トップ > レポート一覧 > Eco-Economy-Update 2008-2 ビル・クリントン絶賛、レスター・ブラウン最新刊「PLAN B 3.0」人類文明を救うために発売開始 Eco-Economy-Update 2008-2 【気候変動】2007年、北半球は過去最高の暑い年
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(前編) 猛暑や日照りが続いたことにより乾燥が進んだ地域があった一方で、記録的な降水量で水浸しになった地域もあった。1766年の調査開始以降の最多降雨月となった5月〜7月、イングランドとウェールズでは広範囲に渡って洪水が起き、その被害総額は約30億ポンド(約6000億円)と見積もられている。南アジアは雨季に、ここ数十年間で最大となる洪水に襲われ、少なくとも2500万人が影響を受け、2500人以上が死亡した。ガーナからエチオピアに至るまでアフリカ大陸中15カ国が2007年夏、大洪水に見舞われた。数十万人もの人が難民となり、農作物が流され農地まで失われ、この地域のフードセキュリティに大きな打撃を与えた。中国やインドネシア、メキシコ、ウルグアイも2007年に、異常なまたは記録的な大規模洪水に襲われている。 豪雨や洪水の回数は今後、増加の一途を辿るだろう。気候モデルでは、気温上昇による異常天候下の全降水量が増えるという予測結果が出ているのだ。すなわちより大きな暴風雨が発生する一方で乾燥期が増え、結果的に干ばつの深刻化と洪水の巨大化、頻発化が同時に進む。20世紀の降雨データを見れば、降水強度がここ20年にわたって高まり続けていることが分かる。すなわち、この傾向は既に始まっているのだ。 1250人以上の科学者で構成されるノーベル賞を受賞した、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年に発表した第4次報告書では、人類が温室効果ガスを大気中に放出し続けた場合に起こりうる気候への影響が詳述されている。現レベルでの排出が続けば、21世紀中に1.1〜6.4度、気温が上昇するだろうとの報告も含まれている。 それと比べれば、過去100年間の気温上昇幅は0.74度と小さい。にもかかわらずその小さな変化によって既に熱波が頻発し、干ばつが長期化および深刻化し、海面は上昇し、豪雨日が増加し、ハリケーンが巨大化している。IPCCが予想している規模で温暖化が進めば、まさに破滅的としか例えようのない事態が頻繁に起こることになるだろう。例えば、何億もの人々が水不足に苦み、種の3分の1が絶滅の危機にさらされ、広範囲にわたってサンゴが死に、低緯度地帯では穀物収穫量が減り、沿岸湿地の30%が消滅し、そして世界的な主要河川に水を供給している氷河が消えるだろう。 2007年の気温記録は、我々が新しい地質時代つまり「人類中心時代」とも呼ばれている時代に完全に突入したことを示している。この時代は人的活動が世界的気候システムの主たる力となる。もしも、温室効果ガスの排出量を迅速かつ劇的に削減しなければ、既に見られる気温上昇に起因する社会へのさまざまな影響は深刻化し、支払う代償も増大する。気候を混乱させる化石燃料から脱却し、再生可能エネルギーおよびエネルギー効率の良い技術への転換を促進しながら、温暖化を防ぐために何をするのか――我々の未来はそれにかかっている。 その他のレポート |
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