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Cover Story
人口大国のインドと中国にエイズがやってきた
世界でもっとも人口の多い両国はこの流行にどう対処するのか?
アン・ハング(AunHwang)
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増える女性感染者
発展途上世界では現在、女性がHIV感染者の半分以上を占めており、発展途上国の女性の状況が、今後のエイズの流行を決める重要な要因となる兆しが強まっている。識字率その他の社会福祉の一般的指標を調べた世界銀行の研究者たちによると、総じて男女の不平等が大きければ大きいほど、HIV感染率が高いという相関関係がある。
エイズが猛威を奮っているサハラ以南のアフリカ諸国のように、インドと中国でも男性にくらべて女性ははるかに社会に関わる機会が少ない。両国とも、国連開発計画が打ち出した男女平等を計る基準「ジェンダー開発指標(GDI)」の得点は半分以下である。
男性の乱交を容認しながら女性には純潔を要求する性のダブルスタンダード(二重基準)は、多くの女性を危機に追いやっている。ワシントンD.C.の国際女性問題研究センター(ICRW)がインドとタイでおこなった調査によると、若い未婚の女性は処女であるだけでなく、性的なことについて何も知らないほうが好ましいと考えている。その結果、若い女性は自分の体に関する基本的な知識に欠けており、自分自身をHIVその他の性行為感染症(STD)から守るためにコンドームの使用を主張する心構えができていない。
結婚してさえ、女性は性に対してほとんど影響力をもっていない。「女性は家のなかではほとんど発言権がないんです」とICRWの調査に参加したあるインド女性は語った。「相手は主人なんですから。誰が逆らえます?」十分な法的保護も経済的自立の機会もないために、そのような女性は暴君の夫のもとにとどまり、命令に従うよりほかにほとんど道はない。インド東岸の大都市マドラスのスラムに住む600人の女性の90%が、セックスについて夫と交渉する力はなく、コンドームを使用するよう説得することはできない、と言っている。そしてこの女性たちの95%は、経済的に夫に依存している。
女性の感染リスクは、生物学的要因によって倍加される。コンドームを使わない膣性交では、HIVに感染した男性から女性へ感染する可能性は、その逆の場合よりも2倍から4倍高い。その主原因には、ウィルスにさらされる組織の表面積と、ウイルス濃度の2つの要因があるようだ。どちらの点でも女性は不利である。精液中のHIV濃度が高いうえ、膣の表面積は比較的大きくて、性交中に傷つきやすい。膣や子宮頸管の内側に裂傷があると、ウイルスがより侵入しやすくなる。女性にはほかにも生物学的に不利な条件がある。一般に女性は、STDが見つけられにくい。症状が外に出ない傾向があるからだ。気付かないSTDの病変によって、女性がよりHIVに感染しやすくなることもある。
感染すると、女性は男性にくらべて治療を受けられる機会が少ない。夫婦ともにHIVに感染していて、一人分の治療費しか出す余裕のない家庭では、治療を受けるのはほとんど決まって夫のほうである。ムンバイの「エイズ研究予防センター(AIDSResearchandControlCenter)」のスブハッシュ・ヒラ所長は、AP記者にこう語っている。「身を引くのは女性のほうなんです。女性は自分はどうなってもいいと考えるんですね」。タンザニアのカゲラの1991-93年の調査では、エイズ患者のいる家庭で男性患者にかけられる治療費は平均して80ドル、それに対して女性患者はわずか38ドルで、2倍以上の差があった。
また感染者の烙印も、女性のほうにより重くのしかかるようだ。女性の性欲に対する不安は、女性の感染がふしだらな行為に対する罰だとする見方に容易に姿を変える。女性はこの病気の元凶だと責められることさえある。南インドのエイズの専門家、スニータ・クリシュナンによれば、この地域の言語にはSTDを意味する言葉はほとんどなく、もっともよく使われる表現は、「女から出る病気」だということである。一人の男性は、その言葉について彼女にこう説明している。「病気をうつすのは男かもしれないが、もともとの出所は女なんだ。悪いのは女なんだよ。たとえば井戸に毒が入れられて、男がそれを飲んで病気になったとする。人はその男を責めはしない。悪いのは井戸だと言うさ。それと同じように、性感染症は女のせいだとみな言うよ」。
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