トップ > レポート一覧 > Eco-Economy-Update 2006-6 ビル・クリントン絶賛、レスター・ブラウン最新刊「PLAN B 3.0」人類文明を救うために発売開始 Eco-Economy-Update 2006-6 【資源】スーパーマーケットとガソリンスタンド
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今年、世界の穀物消費量の増加分の大半は、人ではなく、車が占めることになりそうだ。米国農務省によると、2006年の世界の穀物消費量は2000万トン増加する見込みで、うち1400万トンが米国の自動車燃料の生産に使われる。残りのわずか600万トンが、増加する世界の食物需要にあてられる。 農業分野では、自動車燃料への世界の需要が旺盛だ。なにしろ、スポーツ用多目的車(SUV)の25ガロン(100リットル)のガソリンタンクをエタノールで満タンにするためには、人ひとりが1年間食べる量の穀物が必要なのだ。このタンクを2週間ごとに満タンにすると、1年間で26人分の穀物を消費することになる。 投資家たちは、高利益を生み、勢いづくバイオ燃料ビジネスに次々と参入していて、毎日、世界のどこかで、新しいエタノール工場やバイオディーゼル工場のニュースが伝えられている。米国のエタノール工場で消費されるトウモロコシは、2001年の1800万トンから、2006年は推定5500万トンと、過去5年間で3倍の伸びを示している。 米国のコーンベルトのいくつかの州では、エタノール工場が生産されるトウモロコシ巨大な需要家になりつつある。アイオワ州では、操業中、あるいは計画中のエタノール工場の数が55と、とんでもないほど多い。アイオワ州立大学のエコノミスト、ボブ・ウイズナーによれば、これらすべての工場が稼働すれば、アイオワ州で収穫されるほとんどすべてのトウモロコシが使われることになる。トウモロコシの生産トップで米州の10に入るサウスダコタ州では、すでに収穫されるトウモロコシの半分以上がエタノールの生産に使われている。 工場の建設ラッシュで、畜産業者は、食肉や牛乳、卵の生産に必要なトウモロコシが不足するのでは、と心配している。また、米国は世界のトウモロコシ輸出量の7割を占めているため、トウモロコシ輸入国は、供給不足の事態を懸念している。 小麦や、トウモロコシ、コメ、大豆、サトウキビなど、私たちが食べている食糧のほとんどは自動車燃料の原料として使えるため、食品業界とエネルギー業界の境界が消えつつある。従来、こうした農産物を買うのは、スーパーマーケット用の商品を生産する、食品加工業者と畜産業者に限られていたが、今や新たな買い手グループが現れている。ガソリンスタンドで売るエタノールとバイオディーゼルのために穀物を買い付けるバイヤーだ。 原油価格が上昇している時に、農産物をエタノールかバイオディーゼルに切り替えれば、収益性はいっそう高まる。実際には、原油価格が農産物の支持価格となり、農産物価格が原油価格を下回る時には、市場は必ず自動車燃料へシフトするだろう。 現在、穀物由来の燃料を生産している主な国は、米国、ブラジル、西ヨーロッパだ。2005年のエタノール生産量は、米国とブラジルともに40億ガロン(160億リットル)を上回った。エタノールの原料として、ブラジルではサトウキビを、米国では穀物、主にトウモロコシを使っている。今年、米国がエタノール生産に使用するトウモロコシは、推定5500万トンで、これは国内の穀物生産量のほぼ1/6に当たるが、自動車燃料に占める割合ではわずか3%にすぎない。 →《続きはこちら》[資源]スーパーマーケットとガソリンスタンドが穀物を奪い合う(2) |
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