トッププライバシーリーガルサイトマップRSSアイコン My Yahoo!に追加エキサイトリーダーに登録
WorldWatch-Japan

WWJ地球環境メールマガジンEpsilon
メールアドレス
 

Yahoo!検索

  • ウェブ全体検索
  • サイト内検索

トップ | レポート | WWマガジン | ブックス | メールマガジン | リンク | 各種ご案内

トップ > レポート一覧 > Eco-Economy-Update 2006-8

amazon.co.jpで注文する。 →書店で注文する。

ビル・クリントン絶賛、レスター・ブラウン最新刊「PLAN B 3.0」人類文明を救うために発売開始

1984年創刊、世界で読まれている地球環境問題のロングセラー本『地球白書』、最新版発売!

Eco-Economy-Update 2006-8

【食糧・エネルギー】自動車燃料として注目が高まるアメリカの穀物、脅かされる世界の食料安全保障と政治的安定<2>

レスター・R・ブラウン

 

メールマガジン登録はこちらから

前編:【食糧・エネルギー】自動車燃料として注目が高まるアメリカの穀物、脅かされる世界の食料安全保障と政治的安定<1>

最近、新工場の建設が急増しており、多くの新工場が計画段階にあることから、今後1年間でさらに建設が増えると考えられる。もしそうならば、こうした新設の蒸留所でさらに4000万トンの穀物が消費されることは容易だろう。

2007年の展望として、在庫の取り崩しに歯止めをかけるためには、収穫量をどれほど増やす必要があるのだろうか?まず、2006年の生産の落ち込みを解消するためだけでも7300万トンの増加が必要である。その上、食料と飼料の需要で予測される年間増加分をまかなうために2400万トンが必要だろう。さらに、先に述べた54か所の蒸留所に供給するための3900万トンを加えると、アメリカだけでも、今後の在庫量の取り崩しを回避するためには、2007年の収穫量で1億3600万トンの需要増加に対応しなければならない。

2000年以降の世界の穀物収穫量の増加が、年間平均でわずか2000万トンであることから、穀物価格の上昇が刺激になったとしても、来年の収穫量をそれほど増やすことができる可能性は少ない。その上、農家は広がる灌漑用水の不足や、地球の気温上昇に伴うさらに厳しい熱波の発生への対応も迫られている。

アメリカのトウモロコシの収穫をめぐる競争が激化するにつれて、価格がすでに上昇している。アイオワ州、インディアナ州、サウス・ダコタ州など、トウモロコシの産地では、建設中及び計画段階の工場が完成すると、蒸留所の需要を満たすためには、各州のトウモロコシ収穫量ほぼすべてが必要になるだろう。

また、地域では、新設の蒸留所と、昔ながらの肥育場、酪農家、豚肉や家禽肉や卵の生産者が互いに激しく競合するようになる。「蒸留所で収穫される穀物」として、蒸留所から発生するトウモロコシの副産物の3分の1で、飼料用のトウモロコシの不足分がある程度は埋め合わせされるだろう。蒸留所で作られる「穀物」は、繊維質とタンパク質が主成分で、エネルギーはほとんど含まれず、ブタやニワトリよりも、独特の消化器官をもつウシや乳牛の飼料に適している。

日本、エジプト、メキシコなどのトウモロコシ輸入国もまた、世界の70%を占めるアメリカのトウモロコシ輸出量の減少が予測されることから、家畜・養鶏産業が混乱する可能性を懸念している。サブサハラ・アフリカ地域やメキシコなどの、トウモロコシ輸入国のなかには、トウモロコシを主食とするところもある。アメリカではトウモロコシが、ソフトドリンクの甘味料の原料や朝食用のシリアルに使われているが、大部分は間接的に消費されている。普通の家庭の冷蔵庫に入っている、牛乳、卵、チーズ、鶏肉、ハム、牛ひき肉、アイスクリーム、ヨーグルトはすべてトウモロコシから作られている。実際のところ、冷蔵庫はトウモロコシであふれているのだ。そして、こうした食品の価格はすべて、トウモロコシの価格の影響を受ける。

小麦とトウモロコシの価格は、過去数ヶ月で3分の1以上上昇した。トウモロコシと小麦の先物は、過去10年間の最高値で取引されている。トウモロコシの在庫量が記録的に少なく、需要も増加しているため、トウモロコシの価格は過去最高の高値になりそうな勢いである。小麦とコメの価格もトウモロコシの価格に追随して上昇するだろう。2007年末までに、モビリティを維持したいと願う8億人の自動車所有者と、ただひたすら生き残りたいと願う世界の最も貧しい20億の人々が、表舞台で争うことになる。もし、穀物価格が史上最高になれば、インドネシア、ナイジェリア、メキシコなど多数の、穀物を輸入する低所得国では、食料暴動や政治不安が発生し、世界の経済進歩を妨げかねない。

食料供給をめぐる自動車と人間の争いはすでに始まっている。世界では8億5400万人が慢性的な飢餓状態にあり、栄養も不足している。そのうち2万4000人(大多数は子供)が毎日死んでいる。2015年までに飢餓人口の割合を半減させるという、国連のミレニアム開発目標は、飢えに苦しむ人口が増え続けていることから、進捗が思わしくなく、食料よりも自動車燃料を優先させる状況が展開すると、完全に失敗するかもしれない。

アメリカの輸入石油への依存拡大という、一つの問題を解決しようとして、それよりもはるかに深刻な別の問題を招いている。幸い、これは回避可能である。現在、エタノールは、アメリカの自動車燃料の供給源の3%を占めるが、自動車の燃料効率基準を20%向上させることで、この割合をわずかなコストで数倍にすることができる。

食料と燃料が対立する問題については、世界はリーダーシップを切実に必要としている。今後に予想される食料と燃料の争奪戦に対処する戦略である。世界の穀物主要生産国及び輸出国であり、エタノールの最大生産国であるアメリカが命運を握っている。

『フード・セキュリティー』について

参照:スーパーマーケットとガソリンスタンドが穀物を奪い合う

【地球環境問題の書籍をオンラインで購入(ad)】

 


翻訳提供/禁無断転載
WorldWatch-Japan.org


広告について

RSSで、あなたのホームページやブログに地球環境問題レポートを載せませんか?

My Yahoo!に追加エキサイトリーダーに登録はてなRSSに追加Subscribe with livedoor Reader

ページトップへ
Mail
Copyright (C) 2000-2010WorldWatch Japan, All rights reserved.  <禁無断転載

地球白書 2009-10特集地球温暖化抑制 /地球白書英語版State of the World 2009: Into a Warming World / レスターブラウン プランB4.0

ワールドウォッチジャパンクラブ会員募集中 / 地球環境問題メールマガジン(メルマガ)配信中 / 地球環境総合誌(雑誌) / 地球環境問題RSS配信中 /
中国・世界の地球環境問題レポート/ニュース / 環境教育 / 地球白書.jp / 地球環境問題の書籍、関連本

EarthPolicyInstitute WorldWatchInstitute