「サンタクロースは、実は中国人」―私が身内で交換したプレゼントのおよそ70%は中国製であった。いくつかの調査を見ると、この数字は要するにアメリカ経済における実態のようだ。
まず、バービー人形からビデオゲームまで、アメリカで売られている玩具のおよそ80%はメイド・イン・チャイナ。英語を話す人形はもちろん、アップルのiPodもマイクロソフトのXboxも。衣料も同様でカシミヤのセーターかトレーニングウェアーまで、ことごとくといってよいほど“Made in China”のタグが付いている。
何とクリスマスツリーも中国製。というのもモミの木はアメリカ各地にありながら、かなりの家族はプラスチック製のクリスマスツリーを囲むからだ。アメリカで売られているこの手のツリーのうち、10本に8本は中国製。2005年、アメリカ人はこれに1億3000万ドルを費した。
2006年、アメリカ人は中国製のクリスマスの飾りに10億ドルを投じたようだ。話は2005年にもどるが、この年、「キリスト降誕」の礼拝用品まで中国製を買い求めて、その総額は3900万ドルを上回ったとみられる。キリストを東方の国に求めるとは皮肉なことである。中国には海外投資が流れ込み、これに膨大な労働力を組み合わせ、まさに「世界の工場」になった。
この「中国製のクリスマス」は、アメリカの経済構造を象徴している。今日では中国もクリスマスを祝っている。ただし、宗教的な理由からではない。まさに対米輸出が増え、労働者の所得が増え、貯蓄が増えるからである。因みに、彼らは一般的に所得のおよそ40%を貯蓄に回す。一方、アメリカ側のクリスマスは経済的にみれば完全な消費行為で、個人レベルではクレジットカードの利用高、国家レベルでは輸入額が急増する。
クリスマスを祝うこと自体は善なる意思であろう。しかし、冷静に見れば大量消費社会の行動そのものといえるだろう。ブラスチック製品をはるか東方から輸入する以外に、子供達の未来をよりよくするための資金・資源の投じ方があるはずだ。
心うきうきとカードを使いまくっていてよいのだろうか。何と国民1人当たり5枚のカードを持ち、1億4500万人に及ぶカード利用者のうち、毎月の決済が無事にできているのは5500万人にすぎない。残りの人々は決済ができず、法外ともいえるレートで滞納の利子が加算されていく。沢山の人が、生涯にわたり借金漬けになる。
(続き)【コラム】クリスマスの夜に−枕元には『希望』のプレゼントを−
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