中国で環境関連への投資は2010年まで平均年率16%で成長し、同年にはGDPの1.6%、1兆9000億元(2420億ドル)に達するという。中国証券報がエコノミストの話として報じた。
ドイツ銀行でグレーターチャイナ(香港と台湾を含む中華圏)のチーフ・エコノミストであるジュン・マ(Jun Ma)は、環境保護への中国の投資は、国内総生産(GDP)より早く成長すると、予測している。
中国証券報がジュン・マ(Jun Ma)の話として報じたところによると、“環境にやさしい”投資額は、2010年まで平均年率16%で成長し、同年にはGDPの1.6%、1兆9000億元(2420億ドル)に達する。一方、ドイツ銀行は、GDPは2006年に10.6%、2007年は9.5%成長すると予測している。
昨年12月に起きた中国北東部の松花江での深刻な汚染と、それ以降の同様の事故により、政治家、市民、非政府団体は、環境問題の悪化に広く注目するようになった。それに対応して、政府は環境保護に多額の資金を投資し始めた。
国家環境保護総局(SEPA)と国家統計局(NBS)が9月に発表した最新の“中国緑色国民経済概算研究報告2004”(緑色GDP)によると、2004年の環境汚染による経済損失額は、GDPの3.05%にあたる5118億元(650億ドル)に達し、汚染物質の処理費用は、GDPの1.8%にあたる2874億元(365億ドル)であった。SEPAの副局長である潘岳(Pan Yue)によると、処理費用を汚染源および非汚染源でのすべての汚染物質除去に必要な単発の投資に変えると、合計で1兆元(1270億ドル)必要となるところである。しかし中国政府は2004年に1900億元(241億ドル)しか投資しておらず、必要とされる額の20%に満たない、と潘岳(Pan Yue)は指摘する。
“緑色GDP”算出メンバーの1人である、北京大学教授のミン・レイ(Ming Lei)も、2004年の緑色GDPは、政府の環境保護への実支出には深刻な隔たりがあることを示していると考える。人民日報でミン・レイ(Ming Lei)は、この隔たりは、環境と人類のいずれの健康に対しても取り返しのつかない影響を与えかねず、GDPの成長を相殺すらし得ると指摘する。
ジュン・マ(Jun Ma)によると、今後5年間、年間成長率20〜35%で増加する政府の環境投資計画では、排水処理、大気環境改善、天然ガス、再生可能エネルギーの4産業が、主に利益を受けるだろう。排水処理への投資額は、過去3年間で約23%成長しているが、今後5年間でさらに25〜30%の成長が見込まれている。大気環境改善の分野では、政府は二酸化硫黄と酸性雨規制地域にあるすべての施設に硫黄回収装置の設置を義務付けており、この分野の投資額の成長率は、2010年まで毎年20〜25%と予測される。
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