【前編】「海のエコラベル」が漁業生産を守る《2》
ワールドウォッチ研究所の『地球環境データブック』より抜粋。
それにもかかわらず、海産物は貧しい国から富める国へ取引される傾向にあり、2002年に輸入された海産物610億ドルの82%は先進諸国によるものであった。エビは、世界で取引されている海産物の20%を占めている。途上国は、コーヒー、ココア、茶などの農産物よりも海産物で多くの収入を得ている。残念ながら、漁業従事者、船大工、魚屋など漁業で生計を立てている2億人の多くは、自分たちが捕まえたり、取り扱う魚は高価すぎて食べられない。
魚は自然から人間に与えられた最後の食べ物である。しかし、漁場の数は限られている一方で、操漁する船の数が増えたため、現在、世界の主な漁場の約/3では、持続可能な漁獲量以上の魚が獲られている。残りの10%はさらに過剰に漁獲されたため、魚の個体数が回復するまで数年かかるだろう。2004年に海洋科学者が行った推計によると、過去50年間だけで少なくとも90%の大型捕食魚(マグロ、マカジキ、メカジキ、サメ、オヒョウ、タラ、ガンギエイ、カレイ)が大型漁船によって獲り尽くされてしまったという。
近年、「海のエコラベル」が広く普及したおかげで、消費者がより健全な漁業を支援できるようになった。現在では海洋管理評議会(MSC)のラベルが貼付された225の商品が22か国で流通している。責任ある漁業に関する行動規範を定めるこのプログラムによって、すでに10の漁場が認証されており、さらに16が認証のための評価作業を受けている。
漁業についての理解を深め、保全を促す意欲的な取組みに「海洋生物のセンサス」という、70か国の数百人の研究者が協力している10か年計画がある。このセンサスでは、2004年に106に及ぶ新種の魚類を発見し、ウミガメやマグロなど海洋生物の広大な大洋間の回遊ルートを確認した。
その他のレポート
・野生魚の漁獲量が限界養殖の増加で野生魚の減少分を相殺
・乱獲を続けるのではなく海洋資源を管理すべき
※編集注
MSCについては以下が詳しい
http://www.wwf.or.jp(外部リンク)
http://www.msc.org(外部リンク)
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