『地球白書2007−08』(日本語版)がこのほど発表された。地球白書2007では都市をテーマに、様々な環境問題に焦点を当てている。地球白書からのレポート。
「成功した国家経済」でも、地域の人間、社会、健康、生態系に大きな負担をかけている場合がある。最近の中国の経済成長と生産性の伸びで、それが明確に示されている。
現在、世界でもっとも汚染された20都市のうち16が中国の都市である。中国での経済的利益は、都市の環境問題を悪化させている場合が多い。
たとえば、2001年に、中国の画水鎮(ホァーシュイ)の住民たちは、雇用創出と経済成長をもたらすことを期待して、化学工場の新設を歓迎した。だが、間もなく死産が増加し、手足の奇形を持って生まれたり、泣かない、瞬きをしない、学習障害を持つなどの子どもたちが増えると、人々の考えは一変した。化学工場の数が増えるにつれ、住民たちは、「死の区域」が工業地区周辺で拡大し、10キロメートルも離れたところで、木や作物が枯れるのを目にするようになった。政府と工場関係者はこうした懸念を四年にわたり無視していたが、2005年3月20日、住民は工場へ続く主要道路を封鎖し、工場の壁に「私たちの土地を返せ」、「私たちは生きたい」というスローガンを掲げた。
三週間後のある夜、推定一万人の警察官と命をかけた住民が衝突し、それが数時間続いた。数か月後、地域で汚染をまき散らす工場13か所がすべて閉鎖された。
最新版の『地球白書』(State of the World 2007: Our Urban Future)は「都市」をキーワードにしている。
※『地球白書』(State of the World)
米国ワールドウォッチ研究所(WorldWatch Institute)が1984年より年次刊行している。
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