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Eco-Economy-Indicators
1億を超える自転車製造台数
Janet Larsen
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2000年世界全体で1億台以上の自転車が製造され、最も多かった1995年の1億6百万台以来最高を記録した。(グラフ参照) この製造数は25年前の2倍である。
中国は2000年に全世界総製造数の半分以上である過去最高の5200万台の自転車を製造した。このほぼ3分の2が輸出され、そのうち1700万台は米国向けだった。同年の米国内の自転車製造台数は100万台を少し超える程度で、1995年の約900万台から激減している。4300万人以上の自転車利用者を持つ米国は、自転車の輸出先としては世界最大で、国内需要の97%が輸入で賄われている。
欧州連合での製造総数を見ると、ドイツを筆頭に全体では2000年に1200万台の自転車が造られた。イタリアはドイツの製造台数320万台に僅差で2位だが、自転車販売数においては2000年ドイツは530万台にのぼり、イタリアの160万台を引き離している。
インドでは1100万台以上の自転車が製造されており、そのほとんどは国内販売用かアフリカ輸出用だ。アフリカは巨大な自転車市場となりえるが、低価格で動力に頼らない交通手段が求められ続けているにもかかわらず、近年自転車の販売は多くの国で落ち込んできている。理由の一つに、手ごろな価格で新しい型の自転車や部品が不足していることが挙げられる。
この傾向が見られるセネガルでは、販売実績が年間たった2千台程度しかない国内メーカーを守るために輸入自転車に非常に高額な関税を課している。ガーナでも輸入品に同様の関税や税金を課していたが、1989年にそれらが撤廃されてからは自転車の販売台数が急増した。
新型で頑丈な自転車を求めるアフリカの高い需要に応えるため、環境を壊さず衡平な交通政策を世界中で促進する、交通と開発政策研究所(Institute
for Transportation and Development Policy)と南アフリカの非営利団体アフリバイク(Afribike)が、アフリカ・バイクという自転車を設計した。これは、従来のブラック・ロードスターという自転車に取って代わるものだ。ブラック・ロードスターは性能が良くなく、田舎の人や老人や貧しい人が乗るものだというイメージがあるので、現在販売業績は良くない。どちらの自転車も価格は約60ドルである。アフリバイクだけでも1998年以来南アフリカで1万台以上販売され、人々に低価格の交通手段を提供してきており、セネガル、ギニア、ガーナにもそのプログラムを拡大する予定である。
自転車があると行動範囲が広がり、収入を大幅に増やすことができる。農村部の女性は貸付を受けて自転車を買うことにより、教育を受ける機会を増やすことができ、農産物を市場へ運びやすくなる。このようにして、自転車が売れれば農家での生産活動も活発になるのである。ガーナでは自転車のお陰で、HIVビールスによるエイズ患者の援助担当者が、以前の5割多い患者の相談を受けることができるようになった。
都市部において自転車は自動車の代わりとなるので、交通渋滞を緩和し大気汚染や騒音を低減することができる。自動車が道路を占める割合は、普通の速度の自動車の30分の1である。自転車はまた、発展途上国においてでさえも肥満の人々がかつてないほど多くなった現在、運動の機会を与えてくれる。長距離や丘陵地を走るのに助けが必要な人々にとっては、人気の高まっている電池作動の電気自転車で大概ことが足りる。2003年までには、燃料電池で動く自転車が市場に出回る。
特に先進国の多くの都市では、自転車用道路を整備したり通勤での自転車使用には優遇措置を与えることによって、地球に優しい交通手段として自転車を推進している。コペンハーゲンでは人口の3分の1が自転車通勤をしている。同市の革新的なシティ・バイク・プログラムは、2005年までに市内で3千台の自転車を無料で使用できるようにする予定だ。都市計画者は、すでに高額の駐車場代を今後15年間年3%づつ引き上げ、高額の燃料税と自動車登録費を課し、今後は鉄道を中心とした開発に専念する予定にしているため、市の全自転車台数は今後も増える見込みだ。
世界で最も裕福な都市のひとつであるストックホルムでは、ここ数十年自動車の使用が減ってきている。ストックホルムでは、都市開発が街の中心部に集中しており、さらに効率の良い公共交通機関が可能である。鉄道やバスは、歩道や自転車道路に連結している。スエーデンの全市街地の住民の10回の移動のうち1回は自転車によるもので、1回は公共交通機関、そしてほぼ4回は徒歩である。自動車による移動はほんの36%で、ヨーロッパでは最も低い。オランダでは全移動の27%に自転車が使用されている。
それでも世界の自動車台数は5億3千万を超えており、増え続けるモーター付車両の数に自転車が負けているところもある。北京では10年前には全移動の60%が自転車によるものだったが、現在収入が増えたことで、進歩の象徴として見られている自動車が好まれるようになり、自転車での移動は40%に減った。上海では最近ラッシュ時には大通りから自転車が締め出されるようになり、自転車による移動は20%にまで下がっている。上海市は2010年までに市の中心部から完全に自転車を禁止する計画を立てていると伝えられている。
米国とカナダでは開発がそれほど集中しておらず、車による移動はそれぞれ84%、74%となっている。どちらの国でも、徒歩による移動はたった10%、自転車は1%である。多くの市民は、交通手段としてではなくレクリエーションとして自転車を使用している。
汚染や自動車の氾濫という危機にさらされている都市では、交通計画や都市開発計画に自転車を組み込むことで事態を改善できるだろう。税の優遇処置によって公共交通機関近辺の開発を奨励でき、電車やバスは自転車を持ち込めるようにすることもできる。街路や道路を安全にし自転車が使いやすくすれば、通勤やレクリエーションで自転車を使う人も増えるだろう。
20世紀半ば、世界の自転車と自動車の製造台数はほぼ同数だったが、それ以降は年間の自転車製造台数は自動車の2倍以上に増えている。自転車は、個人の交通手段としては価格が手ごろで場所をとらずメンテナンスがしやすくかつ便利なので、今後も自転車産業は成長し続けるに違いない。
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