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China Watch 2007-8

【中国】2008中国北京オリンピック、「空気」は読めてる?大気汚染への取り組み《2》

 

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レスター・ブラウン

 

(前編)2008中国北京オリンピック、「空気」は読めてる?大気汚染への取り組み《1》

【中国】2008中国北京オリンピック、「空気」は読めてる?大気汚染への取り組み(写真と本文は直接関係ありません)2006年ドイツの自動車メーカー、ダイムスクライスラーは北京市に3台の燃料電池バスを寄贈した。中国人民大学と頤和園研究パーク間の18kmのルートを、主要大学やハイテク研究パークの数箇所を結んで走行している。しかしその試験走行は今週末終了する予定だ。バスは、中関村ハイテクパークにある中国初の水素スタンドで燃料が補給される。この水素スタンドは、清華能源公司とイギリスの石油・ガス大手BP社による共同プロジェクトで実現した。350万米ドルを投資して、この水素スタンドは2006年11月に操業を開始した。1日バス1台25kgの水素を補給することができる。必要なインフラ面やサービス面を含めて中国で初めて完全な形で実現した水素スタンドである。

操業初日こそ政府関係者、大学関係者、マスコミなどが殺到しバスは満員で走行したが、現在この3台の燃料電池バスの利用客数は低迷している。バスは、水素燃焼の残留物である風変わりな白い水蒸気ガスを吐き出して、ほとんどの時間利用客も乗せないまま、人口1,400万人超をかかえる北京市を周回しているのだ。2ヶ所を除く全てのバス停の標識がなくなってしまい、時間を急ぐ通勤客が利用できるような時刻表さえない。一部の公共交通機関を特に好む利用客や将来の交通事情を危惧するマスコミ関係者が時折利用するだけだ。燃料電池バスの失敗は、「無用の長物」的なプロジェクトを一般に普及することがいかに難しいかを、ある意味示しているのではないだろうか。

北京市の大気質は、北京近郊地域における石炭燃焼や公害の影響も受けている。北京市は、四環路より内側の商業地区で石炭を燃やすことを厳しく禁止しているが、古い北京の中心部の事情を知れば知るほど、いかに法律が遵守されていないかがわかるだろう。東城区、西城区、宣武区、崇文区という4つの地区に古い住宅地が広がり、昔の建築様式で建てられた家屋が最も集中している。そういった小さい平屋住宅では、石炭やガスのパイプの設備が十分整っていない。ハチの巣状の練炭が調理や暖房の主要な燃料源であり、煤煙は煙突から直接屋外に排出されるのだ。

市内の古い住宅地での石炭利用が北京の大気環境に大きな脅威となっているわけではないが、この問題の解決がずっと先延ばしになっている。つまり、都市建設における過去の過ちを是正する画期的、効率的な方法を見つけなければ、都市問題は手に負えなくなることを示しているのだ。

しかし、北京市にとってさらなる頭痛の種は、北京外部からの公害である。中国には石炭火力発電所が集中する地域が4地域あるが、そのひとつが中国北部の石炭火力発電所で北京市はそこから供給される電力を利用している。中国の最高経済計画機関である国家発展改革委員会は最近、小型の石炭火力発電基を統合するか閉鎖し、大型の発電基に替えていくべきだとの政策を決定した。小型の50メガワットから100メガワットの発電基を閉鎖することで、環境容量に基づく制限が解除され大型の600メガワットから2,400メガワットの超臨界圧発電基の建設が可能となり、石炭の節約や脱硫技術の利用につながると期待されている。発電所側はこの計画を大いに歓迎しており、確かに硫黄排出の削減にはつながるかも知れないが、二酸化炭素排出削減にはほとんど寄与しない。逆に発電能力が増えることにより二酸化炭素排出が増加する可能性もある。

山西省、内モンゴル自治区、河北省など北京の周辺か北西に位置する省や地域には、北京市に電力を供給する多くの石炭火力発電所がある。これらの発電所から供給される電力のおかげで、化学産業や溶錬産業などエネルギーを多量に消費し公害を引き起こす産業がさらに拡大している。北京市がこれら全ての工場を閉鎖することは不可能だ。しかし中国政府は、オリンピック開催中にこれら工場の生産を制限するかもしれない。また北京市は、オリンピックに向けて大気環境改善のために地域全体が取り組む公害防止・公害規制の制度を導入すべく検討中である。例えば、汚染源の監視、排出量データの報告、大気環境監視データの報告、大気質警告の報告、さらに各都市や省で大気汚染防止削減会議を開催するなど情報共有やフィードバックシステムを導入しようというのだ。

北京市環境保護局(EPB)のPei Chenghu 副局長によると北京周辺地域からもたらされる大気汚染が直接市の大気質に影響を与えていることは、調査の結果間違いないと指摘している。例えば、2006年6月20日のEPBの報告によると、北京の大気質はそれほど悪くない中レベルとの結果が示されたが、大気そのものは明らかに汚れているということだ。衛星地図を見ると、北京南部に隣接する河北省の農家の人々が大量の小麦の茎を燃やしその煙が北京上空まで移動していることがわかった。つまり、大気汚染は地方の問題ではなく地域全体の問題なのだ。

北京当局は2,600万元(約330万米ドル)を投資して、周辺地域の大気汚染が北京の大気環境に及ぼす影響について調査を始めた。北京大学環境学院が本調査を実施し、対象地域は、北京市、天津市、河北省、山西省、内モンゴル自治区に及ぶ。調査では汚染源や汚染が北京に移動する経路を特定し、最終的には2008年オリンピックに向けての大気環境改善方法を決定する予定だ。(了)

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