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ビル・クリントン絶賛、レスター・ブラウン最新刊「PLAN B 3.0」人類文明を救うために発売開始

1984年創刊、世界で読まれている地球環境問題のロングセラー本『地球白書』、最新版発売!

Eco-Economy-Update 2009-1

【提言】グリーン・ニューディールが
新規雇用創出、炭素排出削減、石油輸入量削減を実現する

 

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グリーンニューディール 

主要な米企業が毎日のように人員整理の発表を行うこのご時勢に、再生可能エネルギー産業では、ウインドファームの建設、屋上用ソーラーパネルの設置、太陽熱発電プラントや地熱発電プラントの建設に対応するため、日々新規労働者の雇用が進められている。発電用装置を製造する各企業は、生産高を年間30%以上も伸ばしている。再生エネルギーへの投資は、雇用を創出すると同時に、気候変動が制御不能となる事態を防ぐ重要な役割も果たしているのだ。

数種の再生可能エネルギー資源の中でも、特に風力エネルギーのシェア拡大が著しい。アメリカですでに稼動する風力発電の総出力2400万kW(24の石炭火力発電所に相当する発電量)に加え、新たに建設されているウインドファームも83ケ所ある。約800万kWの発電能力が増強される見通しだ。さらに、計画が進められているウインドファームの総発電能力はなんと2億2500万kWに達し、トランスミッションライン(伝送線路)に供給できる時を待っている。

現在、アメリカには風力発電用の装置を製造する工場が40社ある。そのうち8社が風力タービン、20社が風力タワー、残りの12社が発電機用ブレードを製造している。その数を超える製造工場が現在、新規建設や計画段階にあると発表されている。10億ドルがウインドファームに投資されるごとに、およそ3350もの雇用を生み出す。石炭火力発電所に同額を投資した場合創出される870の雇用に比べて4倍近くも多い。

太陽電池(太陽光発電)に関しては、小型の屋上用ソーラーパネルの設置から、数平方マイルの敷地に建設される商業用発電施設に至るまで近年の拡大は目覚しく、アメリカでさらなる成長が見込まれる。2007年にアメリカで設置された太陽電池は、総発電能力約20万kWに達した。その大半が屋上への取付けである。2008年には、カルフォルニアの主要電力会社、パシフィック・ガス・アンド・エレクトリックが企業2社と契約を締結し、この2社から太陽光で発電した80万kWの電力を購入する。ピーク電力時で、2社の電力供給量は原子炉1基の発電量に匹敵するという。太陽電池の設置に10億ドル投資した場合、1480の雇用を創出する。

太陽熱発電プラントも同様の成長を見せている。反射鏡で太陽熱を集め蒸気をつくりタービンを動かすしくみだ。最近までアメリカには、ひとつの太陽熱発電プラントしかなかった。カルフォルニアで稼動する出力35万kWのSEGS(Solar Electric Generating System)プラントである。現在18の商業規模の太陽熱発電プラントが建設されており(カルフォルニア州15プラント、フロリダ州2プラント、アリゾナ州1プラント)、総出力は416万kWと12倍も増強されることになる。太陽熱発電プラントも、もうひとつの労働集約的なエネルギー技術(10億ドルの投資額に対し2270の雇用創出)の例といえよう。コスト削減も目覚しく、アメリカのエネルギー経済でその存在感を急速に増している。

次に地熱エネルギーについて考えてみよう。20年間、アメリカには商業規模の地熱発電施設がカルフォルニアの1ケ所に存在するのみだった。しかし、突如極めて短期間で、アメリカ西部の各州に96ほどのプロジェクトが立ち上がった。しかもほとんどが1万kWから35万kWの発電能力を持つという。電力資源に新たな主役の登場だ。

プラグインハイブリッド車と最新型風力タービン。この2つの新技術が、全く新しい自動車用燃料経済の構築に向け道を開いている。自動車会社4社が2010年から2011年にかけてプラグインハイブリッド車を市場に投入する予定だが、その生産台数は限定したものになると見られている。今必要とするのは、第二次世界大戦の戦時動員のような迅速な行動だ。1ガロン1ドル以下のガソリンに匹敵する価格で、主にウインドファームから電力を供給し、その電力を主要動力源とする自動車を数千万台規模で生産しなければならない。幸いなことに、プラグインハイブリッド車に新たなインフラ構築の必要はない。

自動車産業に対してアメリカが掲げる目標は、単に米自動車産業を救済するものではなく、燃費のすぐれたプラグインハイブリッド車生産で、米自動車産業を世界のリーダーに押し上げるものでなくてはならない。ガソリンを大量に消費するSUV車を、プラグインハイブリッド車に代えれば、車の寿命で見て一台当たり、石油輸入量200バレル、輸入額2万ドルを節約できるのだ。全ての自動車をプラグインハイブリッド車に切替えるよう取り組もうではないか。石油輸入に必要な数千億ドルが海外に流出せず、国内の雇用創出対策にまわすことができる。

もうひとつ省エネで雇用を生む方法がある。それは、鉄道やバスの路線に次世代型の都市交通システムを導入することだ。また、自転車利用者や歩行者に優しい道路を整備すれば、移動能力を向上させ、石油輸入量を削減できる。

雇用創出という意味では、省エネビルへの改築に投資すれば、石炭火力発電所に投資するより7倍も多い雇用が生まれる。早い段階からその取り組みを率先して進めているのがヒューストン市である。エネルギー消費量と運営費を同時に削減すべく、市の271の建物を改築する計画だ。ヒューストンのビル・ホワイト市長の言うように、『十分採算がとれる』取り組みだ。

カルフォルニアのソフトウエア会社、アドビシステムズはその広大な敷地にある本社を140万ドルの費用を投じて改築し、電力消費量を35%、天然ガス使用量を41%削減した。この省エネ対策により、わずか14ケ月で140万ドルの改築費を回収することができた。(改築費の回収には、5年近くかかるのが一般的だ。)このような建築関連の仕事も国内雇用を喚起することになる。

新エネルギー経済の構築は、ウインドファーム建設や省エネビルへの改築などで新規雇用を生むことになる。さらに、風力タービン、改築時に使用される熱効率の良い窓をはじめさまざまな部品を提供する供給ルートでも間接的雇用が生まれる。雇用を創出するのはエネルギー分野だけではない。たとえば、グレートプレインズのウインドファームを建設にともない、レストランやホームセンターなど地元産業の職が生まれている。

このような大規模な雇用創出の取り組みで政府が果たすべき役割とは、公的資金を投入し、それを起爆剤にして、より多額の民間投資を喚起することだ。今後12年で連邦資金1000億ドルを戦略的に活用すれば、4000億ドルの民間投資を呼び込むことができるはずだ。それぞれの再生可能エネルギー(風力、太陽、地熱)と省エネビルへの改築に、この5000億ドルを均等に配分すれば、そしてエネルギー分野で2つの職が創出されるごとに、その他の分野で1つの職が生まれると計算すると、短期間で60万の職が生まれ、その効果は2020年まで続くだろう。

雇用創出は短期的ニーズであるが、気候変動のさらなる悪化や、それにともなう文明崩壊の危機を食い止めなければならないという地球規模の課題もある。グリーンランドの氷床を救う、少なくともそれより規模の大きいヒマラヤ山脈やチベット平原の氷河を救うチャンスがあるとすれば、世界の炭素排出量を2020年までに80%削減しなければならない。ヒマラヤ山脈やチベット平原の氷河の雪解け水は、アジアの主要河川や灌漑システムにとって乾季には不可欠だ。この目標を達成するために、アメリカは連邦資金5000億ドルを拠出し、2兆ドルの民間資金を喚起しなければならない。つまり、2020年までに再生可能エネルギーと省エネルギーに総額2兆5千億ドルの資金を投じることが必要なのだ。これだけの額を投資すれば、300万の新たな雇用を生み出し、2020年までその効果は持続するだろう。

炭素削減を加速させるひとつの補完的手段として、キャップアンドトレードシステムや税改正という形で、気候変動のコストを化石燃料の価格に反映させることが必要だ。税改正とは、単に炭素税を引き上げ、代わり所得税を減税するというものだ。双方とも、化石燃料から省エネと再生可能エネルギーに投資をシフトすることになる。

実際のアメリカの政策には明らかなギャップがある。そのひとつは、風力への生産税控除を1年で打ち切ったことだ。税控除を2015年まで延期すべきだ。そうすれば、投資家は、風力発電やトランスミッションラインに自信を持って長期的投資を行うことができる。

さらに、強力な国内グリッド(送電網)の整備が必要である。国内の発電能力をより効率的に管理し、風力、太陽、地熱エネルギー資源が豊かな地域と人口密集地をつなぐことが可能になるからだ。

歴史的に見ても、たったひとつの共通のソルーションで、新たに出現する多くの脅威に対応できるというのは珍しいことだ。ここで紹介した対策を講じれば、炭素削減、石油輸入量削減、数百万の新規雇用創出を同時に実現できる。こんな一石三鳥の機会を決して見過ごしてはならない。

レスター・ブラウン

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