の住宅のほぼ90%で地熱暖房を利用しており、住宅暖房用の石炭の使用はゼロに近い。同国では、全エネルギー使用量の3分の1以上が地熱エネルギーで供給されている。フランスでは、1970年代の2度にわたる石油価格高騰を受けて、約70か所に地熱暖房施設が建設され、約20万戸の住宅に暖房と温水を供給している。アメリカのネバダ州リノとオレゴン州クラマスフォールでは、住宅に地熱が直接供給されている。中国、日本、トルコなどには地熱による地域暖房システムがある。

 とくに北方の国々では、地熱エネルギーは温室の熱供給源として理想的である。ロシア、ハンガリー、アイスランド、アメリカなど多くの国で、冬場の野菜生産に地熱温室を利用している。石油価格の高騰で生鮮食品の輸送費が上がっているため、こうした方法は今後数年の間に、さらに一般的になるだろう。

 中国、イスラエル、アメリカなどおよそ16か国が、水産養殖に地熱エネルギーを利用している。たとえばカリフォルニア州では、15の養殖場が地下からの温水でティラピア、ナマズなどを年間4500トン生産している。

 地熱エネルギーを発電および暖房に利用する国の数は急速に増えており、その用途も多様化している。たとえばルーマニアは、地熱エネルギーを地域暖房や温室、住宅や工場への温水供給に利用している。

 地下からの温水は、浴場とプールに広く利用されている。日本には2800か所の温泉地があり、加えて5500の公衆浴場と1万5600のホテルや旅館が温泉を利用している。アイスランドには、地熱エネルギーで温水を供給する100あまりの公営プールがあり、その大半は年間を通じて利用できる屋外プールである。ハンガリーにも、同様の温水プールが1200か所もある。

 「環太平洋火山帯」沿いの、人口の多いアメリカ、日本、中国、インドネシアの四か国が、地熱資源の開発へ真剣に投資すれば、地熱エネルギーは、簡単に世界の主要なエネルギー源の一つになるだろう。アメリカと日本だけでも、地熱による発電容量の可能性が控えめな推定でも2億4000万キロワットあることから、プランBの目標である、2020年までに、数千の地熱発電所の地熱発電容量が2億キロワットに達する世界を思い描くのも難しくない。


(レスター・ブラウン『プランB 4.0』第5章から)

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