前編:地球温暖化が加速、炭素排出量と地表の平均気温《1》
科学界では、世界の気温上昇の原因は、化石燃料の燃焼などで発生する二酸化炭素など、温室効果ガスの排出にあるということが大筋で合意されている。化石燃料由来の二酸化炭素排出量は、2004年に記録的な4.5%の伸びを示し、75億7000万トンとなった。南極の氷床のコアに含まれる気体を測定する研究により、現在の二酸化炭素濃度は、産業革命が始まる前のどの時点よりも、27%高いことがわかった。
アメリカは、世界の人口に占める割合は約5%だが、人間活動による二酸化炭素排出量では世界の25%を占めており、これは世界最大である。中国は、1人当たりの排出量はアメリカよりはるかに少ないものの、総排出量では世界2位となっている。アメリカで最大の排出源は石炭火力発電所で、その次が自動車である。発展途上国で車の所有率が急速に高まっていることから、世界全体では運輸部門の排出量がもっとも急速に増加している。
一部の専門家が懸念するのは、気候変動はすでに進行しており、この動向に歯止めをかけるのは難しいこと、そして、気候変動によって今よりもっと激しい暴風雨や、農業生産力の大幅な低下、生物多様性の喪失、人間の健康への悪影響などが引き起こされることである。これらの影響は、高所得層より低所得層の人々に打撃を与える傾向がある。
2005年に世界全体で気候変動に対処するために行われた取り組みには、それほど成果が上がっていないものもあれば、成功したものもある。京都議定書で定められた温室効果ガス排出量の8%削減という約束を遵守するため、ヨーロッパは2005年1月から排出量取引制度を開始した。ここにはまだ、いくつかの炭素集約型産業や運輸部門が含まれていないものの、1年目に取引された二酸化炭素は合計で94億ユーロ相当、量にして7億9900万トンにのぼる。アメリカは京都議定書を批准していないが、排出量削減に向けて行動を起こす州政府や市は増えている。【地球環境データブック2006-07】 【AD】amazon.co.jpで注文
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