今日、参加する予定の2つのパネルディスカッションは、エネルギーの未来についてだ。最新刊『プランB 2.0』の執筆にいたった、主な動機のひとつは、現在の私たちの化石燃料依存型のエネルギー経済が持つ危険性と、壊滅的な気候変動で果たす役割についての問題に立ち向かうことだった。
アースポリシー研究所の仕事の大半もそうだが、この本でも主に、実現可能な代替エネルギー経済について述べている。
よい知らせは、解決策がすでに存在しているということだ。
21世紀になり、代替エネルギー経済はすでに誕生している。ヨーロッパでは、家庭用電力を風力でまかなう人口が4000万人に達し、風力エネルギーへの依存度はますます高まっている。アイスランドでは、87%の家庭で暖房に地熱エネルギーが利用されている。日本では、太陽光エネルギーが拡大し、ここアメリカではハイブリッド自動車が増加している。
もうひとつの大きな解決策として、バイオ燃料の開発がある。最近、「Ethanol From Corn Is Not the Solution」という記事をThe Huffington Postのブログに掲載した。その危険性はまさしく現実のものだが、セルロースを原料としたエタノール製造の増強など、合理的で良識のあるバイオ燃料の取組みは、私たちの21世紀のエネルギー経済で重要な位置を占めるはずだ。注目すべき重大な分野のひとつで、私たちが基本的にすぐに行動を起せることは、エネルギー効率の向上で、これは特にアメリカによく当てはまる。
2001年4月にブッシュ政権が発表した新しいエネルギー計画では、2020年までに新規の発電所を1300基建設することが必要だとされていた。これに対し、ワシントンDCに本部がある省エネルギー連合(ASE)のビル・プリンドルは、この新規発電所の建設がアメリカには不要で、建設しないことで経費を節約できると指摘した。プリンドルは、電力需要を抑えるいくつかの方法を挙げた。
・家電製品の効率基準を改良する(127基の発電所が不要)。
・家庭用エアコンの効率基準を引き締める(43基の発電所が不要)。
・商用業のエアコンの効率基準を引き締める(50基の発電所が不要)。
・新しい建物の効率を向上させるための税控除の活用とエネルギー基準の策定(170基の発電所が不要)。
・既存する建物のエネルギー効率を向上させるために同様の措置をとる(210基の発電所が不要)。
プリンドルが提案する長いリストのなかの、これらの5つの対策のみで、600基の発電所が不要になるだけでなく、経費も節約できる。この計算は2001年に行われたものだが、それ以降、アメリカのエネルギー効率はほとんど向上していないことから、現在も有効な数字である。
後編:【ダボス会議】未来は「エネルギー効率の向上」にある《2》
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