8月2日、中国の太陽電池製造大手のサンテック・パワーは、同業の日本企業であるMSKを買収すると発表した。サンテックにとっては初めての外国企業の買収であるが、これにより同社は、世界でも有数の太陽電池市場である日本での事業拡大が可能になる。
買収は2段階で行われる。サンテックは、まず、9月末までにMSKの株式の3分の2を取得し、その後、購入時のMSKの業績に応じて約5300万ドル〜1億9300万ドルを投じ、2007年末までに残りの株式を取得する。上海紙「東方早報」によると、今回の買収にかかる費用は、1億6000万ドル〜3億ドルとみられる。
MSKは、アジアの太陽電池モジュール製造大手で、同業界において20年以上の経験を有する。2005年には約200メガワットの生産能力を誇り、日本の太陽電池市場で約10%のシェアを擁している。また、ビルドイン型太陽電池システム(BIPV)−建物の屋根や壁面に太陽電池パネルを組み込んだ太陽光発電システム−の製造大手でもあり、強力な研究チームを抱えている。
今回の買収によりサンテックは、急成長しているBIPV市場に参入し、MSKの専門技術と世界販売網を活用して、経営と販売を強化することができるだろう。一方MSKは、サンテックの子会社として、コストの削減はもちろん、太陽電池パネルの製造と販売経路におけるサンテックの強みを享受できるだろう。
主にヨーロッパやアメリカ政府の刺激策により、世界の太陽光発電システムの需要は、ここ10年間毎年40%強増加している。サンテックは、ヨーロッパ市場でシェアを急速に拡大しているが、太陽電池パネルの設置と製造が急成長している国の一つである日本の市場にはまだ参入できていない。
買収発表の1週間前、サンテックは、太陽電池向けウエハーの大手米メーカーであるMEMCエレクトロニック・マテリアルズと、今後10年間にわたって太陽電池向けシリコンウエハーの供給を確保する契約書に署名した。テイク・オア・ペイ方式の予定価格で、出荷は2007年の第一四半期に始まり、この契約でサンテックは50億〜60億ドルを費やすとみられる。
MSKの買収による新たな市場拡大とウエハーの安定供給とで、世界の太陽光発電市場において主導的役割を担おうとするサンテックの努力は大きな成果をもたらすだろう。
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