再生可能エネルギー法に基づき、供給地域で利用可能な最大限のグリーン電力を優先的に購入するよう義務付けられている電力会社の監視を、国家電力監督管理委員会(SERC)が2007年9月から全国規模で実施することが、同委員会が最近公布した法律で定められた。再生可能電力には、水力、風力、バイオマス、太陽光、潮力、地熱などの資源から得られるエネルギーが含まれる。
再生可能エネルギー源の電力系統への統合を促進するうえでSERCに求められる権限、対策、責任についても詳細に規定されている。中・大規模の水力発電所を除くすべての再生可能電力施設は、政府から電力価格の補助金を受け取ることが認められており、競争入札に参加する義務もない。
中国は2005年に初の再生可能エネルギー法を可決して以来、その利用促進に向けて数々の補助規定を発布してきた。しかしながら、主に発電コストの高さがネックとなり、国内電力供給に占める再生可能エネルギーの割合はまだかなり低い。たとえば、太陽光発電では3元(約45円)/kw時のコストがかかるが、一般的な石炭火力発電はわずか0.22元/kw時程度である。
再生可能電力の価格決定と費用分担に関しては、電力系統に接続した配電業者に対し、公定価格または政府指導価格での再生可能電力の購入を義務付ける補助規定が、国家発展改革委員会によって設けられ、コスト面の障害解消に一定の役割を果たしている。再生可能エネルギーの追加費用は利用者負担とされ、2006年6月から「再生可能エネルギー使用料」として単位電力当たり0.001元(=0.1分)が家庭の電気代に別途加算されている。
中国の急速な経済成長は石炭火力発電に大きく依存しており、その結果、自然資源や自然環境のみならず同国のエネルギー供給にも深刻な問題がもたらされている。中央政府は、エネルギー効率と持続可能な発展という2つの目標を達成するには、国家戦略の基本として再生可能エネルギーを推進することが重要だと認識し、再生可能エネルギー開発の中長期計画で、一次エネルギー供給構成に占める再生可能エネルギーの割合を、2005年の7%から2010年には10%前後に、そして2020年には約16%に高める施策を示した。一方、グリーン電力のシェアについては、2010年までに同国の総発電量の6%、2020年までに8%とすることを目指している。
再生可能エネルギーの推進を成功させるには、一般に政府支援と市場刺激策の両方が不可欠だと考える電力業界の一部の企業家は、中国政府が現行の価格補助金に加え、グリーン電力生産者への融資提供や税額控除など、再生可能エネルギー発電の強力な促進策をより大規模に併用すべきだと主張している。
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