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Eco-Economy-Update 2007-9

【コラム】クリスマスの夜に
−枕元には『希望』のプレゼントを−

 

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国家レベルではどうであろうか。国家の借金は納税者1人当たりで6万4千ドル、累積総額8兆5千億ドルに及び、ブッシュ政権の任期末の2008年度中に9兆4千億ドルまで膨らむものとみられている。

赤字体質のアメリカの財務省証券を買い支えてくれているのが日本、そして他ならぬ中国である。国民所得でみれば中国はアメリカの6分の1の水準である。イラクの戦費も借金を膨らませた一因であるが、間もなくベビーブームの世代が一斉にリタイアを始めるので社会福祉の支出も増えていく。もちろん、既発の債券への利払も増えていく。これを背負う破目になる次世代の納税者たちは、その原因をタレ流した今日の世代を許さないであろう。

2000年度に4520億ドルであったアメリカの貿易赤字は2006年度に8500億ドルまで激増した。その要因の半分以上は対中国の貿易赤字と石油価格の暴騰にある。しかし、国策の誤りも大きな要因である。たとえばソーラー発電はそもそもは1954年に、アメリカのベル研究所で生まれたものであり、本来ならその競争力もトップランナーであったであろう。しかし、政府はこの産業分野を安定的に支援しなかった。

結果、輸出競争力は、国家が確たる育成支援をしたドイツと日本に追い越されてしまった。風力発電も然りで、産業として緒についたのは1980年代のカリフォルニアであった。アメリカ政府はここでも育成支援を怠ったので、競争力では欧州勢にはるかに先を越されてしまった。

原油高騰は貿易赤字の要因であるが、アメリカ人は相も変わらずジャブジャブと使いアメリカの経済体質を弱め、中東依存度を一層強めている。他国に膨大な財務省証券を保有してもらって、かろうじて破綻を回避しているアメリカは、世界の金融市場において極めて脆弱な立場にある。中国の権力者がドルを見限った、その時にドルは破綻することになる。

石油は主に中東頼み、赤字の債券の買い支えは日本と中国頼みという現状をみれば、世界におけるアメリカのリーダーシップは急速に失われていくであろう。アメリカ人がかつての節度と価値観を回復させることが、アメリカを回復させるであろう。それは中国のサンタクロースがもたらしてくれることではない。私たち自身のみにできることなのである。(了)

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