昨晩の「世界経済フォーラム」では、光栄にも日本水フォーラム(JWF)主催の夕食会に出席させていただいた。夕食会の重要な焦点は、「アジアでの持続可能な成長」だった。世界でもっとも人口が多い大陸での持続可能な発展は、環境に及ぼす影響も多大だが、特に重大な分野として浮かび上がるのは、すなわち、水不足である。
※日本水フォーラム(www.waterforum.jp)
過去数十年で、水は世界の多くの国々の主要課題になった。この問題は特にアジアに関連性が高いため、『プランB 2.0(寺島実郎監訳/ワールドウォッチジャパン刊)では、「水」には1つの章を充てたし、全体を通じても「食料」「農業」「農業用水の都市用水への転用」「ヴァーチャル・ウォーター」などの諸問題との関連で「水」に言及した。
過去50年間で、水需要は3倍に膨れ上がり、多くの国々で持続可能な地下水の汲み上げ量を超えていることから、地下水位が低下している。実際のところ、現在、世界人口の半分以上が、こうした地下水位が下がっている地域に住んでいる。
アジアではこの問題は特に深刻だ。かつてアムダリア川は、アラル海の主な水源だったが、今では、上流のウズベキスタンやトルクメニスタンの綿花栽培農家がすっかり使い果たしている。中国では、黄海に流れ込むまでに、5つの省を通って約5500キロメートルを流れる黄河は、数十年来、問題が山積しているが、この川の流れが黄河に到着せずに途中で途絶える「黄河断流」が初めて発生したのは1972年のことで、1985年以降は頻繁に発生している。
東南アジアでも同様の状況が見られ、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナムに水を供給するメコン川は、上流に中国がダムを建設したために、流量が減っている。
これはアジアにとって何を意味するのだろうか?水不足だけでなく、結果的には作物生産量が急激に落ち込むことになる。
後編:【ダボス会議】アジアでの持続可能な開発、答えは「水」にあり《2》
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