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 トップ > WWマガジン >  INTERVIEW:ワンガリ・マータイ「 政府を批判してきた環境運動家が政府で働くことも大切なステップ」

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INTERVIEW

政府を批判してきた環境運動家が
政府で働くことも大切なステップ

ワールドウォッチマガジンVol.17,No.3より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワールドウォッチマガジン

ワンガリ・マータイ
 モイ前大統領の独裁政権下で投獄され、いやがらせや中傷を受けたワンガリ・マータイはケニアのグリーンベルト運動の創始者である。
 この運動は女性たちの植樹活動を支援する一万で(1977年以来、国内で2000万本あまりの木が植えられた)、より望ましいガヴァナンスと人権を提唱してきた。マータイは2002年12月、同国で数十年ぶりに行われた自由選挙で縁の党員としてケニア議会に選出され、2003年1月には環境自然資源野生生物省副大臣に任命された。最近は国家への貢献に対してキバキ大統領から「燃える槍の長老」〔「燃える槍」は初代大統領ジョモ・ケニヤッタのニックネーム〕と称された。
 以下はワールドウオッチ研究所のダニエル・ニーレンバーグ(研究員)とミア・マクドナルド(特別研究員)が昨年11月、ナイロビでマータイと会見した際に行われたインタビューの抜粋である。

ワールドウォッチ(WW):著名な反政府主義者から政府の一員になられて、どのような感じですか?

ワンガリ・マータイ(WM):私が選出されたことは皆とても喜んでくれたのですが、大臣にならなければ、つまり副大臣として誰か大臣の下で働いているかぎりは、できないことがたくさんあるということは、あまり理解されていません。説得力をもつよう努力はしていますが、物事が進むスピードは私が期待していたほど遠くはありません。
 大きな障害のひとつは、汚職にまみれ公的資金の流用が横行していた体制を引き継いだことです。

WW:あなたが政府に身を置くことは、世界中の環境活動家にとって、どのような意味をもちますか。

WM:1960〜70年代に共に活動を始めた環境活動家たちの多くは後に政府に入り、閣僚になった人も少なくありません。不満が鬱積しているときなど、ブラジルのジョゼ・ルツェンベルガーを思い出します。彼が環境担当特別補佐官(90〜92年)になって、私たち一同は興奮しきりでしたが、彼はその後あまりにも身動きがとれなくなって辞職しました。私たち環短活動家は政治よりも理想主義に動かされがちなので、忍耐力を養わなければなりません。
 でも実際のところ、わくわくしているんです。議会に出るときは、この議事堂にいることは本当に大きな特権だとつくづく考えたりします。人口3000万の国で議員数は222人、うち女性は16〜17人ですから、責任の重さを自覚するよう努めています。

WW:グリーンベルト運動への取り組みから得られた経験のなかで、政府でのお仕事にも応用できるもっとも重要なものは何ですか。

WM:私たちがしてきたもっとも貴重なことのひとつは、一般の人々が苗木生産者職いってみれば「免状を持たない森林監督官」−になるのを支援したことです。望ましいガヴァナンスと環境保全のつながり、すなわち「適切に管理された環境が、どれだけ生活の質の高さを持続する助けになるか」を、理解してもらおうというのが活動の主眼でした。
 植樹キャンペーンはこうした姿勢から生まれたのです。私たちは環境を救うための行動を起こすだけでなく、政府を変えていくという市民としての責任を実践する運動を立ち上げました。
 現在も千本単位の苗木生産を続けていくためグリーンベルト運動に携わっています。環境自然資源野生生物省がこれらの苗木を買い上げる用意があると言明できるときを待っています。そうなれば百万本単位になり、農相地域で多くの雇用が創出されるでしょう。結果として、非常に貧しい人々に収入源が確保され、彼らはそのために働くはずです。

WW:どのようなイニシアティブを、ご検討なさっていますか。

WM:全国植樹デーを始めたいと思い、時期としてはイースター〔復活祭〕がうってつけだと考えました。4連休もあるし、ケニア国民の85%近くはキリスト教徒です。この国の人たちは宗教やイエスなどに、とても深い関心を持っているのですが、十字架を手に入れるには森へ行って木を切り、仕上げなければなりません。しかし、キリスト教徒の行いとして、木を切るのではなく植えて、キリストが復活したように生命を復活させることほど、ふさわしいものはないと思いました。

WW:ケニアの環境が直面している主な課題は何ですか。

WM:森林面積の回復、野生生物の保護、十分な水の供給、そしてさまざまな汚染の防止にどう対処するかです。森林面積は非常に速いペースで減少し、硯在は国土面積の約1.7%となっています。国連環境計画の推奨レベルはおよそ10%ですが、これでも最低限の水準です。私たちの国は乾燥地帯、半乾燥地帯、砂漠が2/3を占めています。農業国ながら、サハラ砂漠を間近に控えて、その影響を非常に受けやすいのです。それゆえ森林面積を増やす必要がありますが、これを実現するには国民の参加を募るしか方法がありません。

WW:人口や開発の圧力があっても、植林は本当に可能ですか。

WM:やればできます。人口圧力は高いのですが、水と肥沃な土壌、森に覆われた山々のある地域(国土の1/3)に集中しています。残りの2/3の土地があるわけですから、それをもっと活用すべきです。私は成長が早く商業的に利用可能で、今までは山岳地帯に植えられていた外来樹種をこうした地域に造林するよう提言しています。山間部での植林では逆に外来種を減らし、在来種を増やすようにしなければなりません。集水地域や動植物の多様性も保護していきたいからです。
 外来樹種は乾燥地でも非常によく育ちます。この点も、また一定の説得を要すると思われます。というのは、私たちは過去80年ほどにわたって林業用に外来樹種を植えつづけてきたからです。そうした状況下、外来樹を植林するため自生の森林が伐採されました。外来樹種の植林を山間部ではなく乾燥地域で行う意味は、徐々に理解されていくでしょう。

WW:「汚職」と「野生生物と人間との土地をめぐる摩擦」にはどのように対処なさっていますか。グリーンベルト運動への取り組みでは、これらの問題が焦点となっていましたが。

WM:あまりにも多くの森林監督官が不正を働き森林を破壊していたので、全員引き揚げさせました。現在、誰を残して誰を解任するかの判断を下すために、改めて事情聴取を行っています。
 森林管理に一般市民を参加させることはとても重要です。なぜなら彼らは森林を政府の財産−一般人には無関係−とみなすよう仕向けられてきたからです。先にふれた森林監督官たちは、市民が見ている前で森林を破壊できました。市民が警鐘を鳴らすことはなく、その役目は私たちのような少数の組織に委ねられました。けれども、地域レベルの汚職撲滅運動は参加者が多いほど促進されるのです。
 汚職と戟っているもうひとつの分野は野生生物部門です。ここでの最大の問題は密猟ですが、野生生物との対立も抱えています。野生生物には植物が必要で、動物たちは食料を探して農場にやってくる、すると人間が苦情を訴える、といった具合です。この問題に関しては議会で、(野生生物によって家畜または財産を失ったり、負傷したりした人への)補償を義務付ける法律を制定しようとしているところです。ただし補償はしても、「動物に生息地を与えて対立を緩和するには、森林に在来の植生を回復させなければならない」という主張に変わりはありません。

WW:公職にあることは、ご自身のためにならないかもしれないとお考えですか。

WM:決してそんなことはありません。私にとってこれは次なるステップで、とても重要な一歩なのです。議会に出席しているとき、ここで本当に法律をつくっているのだと自分に言い聞かせることもあります。法律がつくられるということは、これからの世代に影響を与える機会が得られるということです。

WW:あなたが女性であることは、あなたの仕事にどのような影響を及ぼしてきましたか。

WM:私が授かったのと同じ才能をもつ男性がいたなら、たぶんはるかに多くのことを成し遂げられたと思います。機会がそれほど制限されないからです。でも、私なりに人生の多くのステップを踏んでこられたのは−うまくいったことも、いかなかったこともありましたが−幸運だったということも分かっています。ケニアではとくに多くの女性が私の生き方に共感してくれるのですが、それは彼女たち自身の人生と重ね合わさる、何かが感じ取れるからだと思います。

WW:あなたはご自身をケニアの、あるいは世界の女性の役割のモデルであると思われますか。

WM:多くの女性は、私が選挙に勝ったという事実に大変勇気づけられました。当選したのではなく、任命されたのであれば、状況は違っていたかもしれません。おそらく「ああ、どこかの男性があの女性にポストを与える決断を下したんだ」と思われたでしょう。私は普通の女性の代表で、家柄によって地位を得たのとはわけが違うのです。
 困難な時期もありましたが、幸い目に遭って、それを乗り越えることは女性にとって、とても重要だと思います。どん底まで落ちきってしまうとは限らないことがわかるからです。また立ち上がれるのです。この点に多くの女性が共感しています。そして、いま男性が理解を示しているのもこの点であるようです。なぜなら彼らは、私のような経歴が、好戦的な一女性の、あるいはどこかに押し込まれるのを拒否している一女性の経歴ではないと理解しているからです。

WW:いつか、大統領に立候補なさるおつもりは?

WM:それは・・・・・・現時点ではまったく考えていません。私が政府に影響を及ぼせることを確かめるのが今の関心事で、将来のことは本当にわかりません。活力にあふれた若い人材が男性も女性もたくさん出てきています。私のほうは、2期日の終わりまでに疲れ果てていそうです。

WW:前モイ政権の高官は「あんなやっかいな女が入ったなんて信じられない」と言っているのではありませんか。

WM:モイ政権にいた人たちは混乱しているでしょうね。私がおとなしく座って、他人を怒鳴りつけずにいられるなんて信じないでしょう。私も、現政権にいるのが彼らではなく私たちであることに驚いています。

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