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 トップ > ブックス > 地球白書10−11 特集持続可能な文化

地球白書

地球白書
発売中

[全国学校図書館協議会選定図書/日本図書館協会選定図書]


クリストファー・フレイヴィン編著

日本語版編集監修
エコ・フォーラム21世紀
日本語版編集協力
環境文化創造研究所

2993円(税込み)


Amazon.co.jpで購入

 地球白書2010-11の特集

地球白書2010-11の特集 | 地球白書とは? | 著者・監修者紹介 | 目次 | 購入する 


 「気候変動」は過剰な消費がもたらすさまざまな弊害の一つにすぎない。「大気汚染」、「年間平均700万ヘクタールに及ぶ森林の消失」、「土壌侵食」、「年間1億トン以上も生み出される有害廃棄物」、「より大量かつ安価な商品の生産に駆られた劣悪な労働慣行」、「肥満症」、「時間に追われるストレスの増大」など、そのリストは延々と続く。こうした項目は別個に対処される場合が多いが、根源をたどれば、その多くは現代の消費パターンに由来している。
誰もがアメリカ並みに暮すなら、地球が許容できるのはわずか14億人である。

 

●『本書に寄せて」

 グラミン銀行創設者  2006年ノーベル平和賞受賞者 

 ムハマド・ユヌス

ワールドウォッチ研究所が『地球白書』において、「文化の変革」という難しい問題への取組みを選んだことを歓迎する。

 文化に根ざした誤った考えを覆すのは、決して容易なことではない。当初、私は既存の銀行に対して、貧しい女性にお金を貸し出して欲しいと要請をしたが、強く拒絶された。「貧しい人々には、融資できない。社会的信用価値がない」と現地の銀行は断言し、おまけに「お金を失うだけだ」と付け加えた。

 しかし、最初の試みは、私たちに大きな望みを与えてくれた。お金を借りる人々は、約束どおりに返済してくれる、素晴らしい顧客であることがわかったのだ。それでも既存の銀行は、ただの「まぐれ」だと気にも留めなかった。いくつかの村で私たちが成功を収めても、銀行は「まぐれが続いたからといって、何なのでしょうか」とでもいいたげな態度を変えなかった。

私は、この誤った考えを覆し、新たな金融文化のタネをまかなければならないと実感したのである。現実は「貧しい人々は、社会的信用価値がない」のではなく、「既存の銀行は、人々にとって価値がない」のである。

 慎重に事業を進めて数年後、私たちの理想はグラミン銀行という形になった。今日では、年間10億ドルを800万人に貸し付けている。平均貸付金額は360ドルで、99%は約束どおり返済されている。

 大部分は女性である、貧しい人々を対象とした金融業界。これこそが文化変革である。文化的前提は、たとえ定着したものであっても覆すことができる。本書は、「大量消費の文化」から「持続可能性の文化」へと、考えられる限りの文化変革を訴えている。「当然」とみなされている「大量消費の文化」の基礎を見直すよう主張している。「大量消費の文化」は、自然を蝕み、人類の繁栄を危ういものにしているのである

 地球白書とは?

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 『地球白書』は、1984年から米国ワールドウォッチ研究所が年次刊行物として発刊しています。様々な言語に訳され、世界で多くの研究者・政治家・政策スタッフ・企業関係者・教育関係者・学生に読まれています。

 日本では1993年から翻訳されています。ワールドウォッチ研究所・著者等についてはこちらをご覧ください。

(左)「地球白書」創刊号

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店頭にない場合は、以下をメモして注文してください。
ISBN 978-4948754393  書名 地球白書2010-11

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その他のお店でもご購入いただけます。

検索の場合はISBN 978-4948754393  か書名 地球白書2010-11 をお使いください。
「在庫なし」と表示された場合はブックサービスをお勧めします。

英語版はAmazon.co,jp等でお買い求めください。
State of the World 2009: Into a Warming World

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 著者・監修者について

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「地球白書」記者会見
「地球白書」記者会見

※ワールドウォッチ研究所について

 1974年にレスター・ブラウン氏が米国ワシントンDCに設立。人口・エネルギー・食料・地球温暖化・気候変動・安全保障・水・生態系など様々な環境問題を対象とし、雑誌"World Watch(ワールド・ウォッチ)"、年次報告書の"State of the World (地球白書)"などが多くの国々で読まれています。環境問題がさほど注目されていなかった設立当初から、独立非営利の研究機関として様々な警鐘を鳴らしてきました。

※クリストファーフレイヴィン

  1955年、カリフォルニア州に生まれる。1977年にワールドウォッチ研究所へ。1990年に研究担当副所長に就任、2000年にレスター・ブラウンにつぐ第2代の所長に就任。 気候変動・エネルギー関連が専門。リオ・デ・ジャネイロ地球サミット・京都会議・ヨハネスブルク地球サミット等に参加。その他、多くの気候変動・エネルギー関連の研究プロジェクトを手掛ける。The New York Times、Technology Review、The Harvard International Review、Time Magazineにコラム等掲載。BBC、CNN、NPR、Voice of America、PBS等に出演。

※日本語版監修―エコ・フォーラム21世紀

環境監査研究会代表幹事 後藤敏彦
国連大学副学長 武内和彦
地球環境戦略研究機関 理事長 浜中裕徳
東京大学 名誉教授 林 良博
早稲田環境塾 塾長 原  剛
日本環境財団 理事長 福岡克也
京都大学大学院 地球環境学堂 教授 松下和夫
日本気候政策センター 理事長 森島昭夫
国連大学名誉副学長 安井 至
(五十音順)

事務局  織田創樹 清水久敬 四條舞美

※日本語版編集協力

環境文化創造研究所

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データ年鑑
環境問題をはじめる
レスター・ブラウン著作

地球環境データブック

こども地球白書 プランB フード・セキュリティー

 目次

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目 次

本書に寄せて
はじめに
環境界の一年間の主要動向

序 章 「大量消費の文化」を変革する
「消費」は、人間が生まれながらに持っている特質ではない
技術や政策よりも、文化の根本的変革が求められる
◆ 持続不可能な現在の消費パターン
毎日、地球からエンパイアステートビル112棟分の資源を採取
ミレニアム生態系評価で裏づけられた、劣化が進む地球環境
予測よりも急激な気候変動がもたらす、地球システムの大混乱
世界の7%の豊かな人間が、二酸化炭素排出量の半分を占める
世界がアメリカ並みに暮せば、持続可能な人口規模は14億人
インドでも、持続不可能な消費層が増加
世界人口の三分の一以上が、持続不可能な消費生活をしている
持続可能な社会の創造に不可避な「歓迎されない変化」
◆ さまざまな文化に浸透した消費主義
「人間の行動」は、生まれた場所の文化に大きく左右される
消費主義は、世界のさまざまな文化を変容させてきた
アメリカの二歳児は、マクドナルドの看板を識別できる
子どもたちの食生活は、食品産業のターゲットにされた
クリスマスは、商業主義の一大イベントと化した
世界に広がる、「消費によって幸福が得られる」という考え方
◆ 消費主義の制度としての起源
政治も教育も、あらゆる社会システムが消費主義を広めてきた
懸念される「広告に左右されやすい、子どもたちの食生活」
テレビや映画のさりげない「プロダクト・プレイスメント」
「口コミ」、「マーケティング・カフェ」さらに「人類学者」も
多様な販促戦略は総体として、消費意欲を刺激する
巧緻なメディア戦略が消費を刺激する
テレビの視聴時間が増えると、消費支出も増える
政府の介入による、公的な消費刺激策
民主主義政権に伝統的な「景気刺激策」
教育の本質を見失い、消費主義に無批判な学校
◆ 「持続可能性の文化」を育成する
パラダイムの転換で、持続可能性を実現する
キーワードは「生態系の保全」と「平等」
ウェルビーイングを著しく損なう消費を、タブー扱いにする
まず、クルマ中心主義から公共交通へ変革
耐久性を備えた完全循環型の製品設計
方向転換──文化の主要なシステムを根本的に見なおす
「歩いて通学」の実施が、子どもたちの環境意識を変える
「利益だけを求める」企業から、「社会へ貢献する」企業へ
政府主導の「選択の体系化」によって、持続可能な方向へ導く
新たなメディアとソーシャル・マーケティング
多様な社会活動組織の連携によって、大きな力が生まれる
文化的伝統の分野も、持続可能性を目指している
献身的な活動が「点」から「線」に、そして「面」になり文化は変わる

コラム 序─1 大量消費は人々のウェルビーイングを高めるだろうか
コラム 序─2 文化の先駆者たちの本質的な役割

第一章 伝統を再評価して「持続可能性」の構築に活かす
1─1 宗教界と共に世界観を形成する
宗教団体は、「持続可能性の文化」の創出に寄与している
先住民族は、自然界との相互関係をベースに暮している
◆ 宗教による環境活動
密接な関係になりつつある、宗教と持続可能性
東方正教会指導者による、「宗教・科学・環境」の設立
タイの「環境保全僧」による、自然破壊への反対運動
宗教活動のグリーン化を促す「異宗教間パワー・アンド・ライト」
世界各地の環境活動において、リーダーとなっている宗教
◆ 邪神の黙殺?
教義にはあっても、反消費主義にはやや消極的な宗教界
「消費主義に気をつけよう」――宗教に期待するメッセージ
◆ 持続可能性の文化の創出に寄与する
《環境についての教育を行うこと》
《消費についての教育を行うこと》
《投資についての教育を行うこと》
《礼拝式や儀式で、自然界の神聖さについて語ること》
《忘れられた真価を取り戻すこと》
◆ 原点に立ち返る
1─2 生態系の守護者としての儀式とタブー
儀式とタブーは、「持続可能性の文化」を築く強力な手段
◆ 儀式の力
「歌とは議論できない」――儀式が企業論理に勝つ
儀式とタブーを、自然環境や生態系の保全に用いる文化
先住民族は、タブーによって絶滅危惧種を保護している
◆ 消費主義の儀式
現代の先進国における結婚式と葬式は、大量消費の象徴
クリスマス商戦に代表される、儀式としての大量消費
◆ 持続可能な消費のための儀式とタブー
正月や忘年会を、環境問題を考える機会にする
アースデーは、全世界で10億人以上が参加する新しい儀式
多様な「断食」――「炭素断食」「ノーカーデー」「TVオフ週間」
飛行機は一生に一度――メッカ巡礼になぞられた運動の提案
1─3 環境的に持続可能な出産
政府が産児制限を推進する国は少数
「子どもの数は、両親が責任を持って決定する」
「環境のために」産児制限を広めることは、現実的に難しい
「計画的出産」になれば、30年以内に世界人口は減少に転じる
就学期間が長い女性ほど、出生率が低い傾向にある
メディアによる女性蔑視は、出生率上昇にもつながる
メディアはその発信内容によって、出生率を抑制する
少子化問題は、対処可能な社会的課題
出生率低下――ロブスター資源減少への文化的対応
リプロダクティブ・ライツと人口抑制が両立する文化
1─4 高齢者──持続可能な発展を促進する文化資源
グローバリゼーションがもたらす「高齢者軽視」の文化
◆ 高齢者の知恵を尊重する
「老人が蓄積した知恵は、図書館の蔵書にも等しい」
開発プログラムが持ち込む「青年重視」
マンデラが立ち上げた国際的「長老会」
◆ 世代間の交流関係を脅かすもの
欧米文化に魅了され、追い込まれる発展途上国の若者
自分たちの文化を見なおし、守ろうとする若者たちの存在
多国籍企業に後押しされたマスメディアの情報攻め
「開発プログラムは、私たち高齢者を除外視する」
地域の文化的価値や知識を伝えていない学校教育
◆ 高齢者を巻き込んだプログラムは、世代間交流学習を促進する
エイズ教育に、「おばあさん」が中心的な役割を果す
マラウイでは、家族医療改善のため高齢者に研修
オーストラリアでは、先住民の高齢者が先生役
祖母世代参加型の世代間交流によって生活改善
女性器切除根絶のための祖母世代研修会
子どもたちへの伝承を担う祖母世代の「語り」
外部の価値観を押し付けずに、地域の文化資源を活用する
1─5 アグリカルチャーからパーマカルチャーへ
農業の誕生と産業革命による転換
世界の主流となった持続不可能な工業的集約農業
◆ 持続可能な農業を定義する
有機質か無機質か――農業の根本をめぐる論争
石油依存の集約農業は、年間750億トンの表土を失っている
資源を劣化させない持続可能な農業の復権
◆ 有機農業
有機農業はエネルギー使用量が少なく、しかも炭素を貯留する
◆ 永続的なポリカルチャー
多年生作物栽培がもたらす数々のメリット
◆ アグロフォレストリー(森林農業)
アグロフォレストリーによって、年間60億トンの二酸化炭素を隔離
◆ 不耕起栽培と最小耕耘法
不耕起栽培によって、土壌有機物質の流亡を防ぐ
◆ パーマカルチャー
生態系の相乗効果によって、労働力やエネルギーの投入を減らす
不毛の土地を、豊かな農場に変えたパーマカルチャー
◆ 移行期の農業

コラム 1─1 地球環境倫理
コラム 1─2 西暦一万年を想定する超長期的思考
コラム 1─3 人類と地球を救う食生活規範
     
第二章 教育に期待される「持続可能性」への貢献
2─1 「持続可能性の文化」への変革をもたらす幼児教育
幼児教育の普及率は、国ごとに大きく異なっている
◆ 幼児教育が変化を引き起こす
持続可能性教育と幼児教育の伝統は、多くの点で重なっている
「読む」、「書く」、「計算する」に変わる「七つのR」
子どもたちの将来にとって有意義な特質を育む
子どもの知的素質に取り組むプロジェクト学習
幼稚園の教育は、大学よりも本質的な問いに満ちている
祖父母は、古くからの「知恵」を継承している
◆ 幼児と持続可能性についてのケーススタディ
日本では、カイコを通して生態系を学ぶ
スウェーデンでは、自然と環境への配慮を学ぶ
◆ 幼児教育の今日の課題
幼児教育機関は、「小学校への準備機関」ではない
2─2 子どもの生活に入り込んでいる商業主義
子どもたちの「ごっこ遊び」を守り、奨励する
◆ なぜ遊ぶことが重要なのか
創造的な遊びから、民主的素養が培われていく
歴史上初めて、子どもの「遊びの質と量」が激変している
創造的な遊びは、消費拡大のメッセージをはね返す
「ごっこ遊び」を奪われた世代は、創造性や革新性に劣る
◆ 商業主義の高まり
世界の子どもたちをターゲットにした、アメリカの娯楽産業
スクリーン・メディアに操作される社会規範と子どもたち
物質主義的価値観に浸った子どもは、環境活動に無関心になる
◆ 遊びに及ぼす商業主義の影響
創造的な遊びの時間を奪われている、テレビ漬けの子どもたち
想像力を養う玩具は、繰り返し使える
電子玩具は、「飽きて、買い換」が仕組まれている
◆ 商業化した世界における「遊び」の育成
「遊びの保護」は、NPOや専門家団体に依存している状態
マーケティングの規制とテレビ視聴の制限──商業主義から子どもたちを守る
全ての子どもたちを野外に出そう
世界は、子どもたちを遊ばせよう
2─3 学校給食を考えなおす──公共の食事が持つ力
持続可能な学校給食の実施は、意外にハードルが高い
◆ 次世代の「賢明なる消費者市民」を創出する
「食材の由来」に関心を寄せる「賢明なる消費者市民」
◆ 学校給食の変革を通じた、「持続可能な食のつながり」の構築
国産食材の学校給食は、地域の生産者に市場を創出する
◆ 公共調達を通じた影響力の活用
イタリアでは、「旬産、地産」を学校給食の基本食材に
アメリカでは、農務省見解が「旬産、地産の食材」を阻む
◆ 学校給食の変革のパイオニア
スコットランドは、2002年に学校給食の変革に着手
スコットランド、東エアー州の挑戦と成果
良質な学校給食を権利として、政府が後押しをするイタリア
ローマでは、子どもたちが一日で約150トンの食材を消費
◆「学校給食の食材」から「地域コミュニティの食料」へ
学校給食の変革は、持続可能な発展に不可欠
2─4 高等教育に現在求められているもの
現代の高等教育の土台となる考え方は、すでに過去のもの
環境劣化の阻止に矮小化されている、持続可能性の議論
「環境の世紀」に、教育は何を目指すべきであろうか
◆ 環境教育の進展
トビリシ宣言
「持続可能性」という言葉の本質的な曖昧さ
アメリカの環境教育カリキュラムは幅広い
◆ カリキュラムと教育
タロワール宣言
環境教育は進歩したが、伝統的カリキュラムは強い
◆ キャンパスの設計と運営
キャンパスで本格化する環境的な取組み
環境配慮型建築物は学術建築物の標準となった
カーボン・ニュートラルに取り組む大学の動き
◆ 将来的な取組み
大学の域を超えた活動が、教育の多国間対話を生み出す
キャンパス内に留まらず、地域社会に貢献する環境運動
国を挙げて、環境教育の開発と普及を進めるブータン
環境教育は、「困難に立ち向かう力」を次世代に培う

コラム 2─1 「持続可能性」と「人間と自然の関係」
コラム 2─2 おもちゃライブラリー
コラム 2─3 カリフォルニア科学アカデミーの変革
コラム 2─4 環境教育における未解決問題
コラム 2─5 専門職教育機関の価値を最大限に生かす
コラム 2─6 科学者の新たな焦点──文化はどのように変わるのか

第三章 「持続可能性」を目指す社会経済の優先順位
3─1 「過密の地球号」の生命を守る制度を導入する
「余裕の地球号」の時代から「過密の地球号」の時代へ
現代社会の諸問題に追いついていけない世界観、制度、技術
◆ 「過密さを増す地球号」において増大するストレス
「有限の地球」で、「無限の経済発展」を支えることは物理的に不可能
経済発展だけでは、ウェルビーイングの向上につながらない
市場経済は公共財を犠牲にしている
競争ではなく、協力によって持続可能な社会を実現する
◆ 持続可能で望ましい社会経済体制を目指して
《ウェルビーイングの測り方の再定義》
《社会経済体制の移行期間中、人々のウェルビーイングを保証すること》
《複雑さの解消とレジリアンスの強化》
《共有部門の拡充》
《コミュニケーションの障害を除き、民主主義を発展させるためのインターネット活用》
◆ 結論
3─2 全ての人々のための持続可能な勤務形態
人間らしい、ゆとりのある暮しが環境への負荷を減らす
◆ 生産性と時間とエコロジカル・フットプリントの関係
労働生産性の向上によって、もたらされる便益の選択
便益の大半を、生産量の増加に回してしまったアメリカ
便益から自由時間を生み出したヨーロッパ
労働時間が増加すると環境負荷が増大する
ライフスタイルを変えるだけで、エネルギー使用量の20%削減も可能
働き過ぎは健康を害し、所得が増加しても得られる満足度は低い
◆ 企業からの視点
「時短」は作業効率を上げ、労働意欲を高める
◆ 「時間的な豊かさ」への道
変化するアメリカ人のライフスタイル──ダウンシフティング
リーマンショックで進んだ、アメリカのワークシェアリング
ユタ州の職員は、一日10時間労働で週休三日
もはや、多忙や長時間労働はステータスシンボルではない
3─3 企業文化を内側から変革する
企業は持続可能性を基礎にした、根本的変革を迫られている
表面から深層へ──動き出した企業変革の流れ
◆ 全面的変革の必要性
社内への浸透が企業マインドを変え、戦略的発展の礎となる
◆ 「文化の変革」へのフレームワーク
企業が経験する変革の五段階──「覚醒・準備・変化・台頭・没頭」
アイデンティティの変化が、パラダイムの転換を生む
◆ 変革の段階
《覚醒──ビジョンの決定》
変革の契機──「顧客の声、課題への直面、抗議活動、外部圧力」など
深い考察と新しいことに取り組む好奇心が、ビジョン策定のカギ
企業のトップ自らがビジョンを明確にし、公表することが必要
《準備──ロードマップの作成》
社員一人ひとりの意識の高まりが、改革への支持を高める
外部の力を借りて、取組みの準備を早める
環境団体やサプライヤーと協働して、取組みを進めるウォルマート
《変化──組織をまとめる》
失敗を容認する姿勢が、従業員の士気を高める
関係者の全てを巻き込んで、改革を進めていく姿勢を明確にする
「理解」を超えた「確信」が、停滞を払拭する
《台頭──継続的な統合》
《没頭──他者へ影響を与える》
◆ 結論
3─4 社会起業家──持続可能な社会に向けた変革
ヨーロッパでは、差別撤廃運動をベースにした社会起業が主要な形態
◆ 21世紀の潮流になる社会起業
社会起業の目標は既存の制度に挑み、崩壊させることである
イタリアでは、社会協同組合が20万人の雇用を創出
急速に認知度と影響力が高まる社会起業
社会起業は21世紀の大きな潮流となる
◆ 常識に挑戦する
挑戦の矛先は、従来の考えや伝統的価値観
開拓者としての社会起業家の存在
変革を主導し、人々の行動様式を変える
「何を」、「なぜ」、「どのように」購入するのかを、消費者に問う
先進国から発展途上国と旧社会主義国へ広がる「消費行動の見なおし」
◆ 地域の努力が世界を変える
互いに有益となる、先進国と発展途上国の情報交流
粘り強さこそ、社会起業家の真骨頂
今こそ、文化的変革の絶好の機会
3─5 産業を地域に取り戻す
ベリンガムに見る、地場産業優先という新しい都市のデザイン
地場企業の定義──地域所有と地域の労働力と土地と資本の使用
今も昔も、地場企業は経済に大きな役割を果している
◆ 地域化と持続可能性
地元所有でない企業は、「他へ移るぞ」というプレッシャーをかける
地場企業の地域に対する責任感は、地域外企業よりもはるかに強い
地場企業は輸送距離が短いため、エネルギー使用量が少ない
地域化は、持続可能性と貧困緩和に役立つ
◆ 地域化と繁栄
地域外企業による雇用は、地場企業より33倍も雇用コストがかかる
地場企業の経済的乗数効果は極めて大きい
地場企業の存在は創造的経済の宝庫
◆ 地域化と効率性
地域化は、グローバル化で肥大する流通コストへのアンチテーゼ
インターネットの利用で、地場企業も競争力が強化される
小規模企業も競争力を保持している
◆ 市場の将来性を満たす
地場企業の利用を促進するクーポンや地域内通貨
地場企業のネットワーク化で競争力を強化する
地場企業へ資金が回る仕組みを構築する
地域化がもたらす、新たな経済の仕組みと「持続可能性の文化」

コラム 3─1 「限りある地球号」において「無限の成長」を望むことの愚かさ
コラム 3─2 会社定款の修正
コラム 3─3 金融市場のための炭素指数

第四章 「持続可能性」の構築における政府の役割
4─1 「選択の体系化」によって、持続不可能な行動を排除する
排除は善か? 「選択の自由」という哲学的問題
◆ 「選択の体系化」は決して、今に始まったことではない
代替案を示し、選択の余地を残すことが重要
政府による「選択の体系化」は、昔から行われてきた
大量消費を「幸福、平等、民主主義の基盤」とする、誤った国家戦略
持続可能な消費へ転換するには、政府や産業界の決意が必要
モントリオール議定書とデュポン社
環境に良い製品だけならば、消費者は店頭で悩まない
エコラベルの効果は限定される
◆ 持続可能性のための「選択の体系化」
カリフォルニアの電力の再生可能エネルギー化は、州の政策によって進展した
ロンドンの渋滞税にみる「選択の体系化」の有効性
産業界の取組み──ホームセンターでの森林認証木材の販売
ウォルマートは、環境への配慮がない魚を売り場から一掃した
徹底したラベル戦略を行う、ハナフォード・スーパーマーケット
◆ 変革への障害
日本の「トップ・ランナー方式」は、世界に冠たるラベリング制度
消費量を減らす方策──労働時間を減らして、自由時間を増やす
贅沢品に課税し、消費に回らない貯蓄を減税する
初期設定の活用──割高だが環境に良いサービスを通常料金に
政府と産業界は、持続可能な消費を先導しなくてはならない
4─2 セキュリティ(安全保障)概念の拡大
冷戦から環境問題へ──セキュリティ概念の拡大の必要性
◆ 主な重要課題
《再生不能資源》
《再生可能資源》
《疾病の負担》
《災 害》
《失 業》
《人口動態》
◆ 新たな優先順位の必要性
国家安全保障を軍事面で捉える考え方から、脱却すべき
軍事費に比べ、極めて少ないヒューマン・セキュリティ予算
◆ 解決の方法
新たな国際組織による、セキュリティ文化の創造
《ミレニアム開発目標(MDGs)》
《エネルギーをはじめとする資源への需要抑制》
ブラッド・ダイヤモンドを排除するキャンペーン
《環境和平》
国境を跨いだ協力──国際河川の流域管理と平和公園の設置
《平和維持と環境修復》
《災害時の外交》
和平と対立──二つに分かれたインド洋大津波後の対応
《保健医療外交》
《環境雇用》
闘争的文化から、自然とも友好関係を築く知的文化へ
4─3 未来に向けた都市を創る
都市は、地球環境に貢献できる存在になれるか
◆ 都市住民が持続可能に暮すことを支援する
「エコな住環境」には「エコな意思」が必要
持続可能な都市への変革に必要な政策
◆ 都市の「マイカーからの解放」
脱クルマ都市に向けたインフラ整備──「LRT」「BRT」
交通体系によって、都市の設計は決まる
政府の支援による、技術体系の試験的導入
アメリカでは、ガソリン税を上げられない
燃費が向上すると、走行距離が長くなるという矛盾
クルマを減らす具体策──「トラベル・スマート」
「トラベル・スマート」の参加者が、唱道者になる
「トラベル・スマート」は文化的変革と共に歩む
◆ 環境配慮型ライフスタイル
「トラベル・スマート」から「リビング・スマート」へ
都市が環境に貢献する「感覚」を、市民に理解してもらう
4─4 健康管理を変革する──取組みの重点を治療から予防へ
感染症から生活習慣病へ
◆ 健康管理の新たな難題
手術や薬では根治しない、ライフスタイルに起因する病気
◆ 世界の健康管理を精査する
治療よりも、予防を重視する医学への転換
◆ 病気よりも健康を重視する
注目すべき、フランスとキューバの健康管理システム
保健教育の充実が世界的急務
◆ 環境を考慮した健康管理
病院は大きな汚染発生源である
環境に配慮した病院は、患者にも良好な効果をもたらす
4─5 地球法学──地球コミュニティの構成員に法的権利を認める
エクアドルは、憲法で「自然の権利」を認めた
◆ 植民地法から地球法学へ
根源的錯覚──「人間は、いかなる生物種よりも優れている」
現在の法制度は、人間以外の生物の権利を認めていない
「人間の権利」と「生物の権利」とのバランス
◆ 地球法学の進化
地球コミュニティの構成員に法的権利を認める
「自然の法」が求める「バランスの権利」
「人間の法理」と「自然の基本的原理」の融合
◆ 地域コミュニティを助けることでルールが変わる
合法的な自然破壊を明らかにする
地域コミュニティによる地方条例の起草を支援する
自然コミュニティの基本的権利を守る自治憲章
◆ 「自然の法の弁護士」と「市民社会への奉仕者」を育てる
アフリカの慣習法や文化的慣行が自然を守る
◆ 将来的展望
「伝統的価値観」と「抵抗の文化」を結び付ける
地球上のコミュニティ全体を守る

コラム4─1 持続可能な消費と生産に関する国連マラケシュ・プロセス
コラム4─2 社会保障プログラムを持続可能なものに
コラム4─3 地球法学の原則

第五章 「持続可能性」の構築におけるメディアの役割
5─1 ソーシャル・マーケティング──商品ではなく、持続可能性を売り込む
「倹約は美徳」を「消費は美徳」に変えた、アメリカ広告業界
社会的行動を変えるために、マーケティング原理を利用する
「事実」を伝えるだけではなく、人の「心」を動かす
◆ ストーリーが行動を変える
社会の価値観を操作してしまう、キャンペーンの力
人々は、神話の英雄と自分とを重ねる
成果を上げるエンターテインメント・エデュケーション
◆ 遅れる気候変動のストーリーづくり
気候変動の「事実」だけでは、人は動かない
ストーリーを重視したキャンペーンを活用する
◆ ソーシャル・メディアを活用せよ
人々の生活に深く関わっているソーシャル・メディア
ツイッターで発信されるストーリー
インターネットでも、「人種」という集合体は存在する
ソーシャル・メディアはソーシャル・マーケティングに有効
◆ 今こそ行動すべき時
5─2 メディア・リテラシーとシチズンシップと持続可能性
CM映像に込められた「暗黙のメッセージ」
ますます広告に支配されるメディア
巧みな広告は、環境危機から人の目を遠ざける
真実をクローズアップしない、メディアのバランス感覚
◆ メディア・リテラシーは、どこまで批判的であるべきか
「賢い消費者の育成」か、「参加型市民教育」か
◆ メディア・リテラシーと国際組織
メディア・リテラシー教育の機運は熟している
◆ メディア・リテラシー教育とグローバル・シチズンシップ
「参加し」、「参加される」シチズンシップ育成
企業資金に依存するメディア・リテラシー推進活動
◆ メディア・リテラシーは、現代の識字力だ
自らメディアを利用して、創造的解決案を発信する
メディアを駆使して、知識と創造性を世界の人々と共有する
5─3 音楽──教育やエンターテインメントを社会変革の起爆剤に
音楽によって社会参加を促し、行動の変化を導く
音楽の世界にも、ソーシャル・ネットワークによって新しい動き
◆ 教育としての音楽
日本の環境教育番組『エコガインダー』
音楽を活かした環境教育は、幅広い層に受け入れられる
◆ 音楽フェスティバル──行動主義とエンターテインメント
世界を変える、アーティストたちとフェスティバル
巨大音楽イベントでは、排出量削減に取り組んでいる
コンサート会場からゴミを減らし、環境への負荷を減らす
歌詞を通じて、環境への認識を高めるメッセージを送る
メッセージの発信に留まらない、アーティストたち
◆ 結論──教育とエンターテインメントを通じて、社会変革に参加する
大学も含め、社会のさまざまな分野で提携を進める
コラム5─1 発展が期待されるインドの環境ジャーナリズム
コラム5─2 環境意識を高める映画の力
コラム5─3 地球を救う芸術

第六章 市民運動の力で「持続可能性の文化」を確立する
6─1 持続可能性の実現のために、労働時間を短縮する
時短による所得減少が、心身の健康増進に貢献
◆ 消費を抑制する必要がある
燃費向上などの技術革新も、環境の悪化を止められない
環境のために経済を抑制した際の犠牲は、先進国が負う
◆ 現状を打開する方法
「大量消費」――労働時間短縮を回避する不可避的選択
◆ 労働時間短縮のもたらす恩恵
時間的余裕が、ライフスタイルを環境に優しくする
欧州レベルまで時短をすれば、環境負荷を削減できる
◆ 環境に接する時間が、あまりにも少ない
アメリカでは、労働者の半数が年休一週間以下
◆ 消費を拡大するのではなく、自由時間を増やす
オランダでは、夫婦で各0.75人分の就労を奨励
アメリカの労働時間に関する法整備は、世界でも最低水準
時間的貧困の状態を解消しようとするアメリカの動き
追加経済刺激策として、時短を進める企業には減税をする
◆ 労働時間短縮こそ、人々に幸福をもたらす
6─2 「より少ないことは、より豊かなこと」を合言葉に
消費主義に真っ向から挑戦する「質素を目指そう」運動
◆ 段階を追って「質素」を実践
「質素な暮しが、人生の充実度を増す」という哲学的思考
公共政策によって、消費主義を助長する不平等を解消する
◆ 消費主義を見なおし、変革を促す
コミュニティ教育で、消費拡大の広告におどらない信念を培う
協力と協調の精神を引き出す、トランジション・タウン運動
ヨーロッパに広がる、「スロー」をキーワードにした運動
アメリカでは、スローライフ推進派が時短にも取り組む
質素に生きるために必要なのは、コミュニティの創生
人は、コミュニティ活動のなかで「一匹狼」的文化を転換する
ストーリーを語ることによって、人々の消費活動を変える
消費主義に対抗する、独創的な発想による多様な活動
◆ ポスト消費文化を創造する
6─3 価値観の転換を目指すエコビレッジ
持続可能性を目指す「エコビレッジ」の定義
グローバリゼーションに対抗する、エコビレッジの多様な活動
エコビレッジの役割――価値観や意識の変革に貢献する
◆ 経済成長とウェルビーイングを切り離す
エコビレッッジの環境負荷は極めて低い
インテンショナル・コミュニティは、生活の質が高い
エコビレッジの高い満足度は、強い絆と協力の精神から
◆ 「人々」と「生活する場所」とを、再び結び付ける
自給自足レベルを引き上げ、「生活する場所」に感謝する
エコビレッジが行う地球修復の取組みと伝統文化の伝承
◆ 地域に固有の価値観や慣習を再確認する
発展途上国のエコビレッジは、「文化的な自信」を構築する
◆ 全体論的で体験型の教育理念を示す
生活に根ざした学習経験を積むエコビレッジの教育システム
エコビレッジを拠点に、多くの教育イニシアティブが誕生
大学とも連携して、教育面での進展を図る

コラム6─1 高まる脱成長運動
コラム6─2 スローフード運動

原 注

索 引

   

 

 

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