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World Watch News

【challenge】 21世紀を動かすミニ企業《3》

環境マガジン『ワールドウォッチ』ハル・ケイン

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ワールドウォッチマガジンより
前編:21世紀を動かすミニ企業≪1≫
中編:21世紀を動かすミニ企業≪2≫

大きいことがいいことだとは限らない

ミニ企業は、大企業の勢力の届かない人々に雇用を提供するが、大企業が実現している役割をすべてうまく代行できるわけではない。医療機器やアルミニウム、大型の航空機などを作ることはできないし、数時間で何千ヵ所もの小売店に新鮮な食料を届けることも不可能である。長期にわたって大規模な投資をするだけの資本もなく、したがって、新製品の調査や開発を行ったり、規模の経済を活用することもできない。

だからといって、ミニ企業を、企業世界の貧しい同胞と見なし続けるのは誤りだろう。小企業のほうが適している仕事も数多い。小企業は、柔軟性に富み、官僚主義が存在せず、政策決定も速いといった特有の利点を持ち合わせている。ある特定の文化的背景がある場合は、やはり特に小さな企業のほうが大企業以上にいい結果を得られるだろう。

ある分析によれば、中国は巨大企業よりも家族企業のほうが適しているという。1980年代後半、同国の農民が政府を動揺させるほど大挙して都市部に移住したとき、とう小平は、小さな村や都市に独自の新事業を始めるよう奨励した。村人が村にとどまれるよう農村部に雇用を生み出すためである。これらの事業は地元の行政府が所有し、雇用人数は常に100人未満で、金属性のバケツから絹の敷物にいたるまであらゆるものを製造していた。このような事業のなかには、ミニ企業と考えるには規模が大きすぎるものもあるが、大企業とはほど遠い存在である。それ以外はほんの数人を雇っているに過ぎない。しかし1991年までに、それらの企業は中国の国民総生産の30パーセントを占めるようになったと伝えられている。農村企業の数は、78年の150万社から91年には1900万社へと急増し、新たに1億1200万件の雇用を生みだし、都市部への移住を抑制することになった。

しかし大半の国では、ミニ企業は軽視されている。ミニ企業は、助成金や税の優遇措置など、大企業が政治に絡む利権として.頻繁に享受している特典を受けられない。政治キャンペーンへの資金提供や有利な法律制定に向けたロビー活動、あるいは国によっては、賄賂のきく政府と旨みのある関係を結ぶ、といった余裕などない場合がほとんどだからである。

途上国では、資金援助の主たる流れは、歴史的に見て、水力発電ダム、高速道路、パイプライン、採鉱といった大規模なプロジェクトに向けられていた。「人的資本」の開発、つまり、持続可能な経済成長に貢献できる教養のある健康な人々の育成に目が向けられ出したのはごく最近のことである。小規模企業の企業家精神は、そのような人々に、伸びつつある能力の活用の場をより多く提供する一助となるはずだが、行政はほとんど関心を示してこなかった。

しかし、たとえ一助になったとしても、情報分析の専門家の中には、ミニ企業に公的援助を振り向けるのは誤りだと信じている人もいる。彼らの主張によれば、まず電気や道路に十分な投資を行わなければ、規模に関わらず繁栄する企業はほとんどないだろうという。世界銀行のリチャード・ローゼンバーグ(Richard Rosenberg)のような分析者は、子供の教育など人的資源への投資から社会に還元される利益は、ちっぽけな企業向けの援助から発生する利益よりも大きく、教育への投資が増えなければ、ミニ企業といえども困難に直面するだろうと述べている。ローゼンバーグは、資金が入手できる場合のミニ企業向けの融資については強力に支持しているが、ただしその資金は、識字率の向上など、より急を要するプログラムへの支出から調達すべきではないと主張する。

批評家たちはまた、小企業が強力な援助を受けていたところでも、この25年の間は、やはり成功と失敗の繰り返しの歴史だったとも記している。ミニ企業開発計画の多くは、フルタイムではなく補足的な時間給収入を重要視しており、家族を養ったり、世帯内の金の使い方について女性が発言権を持つだけの金を稼ぐことはできなかった。したがって、そのような計画は労働力市場における女性の地位向上や雇用機会の拡大にはならなかった。
ミニ企業が将来の発展に向けた合理的な進路となるための鍵は、融資、支援サービス、公共政策の分野で、ミニ企業を、既存の生計の手段に付け足す補足的な商売ではなく、個人、家族、あるいは小集団による一個の完全な企業として活動させるようないくつかの変化と共に現われるだろう。この点では、先鞭をつけたミニ融資銀行が、重要な突破口を開いてくれた。より近いところでは、世界銀行と米州開発銀行(Inter-American Develoment Bank)が、ミニ融資向けに資金の割り当てを決定した。

世界のどの政府も財政面で困窮している時代にあって、ミニ企業発展に向けたより強力は公共支援の保証はとても期待できそうもない。しかし、大手開発銀行の決定は、この種の発展が景気に重要な刺激を与えうるというすばらしい性質を実証するものである。ミニ企業は、保守党・自由党のどちらの政治家にとっても強い潜在的魅力を持っている。

自由党員にとっては、女性や貧しい人々など、公民権を剥奪された人の成功を助ける機会になる。人々が、大きな工業機械の歯車としてでなく、個性を表現させながら働くことを可能にするという魅力がある。そしておそらく最も魅力的なのは、ミニ企業は労働者に労働の意味をより丹念に見る機会を与えるという意見があることだ。大規模な農場経営会社で雇われるよりも、農民でいるほうが土地と密接に関わることになるだろう。複雑な地元の土壌や天候、水と共に自分で働かなければならず、どんな方法が持続可能なのかをさらに詳しく知るようになるだろう。

保守主義者にとっては、公民権を剥奪された人々が、施しを受けるのではなく厳しい労働によって貧困から抜け出す機会となる。開発融資が、政府ではなく、小企業も含めた個人企業に直接向けられるなら、いい結果を生むだろうというアナリストの主張もある。そして最終的には、一時的に解雇されている大量の元労働者に、独立した小企業や請負業者として生計を立てる十分な機会があるといえるなら、解雇している側の企業から倫理上のプレッシャーを取り去ってくれる可能性もある。世界銀行や米州開発銀行の決定は、このような考え方の影響を反映したものかもしれない。

きっかけが何であれ、開発銀行のミニ企業向け融資への参入は、ミニ企業が、インフラストラクチャープロジェクトや子供の教育、あるいは公衆衛生に取って代わるのではなく、それらの必要性を補う重要な存在であることのきわめて重大な裏付けとみられる。大規模な近代的発展の不可抗力によって倒されるような、時代に逆行する企業だと非難されることはもはやない。ミニ企業は生産性の高い最も新しい企業であるばかりか、おそらく人間経済の長期にわたる持続可能性に欠かせない企業になる可能性を秘めている。

WWIのレポート
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