ダボス会議では「地球温暖化」が主題となった。
アメリカ航空宇宙局(NASA)のデータによれば、2005年に世界の地球表面の平均気温は14.6℃となり、1880年に観測が始まって以来、もっとも暑い年となった。過去100年間で、世界の平均気温は1℃近く上がったことになる。最新の『地球環境データブック』のレポート。
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アメリカ航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙研究所(GISS)のデータによれば、2005年に世界の地球表面の平均気温は14.6℃となり、1880年に観測が始まって以来、もっとも暑い年となった。なお、もっとも暑い年の上位5番目までは、すべて1998年以降である。過去100年間で、世界の平均気温は1℃近く上がった。この半分以上(0.6℃)が過去30年間に上昇しており、これは温暖化の傾向が加速していることを意味する。
2005年に、大気中の年平均二酸化炭素濃度は379.6ppmに達しており、過去最高だった2004年より2.2ppm増えた(0.6%増)。平均二酸化炭素濃度は、測定が始まった1959年に比べて20%増加している。2005年の1年間の増加は、過去最高記録である。
一見小さい数字には見えても、この温度上昇は、何年か後に深刻な影響を及ぼすおそれがある。すでに2005年9月には、北半球の海氷が、記録を始めて以来の過去最低水準となった。グリーンランドの氷河では、2005年だけで約221立方キロメートルの氷が失われている。夏には熱波が襲い、アメリカのアリゾナ州では気温38℃以上の日が連続39日間続き、ヨーロッパでは非常に広範囲で山火事が起こって、さらにその後には集中豪雨と大きな洪水があった。藻類の異常発生により、アメリカのメキシコ湾岸に住む人々の間では、観光業や漁業や飲食業といった経済活動での収入減が1週間当たり300万ドルにのぼった。同様にクアラルンプール市でも、干ばつと猛暑によって山火事が起こったため、観光業が低迷し、マレーシア最大の港が閉鎖に追い込まれた。
すでに気候変動によって、コミュニティ全体が移住せざるを得なくなったり、生活を失う危機に直面したりしている。たとえばゴビ砂漠では、気候パターンの変化のために降水量が減少していると考えられており、毎年2万6000平方キロメートルずつ砂漠化が進んでいるため、中国で数千万人もの農民が農地を放棄せざるをえなくなった。また、カナダ、グリーンランド、アラスカ、ロシア北部でコミュニティを形成するイヌイット族は、2005年に北極地方の冬の温度が過去最高記録となったため、獲物を求めて北へ移住せざるをえなくなった。
後編:地球温暖化が加速、炭素排出量と地表の平均気温《2》
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