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WorldWatch News

【生物多様性】虎が絶滅の危機に

 

 

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埋葬方法によって、二酸化炭素排出量は異なるという
   2004年、ケーブルテレビ局のアニマルプラネットが73か国にわたる計5万人の視聴者を対象に調査を行ったところ、「世界で人気の動物は?」との問いに、2割以上の人が「トラ」と答えた。
  野生の生息数が世界全体で4000頭を切ってしまったのは、皮肉なことだが、こんな人気者だからこそ、なのかもしれない。私たちのほとんどにとって、トラはたくさんいる動物なのだ――私たちの頭の中や想像の世界、テレビ、雑誌(本誌もそのひとつだ)の中で。だから私たちは、トラが絶滅の窮地に立たされているなんてウソだろうと否定し続け、何も行動を起こさずにいられるのだ。一方でトラの現実はというと、現在残っているすべての個体群(どれも250頭未満)が衰退の道をたどっており、現在の分布域はもともとの分布域のわずか7%にすぎないのである。
  かつてたくさん生息していたトラの9亜種のうち、密猟や人間との摩擦・獲物の取り合いによって、過去50年間に3亜種が絶滅し、また別の3亜種も絶滅の危機に瀕している。アモイトラは、毛沢東主席自身がトラの頭に報奨金を出したのを受けて積極的な駆除が行われ、実質的に絶滅したと考えられている。
  「世界で人気の動物」は、生きている間よりも死んだ後の方が有難がられる状態が続いている。トラの毛皮、骨、臓器、肉の需要は今も根強い。また、人口が増えるにつれて、トラとの土地や獲物(シカやイノシシなど)の争奪戦はいっそう激しさを増している。近年発表された研究の推定によると、トラの分布域が1995年と比べても40%以上縮小しており、残る生息地もほとんどがバラバラに分断されていて、わずか数頭の成獣しか生きられないところもあるという。生息地の分断化が進んだために、トラと同じ獲物を求めて人間が入り込みやすくもなった。
  しかし、最も急速にトラを絶滅に追いやっている脅威は、消費と売買のための密猟である。インドでは2004年、サリスカ・トラ保護区に生息するトラ(20頭以上)がすべて姿を消してしまったことがわかり、人々に衝撃を与えた。中国では、1999〜2004年の間に80頭のトラの毛皮と31個の骨格が押収された。これは、この期間中に実際に殺されて売買された動物のほんの一部と考えて間違いない。抗けいれん薬(眼球)から精力剤(雄の生殖器のスープ)まで、トラには驚くほどさまざまな効用があるとささやかれる。今日、特に需要があるトラ製品としては、膏薬(すりつぶしたトラの骨と薬草を含む外用湿布薬で、関節炎などの痛みを和らげると考えられている)、虎骨酒(骨格を長期間アルコールに漬けたもので、病気を治し、精力を増強すると考えられている)、さらに装飾品やインテリアに使われるトラの毛皮が挙げられる。
  中国では、1993年にトラ製品の国内取引が禁止されるまでに、トラの骨を用いた薬の市場がこの国だけで年間1240万ドル規模のハイテク産業に成長しており、同国内のあらゆるトラ製品の消費量は年間800万〜1000万点にのぼっていた。取引が禁止されてからは、トラ製品の大きな闇市場が生まれて繁栄し続けている。最近、中国の7都市で2000人弱を対象とした調査が行われたところ、96%が野生のトラの保護が重要だと答えた一方で、取引禁止以降もトラ製品を使用したことがある人は40%近くにのぼり、そのうち70%以上が飼育されたトラよりも野生のトラから作った商品の方が良いと答えた。
  このような闇市場では、プレミアム価格で取引きされる。このごろでは1頭の完全な毛皮は約1万ドルで取り引きされており、歯や爪、ひげ、骨も、合わせると数千ドルにもなる。そして、トラがどんどん減るにつれて値段がさらに上がるのはほぼ確実だ。でも、もしこの調査結果が仮にも中国国民全体―人口は今や13億人を超え、中流階級の人数(1億〜1億5000万人)がアメリカ人口に急速に近づきつつあり、経済成長率が年11%前後で推移する―の考えを表しているなら、トラ製品の消費者となり得る裾野は非常に広いとともに、トラ製品を買いたいと思った人の多くが、それを買うだけのお金をもつことになるだろう。さらに恐ろしいことに、カンボジアやタイやネパールといった他のアジア諸国でも、規模は小さいとはいえ同じような動向が見られるのである。 
  保全活動を混乱させ、トラの将来に暗雲をもたらしているのが、国内取引の禁止を解除しようとする最近の中国の動きである。同国内にはトラ飼養場がいくつか散在し、推定5000頭以上が飼育されている。中国は、過去の在庫に加え、これらの生きた(そして繁殖している)トラを使った部位や由来製品の販売を許可しようとしているのである。中国の見解によれば、取引禁止を解除することで、飼養所のトラを使った合法的な商品が市場にあふれ、価格が下がることになり、野生のトラの密猟や売買が経済的に成り立たなくなるだろうという。しかし内情は、トラ飼養場や地方の役人からの圧力に屈しているということのようである。生きたトラだけでなく今ある「在庫」(飼養場の貯蔵庫で冷凍保存されている数百もの死体)も売れば数百万ドルにもなる可能性があり、彼らはその恩恵を受ける立場にあるのだ。
  中国は、取引禁止を解除して売り上げを合法化することによって、トラ飼養場についての安易な解決策も得るのかもしれない。というのも、国際社会から支持されている代替案は、「飼養場を閉鎖して在庫を破棄する」というものである。この案を受け入れた場合、中国は5000頭以上の生きた動物を何とかしなければならない。飼養場内では亜種間の交雑や近親交配が行われているため、「保全の価値」があるトラはほとんどいないのである。さらに、そもそも飼養場が存在するのは、野生生物の飼育繁殖を促す中国独自の「野生動物保護法」によるところもある。トラ飼養場を閉鎖するには、この法律を作成した人たちが、少なくとも違う路線を目指していたこと、最悪の場合には間違っていたことを認めなければならない。特に政府役人に対するこのような公然の批判は、中国では断じて行われないのである。
  トラの保護活動家たちは、国内取引の禁止によって消費が抑えられ闇市場もチェックされていると考え、中国がこの制度を維持するように懸命に闘っている。取引禁止を解除してしまうと、市場が活気づいて、野生のトラの密猟が急増すると思われるからだ。先に示した調査結果で、野生のトラを使った商品の方が明らかに好まれていたことを思い出してみよう。さらに、飼育動物から作った商品と野生動物から作ったものとを見分けることはできないし、トラ1頭の飼養には数千ドルもかかるのに対し、野生のトラ1頭の密猟にはせいぜい銃弾1個の費用しかかからないのである。これらを考えれば、中国でトラ製品市場を再び合法化すると、今残る数千頭の野生のトラに弔いの鐘を鳴らすことになると結論づけるのが妥当であろう。
エリザベス・オニール
(Elizabeth O'Neill)
*コロラド州ボルダーに拠点を置くフリーランスの生物多様性保全プランナー、著者、編集者。最近、「トラ取引反対キャンペーン」(CATT)による影響の評価を行った。

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