トップ > レポート一覧 > Eco-Economy-Update 2006-6 ビル・クリントン絶賛、レスター・ブラウン最新刊「PLAN B 3.0」人類文明を救うために発売開始 Eco-Economy-Update 2006-6 【資源】スーパーマーケットとガソリンスタンド
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《前半はこちら》[資源]スーパーマーケットとガソリンスタンドが穀物を奪い合う(1) 世界最大の砂糖の生産・輸出国であるブラジルは、現在、国内のサトウキビ生産量の半分をエタノール生産に使っている。世界のサトウキビ生産量の10%が、エタノールに回されただけで、砂糖価格は2倍に跳ね上がった。安い砂糖は過去のものになってしまったのかもしれない。 ヨーロッパが力を入れているのはバイオディーゼルだ。昨年の欧州連合(EU)のバイオ燃料生産量は、16億ガロン。うち8億5800万ガロンが、植物油由来のバイオディーゼル(主にドイツとフランスで生産)で、7億1800万ガロンが、主に穀物を蒸留して作られたエタノール(フランス、スペイン、ドイツで生産)だ。マーガリン生産者たちは、補助金を受けているバイオディーゼル生産業者に太刀打ちできないとして、欧州議会に援助を求めている。 アジアでは、中国とインドがそれぞれエタノール工場の建設に取り組んでいる。2005年、中国は約200万トンの穀物をエタノール生産に回している。主にはトウモロコシだが、小麦とコメも使っている。インドで生産されるエタノールの主な原料はサトウキビだ。タイはキャッサバからのエタノール生産に力を入れ、一方、マレーシアとインドネシアは、新たなパーム油プランテーションとバイオディーゼル工場に集中的に投資している。マレーシア政府は、ほぼ昨年中だけで、32のバイオディーゼル工場を承認したが、最近、新たな事業認可は凍結して、パーム油の供給量が十分に確保できるかを調査している。 穀物由来の燃料の生産は高利益をもたらすため、投資は増加の一途をたどっている。米国では、エタノールへの補助金(1ガロン当たり51セント)が2010まで支給され、一方で原油価格が1バレル70ドルの水準であることから、この先何年間かは、トウモロコシ由来のバイオ燃料が巨額の利益を生むことは確実だ。 2005年5月、米国で100番目のエタノール工場が完成した。100のうち7つの工場は現在拡張中で、そのほか新たに建設中のものが約34、計画中のものが数十ある。穀物由来のバイオ燃料への需要が急増する日はすぐそこまで来ている。一方で、世界の穀物在庫量はここ34年間で最低の水準であり、また、毎年新たに増える7600万人のための食糧が必要な状況がある。 米国では、原油価格の高騰に反応して、バイオ燃料生産への投資がコントロール不能な状態になっており、牛・豚・鶏肉、牛乳や卵の生産に必要な穀物を持っていかれてしまう恐れがある。何よりも深刻なのは、操業中、建設中、あるいは計画中の膨大な数の工場によって、人々が直接食べる穀物さえも手に入らなくなる可能性があることだ。端的に言えば、世界の豊かな800万の自動車所有者と、食糧消費者が食糧をめぐって衝突する状況に突入しつつあるのだ。自動車燃料への旺盛な需要を考えれば、穀物価格の上昇は避けられない。問題は、いつ、どのくらい価格が上がるのか、ということだ。実際、ここ数ヶ月間で、小麦とトウモロコシの価格は1/5ほど上昇している。 穀物由来の燃料の代替案はいくつかある。例えば、エタノール生産によって増える自動車燃料の3%分は、自動車の燃料効率基準を20%高めることだけで埋め合わせできる。しかも3%の数倍の量を何分の1かのコストで達成できるのだ。また、公共交通機関へ投資すれば、全般的なクルマ依存の緩和につながるだろう。 代替案はまだある。人にとって、食べ物の代わりになるものはないが、車の燃料資源なら代わりはある。ガソリンと電気を併用した低燃費のハイブリッドカー、しかもコンセントから充電ができる機能をつけた車へ移行する方法だ。これにより、日常の通勤など、短距離運転なら電気だけ走ることができる。もし、米国や中国、欧州諸国などの風力資源が豊富な国で、風力発電施設に重点的に投資して安価な電力を送電網に送れるようにすれば、車は主に風力エネルギーだけで走ることができる。しかも、燃料代はガソリンに例えると、1ガロン当たり1ドル以下で済む。 |
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