2007年「世界経済フォーラム」年次総会(ダボス会議)が正式に開幕した。私(レスター・ブラウン)にとって一日目で最大の出来事は、CNBCの「Make Green Pay」(グリーンなお金の流れを作る)のパネルディスカッションで一連の討議に参加したことだった。
「世界経済フォーラム」のほとんどのイベントに言えることだが、討議の焦点となった3つの分野のトピックは、論争を呼ぶもので、どちらの意見の発表者も思慮に満ちて見事だった。私は発言者の一人として参加し、とりわけ、世界の現在の化石燃料依存型エネルギー経済の解決策として、原子力エネルギーの実現性について話した。
近年、気候変動に対する懸念が高まるにつれ、原子力エネルギーは、炭素集約型のエネルギー源に依存する現状を打破する実現可能な代替としてもてはやされている。
だが、真相は、真のコストを考慮すると、原子力発電というエネルギー源は、即座に競争から脱落してしまう。
実際のところ、納税者が負担する補助金がない状態で勝負すれば原子力に勝ち目はない。もし、電力会社が放射性廃棄物処理、事故に対する保険、老朽化した原子炉の廃止措置というすべてのコストを負担するならば、原子力発電のコストは、他の有望な代替エネルギーよりもはるかに大きくなる。
この真のコストという概念は、私たちの化石燃料依存型の使い捨て経済では考慮されていない。
私は、最新刊『プランB 2.0』のなかで、必要とされている21世紀の「プランB」経済を構築するなかで、すべての製品に真のコストを反映させることを呼びかけている。
「真のコスト」とはどういうことだろう?それは、製品の価格に、その製品が生態系と健康に及ぼすコストをすべて含むことを意味している。
後編:【ダボス会議】エネルギー経済の真のコストを考える《2》
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